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Ep62:預言と史実

「では、姫様・・・いえ、殿下行ってきます」

「私はいつまでもあなたの愛する者。呼び名が変わっても待っています」


 ジグルの指示により、俺は一人、研究員と一緒にパヘクワードからランガスモーへ降り立つことになる。そこで虹の鉱石について再び、科学と文明について調査する。


「うん?あれは??」

「ランガスモーで地震があった様で、更に地形が変化したと思われます」

「吟遊詩人マイクオ・シーブルは無事なのか?」

「海底にある住居は移動するので無事と思われます」


 俺達は再び、地上大陸ランガスモーへ訪れた。虹の鉱石で出来た飛空船によって化学反応を起こし膨大なエネルギーの暴走により、起き得るであろう滅びによって、新たな浮遊力を得られるかも知れないとして、調査に向かう。


「シーブル、無事でしたか・・・」

「うん。この通りさ。寿命が長く、傷の修復も早いために、齢160年を超えそうだよ」

「それはよかった。実は、虹の鉱石について調査に来たのですが・・・」

「この大地の軌道が変わる。そして新天地の基軸も変わる。移民の兆しが見える」

「学士オード・ナスワイの歴史から紡いだ言葉ですね」

「あぁ。大分、地殻が変化してしまってね、文明の長さを再確認させられた」


 俺は亡きマジェス殿下の話をした。そしてパイルに眠る伝統を話してみた。虹の鉱石による身体変化、環境調整が可能な事や、各国との協力を得ての新天地計画について告げる。俺もいつか、この身を呈して変容するであろう時間が来ると考えると、スタヴァー様のことを想う。約束を果たさなければ――と。


「パイルは地の底だよ。それに入口も無くなってしまった」

「そうですか。地形が変わってしまっているために」

「悲観する事はない。研究材料は沢山あるよ」

「まさか・・・シーブル、あなた自身が?」

「うん。それと一つ伝記が残っていた」


 彼は自分自身が虹の鉱石のエネルギーによって超寿命となり、姿まで変化した事を鑑みて、是非とも参考の材料にしてほしいと申し出る――とは言っても、血液を採取するだけなのだが、個人的には生命にかかわる事だと感じ取ってしまうので、可能であればエイドカントリーズに来てもらい、研究室で成体変化の様子を測ってもらい、安全に帰したいと考えている。しかし、俺の考えとは裏腹にマイクオ・シーブルは以前の様に楽器を持たず、俺と研究員の前で一つの伝記を記録させる。


