Ep66:王国の汚名返上
更に2の年を越す。
地上大陸ランガスモーでの調査・採取が行われ、新たな科学力を得たエイドカントリーズ。それ等の技術を他国と共有しながら、新たな生命線を敷き、虹の鉱石を単体ずつ浮かせるという発案。それから、虹の鉱石をマイクオ・シーブルの血液やライト・オブ・ホールでの遺伝子を使用し、人体に影響のない人工生命体および、機械生命体の存在を簡潔に検出してみせる。空中大陸パヘクワード自体を浮上させ、各鉱石と合体。そして徐々に宇宙空間にある隕石と結合。そうして、兵士の15倍の力を持つ、生命体つまり、宇宙生命体としての役割を果たさせるという新天地計画の別の考え。これらを他国と共有しつつ、貧困なる大地を広く自然的に応用する。だが、その計画の要となるライズ・フォングラン自体は国の汚名の罪を着被り、己の責任として、ダイヴァー、ギュネズ、カーフ、ダネルに赴く。計画を固める事、実験できる研究材料を更なる高みへ利用する事など、議員、大臣と一体となって自ら騎士の座を降り、ジグル、イーター、ミヘルにスタヴァーを守護する任を与える。
「さて、出掛けるよ」
ライズは、新天地計画による各国からの汚名を着せられた罪を訂正するために、王国エイドカントリーズを離れてゆく。この旅が“暫く掛かる”ことを意味すると仲間に伝え、国王スタヴァーにも“心配に及ばないから”と伝える事にした。
だが、ライズの書簡を持つ手に若干の戸惑いが見られた。
「では、この天空の地上は遥か以前の世界から再生されたと?」
「はい。ライズ、この時点で私達はやがて変容を迎えるのです」
13歳ながらもスタヴァーはいずれ訪れる変容について話した。通常の体ではその光の束を通過する事さえ痛みが生じてしまうこと、もしかすると闇の力が働くなど体が分離する現象にも見舞われるかも知れないこと、それで虹の鉱石の光体を利用した生命体が誕生することのほか、記憶を保っていられるように、約束を守ってほしいと言われた。
「今、生きている民達は自ずと寿命を迎えるでしょう。その間に多くの人工生命体移植を行う事にもなるでしょう。私達が、地上よりも遥かに遠い、世界の淵から現れた事を今後も生まれてくる子孫へ教えてゆくのです」
「そのためにも、俺達が生きて今後も言い伝えを創る。そして、変容を迎えた頃には、オリジナルよりも強い意志で、更なる上空を果たすのです」
「ライズ・・・その時が来れば、私を迎えに来てくれますね?」
「俺が帰ってきたら貴女を迎えに来ますよ」
「ええ、きっと・・・ですよ」
生きて約束が果たされるよう、ライズは尽力を尽くすのだった。尚、4カ国とも協力の意志を示し、エイドカントリーズの技術を的確に示す。お互いの足りない技術、互いに目覚める炎のように明るい閃光を放つ虹の鉱石のエネルギー。それ等を組み合わせていても、さほど各国に点在する鉱脈と問題なく稼働するとの見解と実用を目指す。地上大陸ランガスモーからも鮮麗された虹の鉱石を採取し、各地のものへ伝染させる。伝染させたエネルギーは浮力を更に強く放ち、各地から小さな希望の光として遥かなる上空を照らした。その距離も、鉱石の大きさで異なり、遥かなる上空たる宇宙まで放つことが出来たという。それもライズ達が変容を遂げるまでに行われた出来事。その間も、エイドカントリーズから人工生命体と機械生命体が合同的に量産され、生命が自然共有を始める。
――――
「ライズ、事は成功を収めたのでしょうね・・・」
「はい、スタヴァー殿下。ライズ殿の働きで各国が共同作業に入り、徐々に計画が遂行されています」
「ジグル。例の計画は?」
「はい。機械生命体の事でしょうか」
「そう。人工生命体の架け橋となる、機械的波動の持ち主、七つの騎士の雛型である形。これ等が成功すれば、今後の新天地計画に無理なく事を運ばせることが出来ましょう」
「ふふ、殿下・・・貴女はいつまでも美しい。そしてこの計画に運ばれるであろう、私の出来事も尚、変わってゆく・・・僕達はもう、後へ引けませんね」
「ええ。ライズが帰ってくる前に、我々も民達の理解を得る事に尽力を与えねばなりません・・・」
時代は変化する。変わってゆく世の中に明らかとなる光の一方で、闇なる魔道が際立つ事となる。まるで、スタヴァーの行ってきた、故・マジェスの計画を笑っているかのように、静かに、新たな計画が進められている。
「ウィナート卿。事は順調に進んでいるのですな?」
「ええ、順調に。卿も我が名を安全に使われている模様で」
「アレはよくやってくれていますよ。あなたの指す、人形という言葉通りにね」
「ドッグの中は薄暗いですからね。アレ・・・」
「ディナール一族が現れてから、我々の動きは活発になりました」
研究施設は拡大しつつあった。しかも、人工生命体の腕となる機会生命体の製造が矛盾に等しくなく、生産されている事を知ったジグル・ウィナート。国王ヴァン・スタヴァー・ディルタの裏で働く闇、そして魔道たる暗殺。それぞれが思いを馳せるように、計画の裏に計画を凝らして、新たなる動きを求めるのであった。
「彼女には、刑を与えねばなりませんな」
「成功した証に、うんと感謝して貰わなくてはねぇ」
かつて、闇の魔道を引き受ける魔女たる存在が灯された。彼女は多くの闇を産み、数多なるダーク・オブ・ホールの前で、我が子を切り裂いたという。ライト・オブ・ホールと対なる存在であるエネルギーの束によって崇められた。そして、闇なる住人を繁殖させたとも謳われている。それ等は魔道を産み、魔道を愛した。表には現れないが、時に暗殺者としての働きを行っていた。主に王族・貴族を狙った。それでも尚、繰り返し崇められたその魔女の名を彼等は“イデア”と呼んだ。
「その名は、全てを産む、統べる存在として付けられた」
「卿も、魔王と呼ばれていたであろうに?」
「アスラゲージ・・・いや、インシュビー。懐かしい名前だよ」




