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Ep58:闇の陰謀

 パヘクワードの遥か遠くに、魔道を伝え、生きてきたという人物が幾つか研究専門家から証言されている。彼等は各国の内部に潜入し、情報機関たる道筋を立てて貧困なる世界を滅ぼそうと目論んでいたとの見解がある。他にも、王国付近の森林に洞窟を掘り、その中で光の束から得られたエネルギーを吸収しているという。科学の発展の為にも虹の鉱石が運用されているとする。


 彼等、魔道の伝統は、地上大陸ランガスモーの王国パイルの時代に沿っており、国の少ない時期に、人類へ言葉を教え、光の束へと導く“邪教”たる意見を繰り返していた。その内の一つ、ガウラント、テスタネータ、ウィナート各一族は王国へ彼等を誘導し、あらゆる媒体となる虹の鉱石の入手に協力していたともしている。


 地上大陸が光の束の強力なエネルギーによって沈壊するまでに、深い空洞となるパイルのような王国にて多くの研究と実験を繰返していた。それも虹の鉱石のエネルギーと光の束、いわゆるライト・オブ・ホールと呼ばれる浮遊源が暴走し、その内なる闇の束、ダーク・オブ・ホールを開発したとなれば、各一族は逃げ場も無いだろう、として。


 その中で訪れたヴァン一族が、各地の虹の鉱石のエネルギーから魔道たる力場を捕縛しようとしたとき、ガウラントは研究媒体である人間の内なる意志の力をある書物に残したとされ、それがテスタネータに渡り、対なる束を実験し多くの虹の鉱石へ注がれたとする研究書物を作成。一方、ウィナートは闇に隠れて、各書物を元に生命と虹の鉱石の内容たる遺伝粒子をライト・オブ・ホールへ掲げ、その力で得た長寿生命マイクオを母体として、異なる生命学理論を叩き上げたとされる。


 それらが一体となり、ライズ一行によってパヘクワードへ技術の提供物として書物を預ける。その書物たちを、現書物を保管する古文書と合作し、人工生命体と機械生命体を魔道として扱う事とした人類。希望の要となる新天地計画とは裏腹に、更なる貧困を高めるとして研究者達は今尚も、各王国に貢献しているという――。


「ライズ。新天地計画の要で、先導者としての働きは、本来、故・マジェス殿下によって図られたという事で、議員達は闇を手に入れて、各国に派遣したとされているよ」


「なら、多くの研究機関には、謎の生命体の作成を依頼している為に、より人口の少ない環境でその生命体を軸にし、少ない資源を量産するというのか?」


「嬉しい事だよ。これまで貧困なる民達が働いてきた分、僕達が失敗した書簡を新たに書き直す事で、各国が虹の鉱石の威力を再確認してくれるという、証言を手にしたと見せかける。パイル・ウィナートの名はそれで・・・」


「それで、ウィナートの汚名は晴らされるとでも?ジグル、あなたはそういう所が甘いの。各国にその汚れた名前が連なる事で、新たな災厄に見舞われるかも知れない。この、ヴァン一族のようにして――」


「そうね。ミヘルの意見も従えておかないと、議員や大臣の思うつぼ。マジェス殿下の葬儀までまだ間があるわ。新天地計画の趣旨を科学的視点で抑えるほうがいい」


 これまで議員達は、複数の大臣のために使命を果たさんとして、役割を執行しているが、多くは各国へ対する日常的な横流し。虹の鉱石の力を得て、魔道という事柄・エネルギーを取り入れ、新たなる政治の深道に寄り添っている。それが充分、民に負担を与えている為に、新天地計画以上に課題の多い生命学理論が現れては消え、その存在感をいつか表明しようとするのだろう。


「道理でマジェス殿下や俺達よりも深い影に潜む闇を好む訳だ」

「まるで、言葉の世遊びにすらならないよ」

「新たな研究・実験のための発明なのね」

「再び、私達の儚い希望を消し去るのが闇だったのね」


 その闇には深い歴史があり、ヴァン一族が目を付けた、生命学理論の前夜、「魔道」について新たに指標を決めた研究者達。貧困は救えずとも、いずれ本当の意味での貧困を救うことにも繋がるかも知れないのか、とライズ一行は暫くエイドカントリーズに留まるのだった。マジェスの葬儀を前にして。


・議員達

――マジェス、私は新天地計画には反対だった。だが、お前の熱意が何故か国民を突き動かすのだ。今の国は繁栄しているが、どこか腐敗をしている。光在る中には闇が必要だ。

先代国王スペクティラーと王妃アイシャ、彼等こそは闇の住人だった。だが、お前は違う。何故か光より遥かに眩い光沢を放っていた。闇よりも輝かしいあの光は太陽としか表現しようがない。どうして国民を操れた?どうして私に民は寄ってこない?なぜだぁ――ッ!?


――捕らわれたのさ。彼による繁栄でなく、スペクティラー在ってこその繁栄であり、国民達の命。これ等をひとくくりにすると新天地よりはるかに高い望みへと向かう訳だよ。もう少し待って居たまえ。その内、“彼”が動き出すやも知れない。二人が闇の住人であるのなら、新たな輝きによって我々は導かれるだろう。マジェス、君の判断は返って不信を招いた。民が寄ってこなくとも新たな手段を以って私達は動くのだ。


――まぁ、先代の言い分からすると、ヴァン一族による虹の鉱石戦争たる出来事によって、実験は失敗に終わった。あの遥かに巨大な大陸が、我々の祖先ごと滅びた訳だが、この新天地たるパヘクワードも滅びるよりも先に魔道へ落ちる。そうすれば、闇の中から彼が駒の様に動いてくれるかもしれない。あくまで推論だが、彼なら期待に沿ってくれるだろう。新たな王、スタヴァー様を従えてなぁ。


 遥かな望みに対し、遥かに強い対立が催される。


 遥かなる上空とされる宇宙は、この愚かで儚くも美しい計画を導いた。


 今少しの時を待ってあげようという、新たな試みとして――。

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