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ロドニア再建記 4 お転婆姫と事務長官(専属騎士)  作者: AKIRA


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8 モランの報告書

 「明朝、我々ロドニア辺境警備隊及びに輜重部隊は、国境にて余剰麦の取引に向かう最中に、盗賊に遭遇。その交戦中に不運にも頻発する地震に遭遇。地滑りに巻き込まれ、谷底へと消える……死体は土砂の下、生存の可能性はゼロ。これが、ロドニアとガルディアの重鎮たちが明日、安堵と共に受理する最終報告書(あらすじ)です」


その言葉を裏付けるように、焚き火の影に控える兵たちの姿が揺れる炎に照らされる。


「バザル。貴公たちが率いてきた四千人のギルドと盗賊、通称『ハイエナ』。貴公たちもまた、この地震で全滅したことになる……だがしかし、その前に一つ……確認させてくれ」


モランの視線が、残党兵達の纏う装備に向けられた。そこにあったのは、もはや軍服とも呼べない代物だった。継ぎはぎだらけ、あるいは強盗で取ったちぐはぐな服。二十年前のあの輝かしいロドニア王国の紋章が泥と脂にまみれて擦り切れている。彼らはこの二十年、ガルディア、ロドニアの補給部隊を襲い、商隊を襲い、時には無関係の旅人なども襲って必死に食いつないできたのだ。


「……このボロ布が、俺たちの正装だ」


バザルが自嘲気味に、手垢で黒ずんだ古い剣の柄を叩く。


「奴らの喉元を錆びた剣で掻き切り、食料を奪い、死体の服を剥いで生きてきた。誇りなんてものは、二十年前にロドニアの土に埋めてきた」


その瞬間、焚き火の傍らで静かに話を聞いていたユージンの周囲で、空気がピリリと震えた。


ユージンの内側で、かつての主__ゼノスの意思が、深い悲しみと共に激しい「怒り」としてもえあがったのだ


ゼノス:……二十年だ。二十年もの間、私の民を、私の兵を、これほどの泥に塗れさせたのか


ユージンは無言のまま、黄金色に変わった瞳を細めた。彼の怒りは、略奪を繰り返していたバザル達に向けられたものでは無い。忠義を尽くした彼らを「ハイエナ」にまで貶め、都合よく使い捨てようとした現ロドニアとガルディアのその「仕組み」そのものに向けられていた。


「……バザル殿、その装備は今夜限りで全て捨てて下さい」


ユージンの声は、いつになく冷たく、心なしか重くなる。


「……若?」

「強盗で食いつなぐ必要は、もうありません。俺がこれからつける大帳には『略奪』という項目は存在しない……モラン殿、作戦を実行しましょう。彼ら全員を一度『殺し』、俺が『アステリオンの兵』として一から買い取り(さいせいさせ)ます」


ユージンの手の中にある鉄筆が、怒りのあまり音を立てる。ゼノスの意思に突き動かされるように、彼は誓った。このボロボロの亡霊たちを、大陸で最も気高く、最も恐ろしい軍隊へと仕立て直してやると。


「……死ぬ準備は整いました」


ユージンは、自分の覚書に最後の一筆を叩きつけるように書き込んだ。それは、過去の屈辱を全て清算し、新しい支配の幕開けを告げる、血のような黒い文字であった。



戦記らしくなりましたが……うーむ、難しい(笑)

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