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ロドニア再建記 4 お転婆姫と事務長官(専属騎士)  作者: AKIRA


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11 特例事案報告

事案:エドワード第一王子及び随伴部隊の喪失について


経緯:当部隊は未曽有の不作に対する資金調達の為、又、ロドニアからのエドワード王子の返還の為に中立地帯の商工ギルドとの接触を試みた。しかし、移動中に謎の武装盗賊団と接触。交戦状態に陥った際に、大規模な局地的地震が発生。


結果:地震に伴う大規模な地滑りにより、交戦中の両軍はそのまま「獅子の谷」へと滑落。谷底は土砂により完全に埋没。生存者の可能性は無し。


追記:現場は依然として地盤が不安定であり、遺体の回収作業はコストに見合わない二次災害を招く恐れがあるとして、本官の判断により「全滅」として処理、当該区域を立ち入り禁止とすることを推奨する。


署名:事務官 ハンス


ユージンはこの報告書を書きながら、考えていた。


(よし、これでいい。盗賊との交戦という『人災』に自信という『天災』を重ねて……。完璧だ……これでヴァルガス王も、わざわざ谷底を掘り返して4000ほどの「ハイエナ」の生死を確認しようとは思うまい。死体の数を誤魔化す手間が省けるというもの。これで……我々4500程は公式に「死人」アステリオンの闇の中で思う存分働いてもらえれば)


エドワードの処遇を考えていたモランだったが、ユージンに補足を追加させた。


「……当該地区は、以前より正体不明の盗賊団(四本爪)による略奪が頻発しており、ガルディア・ロドニア両国の補給部隊が相次いで行方不明となっていた危険海域ならぬ『危険地域』であった。エドワード第一王子一行は、これら『両国の共通敵』である盗賊との交戦中に震災に巻き込まれたものとされる。……これにより、長年の懸念でもあった盗賊問題も同時に『清算』されたと断言して相違ない」


バザルがこれまで書いてきた何通もの「救援要請」「嘆願書」の束。ロドニア滅亡の際に、ガルディアを頼り、盾となってさんざん働かされた挙句、送り返された書類がそこにはあった。


「……バザルさん、貴方が送った嘆願書のこの束……読ませていただきましたが、感情任せで論理性がなかった。あの冷酷なヴァルガス王が動くはずもないでしょう」


ヴァルガス王の人柄は、日頃タヌキ(オーギュスト王)からよく聞かされていたユージンである。


「……っ。分かっているさ。俺たちは捨てられた。何度叫んでも、あいつには届かなかった」

「違いますよ。届いていたからこそ彼は無視したんです。貴方たちが『勝手にのたれ死ぬ』ことを、あの男は計算に入れていた……ですが、私は計算違いはしたくない」


バザルはゼノスの選んだ戦士だ。彼達『ハイエナ』は両国の部隊を襲っていた。すなわち彼らは両国の軍の動き、補給の癖・隠し通路を世界で一番熟知しているという事だ。

ユージンは笑みを浮かべた。


「ガルディアに助けを求めるのはやめましょう。……これからは、ガルディア側が『助けてくれ』とこちらに泣きついてくるような状況を、私と一緒に作り上げるんです。そのための第一歩がこの『全滅報告書』なんです」


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