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ロドニア再建記 4 お転婆姫と事務長官(専属騎士)  作者: AKIRA


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9 四本爪(クアトロ・クロウ)の告解

 モランが灰の上に描いた地図、バザルが古いブーツで踏みしめる。その足元には、錆び付き刃こぼれしたバックラーが転がっていた。

そこに刻まれていたのは、酷く歪んだ四本爪の紋章。


「……バザルよ。それは、ゼノス陛下が最精鋭にのみ授けた『四本爪(クアトロクロウ)』だな?」


モランの静かな問いにバザルは吐き捨てるように言った。


「ああそうだ……だが今のこいつは、ただの『強盗の印』だ。俺たちはこの爪で、相手の喉を掻き切り、家畜を盗み、泥水を啜って生きてきた……誇り高い王の盾であったはずの紋章が、今じゃ追い剥ぎ集団の証だ。笑えるだろう、モラン殿」


バザルの背後に控える四千の兵たちの装備も同様だ。胸当ては凹み、革は腐りかけ、あるものはガルディア兵から剝ぎ取ったのだろう紋章の鎧、出所不明の鎧を継ぎ接ぎして纏っている。その姿は、かつての栄光を凌辱し続けてきた歴史そのものだった。


ユージンの視界が歪む。内側から湧き上がる……ゼノスの断腸の思いと激昂。


ゼノス:……我が爪が、我が誇りが、これほどまでに雫れ落ちていたのか。


ユージンは無言で立ち上がり、バザルの前に歩み寄った。その黄金の瞳には、焚き火以上熱い涼香な怒りが宿っている。


「……バザルよ。その盾をこちらへ」

「……あ?若……こいつはもう……」

「出しなさい」


拒絶を許さぬユージンの覇気。バザルは思わず息を呑み、錆びた盾を差し出した。ユージンは震える指先で、泥に汚れた四本爪の紋章をなぞる。ゼノスの意思が、彼の指を通じて兵たちの絶望と生への執着を読み取っていく。


「……二十年間、よく、この『重み』に耐えてくれた」


ユージンの声は低く、地を這うような怒りに満ちていた。


「この紋章を強盗の道具にまで辱めたのは、貴方たちではない。……貴方たちをこの地に置き去りにし、都合よく『全滅』という数字で片付けようとした、ロドニアとガルディアの無能どもだ」


ユージンは盾をバザルに突き返すと、冷徹な声音に戻った……しかしその言葉にはゼノスの「王命」が混じっていた。


「モラン、予定を変更します……今夜、この森に埋めるのは彼らの遺体ではありません『四本爪(クアトロクロウ)を汚した二十年間の屈辱』を全て、この土の下に埋葬します」


ユージンは、四千もの残党兵達を見渡した。


「明日、我々は死にます……そして、アステリオンの闇の中で再誕する……強盗、追い剥ぎはしない。俺……いや私が、この大陸の全予算(リソース)を書き換えてでも、貴方たちに『新しい四本爪』を、最強の装備を買い与えてみせる……異論はありますか?」


静まりかえる森の中。バザルは、目の前の事務服を着ただけの男に、かつて命を捧げた王の幻影を見た。

彼は震える拳を胸に当て、ボロボロの四本爪を隠すように深く頭を下げた。


「……御心のままに……ルシウス様」


おっと、お転婆姫はどこへ行った?(爆笑)どうぞ、お待ちください。

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