「これを持って、エイドカントリーズで研究するがいい。そして、新たなる生命の悲劇を生まない様に、人類を希望の道へと導くんだ」


~学士オード・ナスワイの伝記~


―1―

形在るもの、いつか崩れる定め。

亡きあとも虹の鉱石によって生まれ変わる。

新たな人類が生命理論を超えた時、紛争が生まれよう。

その時は、光の中の闇を探るがいい。


闇にとって光とは如何なるモノか、を定めるとして。

更なる上空に起き得る浮遊体質を備えるモノとして。

そして、虹の鉱石と生命が混じる頃、境地が生まれるだろう。

人類よ。新たな導きに幸在らんことを。


―2―

我が地上に現われた宇宙たる生命は、新たに使命を与えた。

人類にとって必要な、伝染。つまり、新型生命体の事である。

科学的にこしらえた人工生命体と機械たる生命体。

何れも、同じ生命であるが、異なる部分がある。


一つは言葉を発し、人類にとってのつなぎになる事。

一つは超人的なエネルギーを持ち、言葉を発しない。


どちらも、頂点を極めし生命体であるが、不完全である。

万が一、地上より遥かな上空を目指すのであれば、共にするがよい。

これも宇宙たる生命が与え給うた命で在らんことを。


―3―

我が地上に眠る海は、虹の鉱石と交じり合う。

そのエネルギーたるや、時を超えた成体と成り得るだろう。

我々が同じ生命である事を認めるならば、争う事はない筈。

母なる地上の中で、訪れる新天地に向かうなら、エネルギーを充填する事。


今少し、人類たるモノの役目を静かに見守れば、沈壊は免れる。

新たなる世界が、古びた世界を鎮めるなら、海に聞くがいい。

その波打つ瞬間が、人類を再び調協させ、交わる事を叶えるだろう。

人であるなら、民である事を自覚するがいい。


―4―

文明たるや、我々も導かれし関係に至る。

一つの管に、砕いた虹の鉱石を混入させ、生命に移植する。

この工程がみるみる内に人体の内容を変え、超人としよう。

私の実験では、ひと工程に研究記録と実験を繰返した。

すると長寿性のある人類が誕生する。

その名を、一括りとして「マイクオ」と名付ける。

マイクオは己の意志を他の意志に依存させる特徴がある。

善い行い、善くない行いによって、生命理論を覆す。

もしも、争う事があるのなら、その生命を絶つように。


―5―

闇の盟約。これを、魔道という。

一つのエネルギーが虹の鉱石に包まれる。

その包まれたエネルギーによって、光の束、闇の束が生じる。


一つはライト・オブ・ホールといい、

一つはダーク・オブ・ホールという。


万が一、二つのエネルギーが交じり合うなら、破滅を呼ぶだろう。

また、再生を期すことも同時に行われるのだと心得るがいい。

人類はあの、悲劇を起こすような事が無いようにするべきだ。

私はもう、あのエネルギー体である束には触れない事にする。


―6―

「マイクオ」には過去との因縁がある。

研究と実験を繰返す度に、一つの現象を見つめる。

彼等は、一つの言葉を述べた。

それは畏怖なる言葉である。

もう一つの言葉は闇を期する。

注意しろ。


―7―


警告する。

二つの存在を確認するがいい。

モノゴトリー

サンシャイン現象

何れも7番目に位置する。


―8―

地上ランガスモーと予言するパヘクワードという歴史。

ヴァン一族が関わる中で最も注意すべき警戒状況。

民達は貧困を産み、やがて意味ある移民を計画するだろう。

それが「新天地計画」なるものである。

注意するがいい。

ディナールは闇に落ちた。

ウィナート一族は特に闇に満ちた。

心するといい。


 ――――


 この1から8項に並ぶ、学士オード・ナスワイの伝記は、虹の鉱石に対する出来事が連ねられていた。また、人工生命体と機械生命体に対する解釈が今の人類との異なる視点で記されている。現段階で、科学が発展を遂げると新たな文明競争が起きそうである。そこをナスワイは指摘している。更には、サンシャインについて触れているが、宇宙は一度、地上に降り立ち、パイル王国を築いた様な感じである。「悲劇」という意見が連ねられているし、最後の闇における出来事など、注意書きが施されている。


 つまり、俺がこれから旅する出来事は危険と隣り合わせ。

 新天地計画は血を流すような出来事に近い――のだろうか。


 そう、感じている内に、シーブルが寄ってきて「心配するな」と言いつつこう告げる。


「ライズ、これから起きる事は真実であり事実に基づく」

「何故です?」

「新天地は他にもたくさんあるという事だ」


 パヘクワードは一つの虹の鉱石を浮かせて、他の鉱石とのエネルギーの共感を果たしている為に、かなりの期間を掛けて大陸と変貌させたが、資材である食料などは遺伝子変化を元に生物の肉片を増量しているに過ぎない。俺達が生きているという事は、それ以上の虹の鉱石のエネルギーを消費する。永遠かと思われたものはいつか朽ち果てるとシーブルは告げる。


 つまり、更なる上空の大地と組み合わせるよう、何段にも虹の鉱石を配置し、他の惑星と合体させる方法が提案される。


 それには、多くの人員が必要で、時間を掛けて新天地を造り換えていく方法でいいだろうと、彼は告げている。


 これはメッセージである。

 争う必要のない世界へと形を変えようとして。


「吟遊詩人マイクオ・シーブル、助かりました」

「そういう時は、同盟を組もうと告げるのさ」


 俺と研究員はシーブルの血液を採取し、新たなる大地へと足を運ばせる様に、この伝記をもとにエイドカントリーズへ戻る。僅か2の月を踏んでの成果である。この後、4カ国へ書簡を送る準備をしなければならない。


 亡き、マジェス殿下の意志を以って――。

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