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Ep55:末路 ―望みを掛けて―

 結論、


 ――俺達4人は新天地計画の失敗を如何に持ち直すことだけを考え合った。

 勿論、口喧嘩をしては、手が出る事も在った。だけどそこから一歩だけでも進めたかった。帰還してこの3ヶ月という貴重な期間を以って、今度こそは希望を見出すのだ。


「そして、これ等の返事をどのようにして考えたのです?」


 議員の一人が声を挙げた。まず各国の書簡から導き出された内容を、よく読むことから始めていたが、計画と異なる内容だったと言葉を荒げた。だから言葉でなくその意見の出方をよく見てほしいとジグルが願い出る。


「彼の場合、虹の鉱石の“分配法則”に乱れがあると言いました。書簡には“我が国にはパヘクワードに求められる浮力が、更なる上空のものに準ずるモノではなかった”と説明していました。そこで考えました。仮に虹の鉱石の“中身”でなく外の“硬度を純度”に置き換えることを」


 これは鉱石を粉砕するのでなく、鉱石事態を自然に還す事で、新たな酸素を産むようその外部の通りに地形を掘り進めると浮力も要らない、息ができるという話だ。


「自然に還す・・・つまりそれが純度と?では我々は浮かせずともそのままあの惑星に住めると?・・・理にかなわないのではなく、理を利用すると・・・」


 そこでイーターは虹の鉱石の形状を確かめてほしいと願い出た。その惑星にもし鉱石の形状にも見合う土が含まれたなら、そこから鉱石の純度が溶けだし酸素をも生むようだと。


「グリプ議員、その理の通りであれば土には生命が存在します。まずは騎士と同様、虹の鉱石を含ませた甲冑を造ってください。虹の鉱石の場合、浮かせるのは何も物質ではなく、我々の体から発する酸素も同じでしょう?」


「イーター殿、ジグル殿の鉱石の純度を活用すればこの体が浮かずとも、地に足を着けられる・・・意味は分からなくとも、その“隙間”から空気を吸って吐くことも出来る?」


「ええ、子供と同じなんですよ。そして環境に慣れるんですよ。躓く程度の隙間なら歩けるでしょうしね?ミヘル」


 ミヘルは黙って聞いている。だが体の動作の原理を活用すれば、環境に馴染めるのだという虹の鉱石の形を伝えようとしている。それをイーターが割って伝える。


「王妃の書簡に在る文にはこのように書かれていました。“蝶は腕の皮を利用しているに過ぎない”と。では、剣は体の大きな動作を必要とするとしましょう。それを最小限にすると頭が覚え、身体は動きを固めようとします。様々な技を繰り出すのです。若輩ながら頭を柔らかく、そして思いのままに空気を取入れると如何でしょう?」


「つまり、身体は砕け散る前に空気を浮力に変えてゆく・・・空気を吸って吐くことで生身でも暮らせるようになると・・・気持ちの悪い事ですな・・・未体験を受入れる事は」


“ヒュージ議員・・・ザワザワザワ・・・では、ワスレ議員は?・・・ヒソヒソ・・・”


 俺からすると虹の鉱石と人体に対する負担を和らげるので、それを痛みの感じられるようにしてみたい処だ。それこそ虹の鉱石と惑星に存在するであろう土の融合、共鳴なのだ。


「ライズ殿からは一言ないのですか?」


「これ等の書簡を書き換えるのです。たいへん“有意義な内容”へ俺達の目指す新天地計画として。それを俺が各国へ届けていきたい・・・」


「ライズ殿、その意はどこから?」


「俺達の意ではない。この王国には議員も13名、大臣は9名、騎士10名、兵士80名も従事している。侍女も38名だ。あなた方は“発想を転換”するのです。全国1万4,780名の民と共に更なる新天地、宇宙へと身を乗り出すのです!そのための意を集めましょう――」


 そこで初めてミヘルが口に出した。


「絶って抜いて組み合わせる。“子供じみた事さえも受入れ”浮かさず掴むの!“グッ”」


 ようやく卓上は静かになった。とうとう俺達も認められたのだ。そう願い、そのように思い上がらずとも、浮き上がらないように彼等へ伝えようとこの10年間を費やしたのだ。


“ザワザワ・・・虹の鉱石から絶ち抜きお互いを組み合わせるだと?・・・分からんね”


 ―――これが理想?これが有機政治?聞かされていた?なんてことだ。


“ほんの10年の動きで・・・ヒソヒソ・・・これでは、子供さえ笑いを堪えきれんな”


 ―――相手にしない?これが先代国王の招いてきた議員だと?国だぞ。


“ぷッ・・・ククククク・・・これが新天地計画・・・いかん、腹が捩れそうだ・・・”


 ―――たかが計画だと?王国とは何だ?一丸とは?衣食住をしたのに。


“いえいえ、何せ・・・我々のひと世代後の子供の発想です・・・当然でしょう、ぷッ”


 ―――年齢とは何だ?その古い記憶のどこが楽しい?王を見ていない。


“まぁまぁ、水でも飲みませんかなぁ~水に塩でも混ぜますか~虹の鉱石?アハハハ!”


 ―――笑うなよ。お前らの国でもなければ地上へと還れ。その足でな。


“ふぅ~昼の12の時がやってきたかぁ~何ともつまらない発想で。おっと引上げ時だぁ”


 ―――お前達は働かず、マジェス殿下は病にひれ伏さず、政治をした!



―いいか、次の王がスタヴァ―様だ。お前達は“隠居”なのだ。そこに政治は存在しない―



「ご苦労様です。とても有意義な新天地計画でした。ライズ・フォングラン殿率いる僅か4人で十分、やり遂げたのです。これでマジェス殿下計画は合意を得られません“バリ”」


・・・バリィ、ビリィ――、パラパラ・・・


 ―――殿下、俺達4人は一体でした。


『過ぎた事だ。ライズこれは闇だよ』


『意志の示す闇とは、病をも魔道へと変えてゆくと伝承されています』


『私の体には虹の鉱石の粉末が流れておる。時には体を漆黒へと蝕み時には時間を逆戻りさせる。『生命学と逆行』について調べた。それは“肉体の分解と魂の再生”と示すよ』


『傷口は肉体の再生と促します。ですがその傷跡は血が流れません。例えば――』


 俺達は浅はかだ。だのにマジェス殿下との語らいも楽しい。それを議員という名に固着するとは何とも花枝の折れる事か。そこでバヴラアウト議員が“私からも一言”と声を挙げた。


「“ギィ”・・・分からないからこその計画なのでしょうに。それに10年に渡るマジェス陛下のあの計画なのでしょうが・・・。いいですか?このエイドカントリーズにとって我々は駒なのです。先代と同じく一任されているのですし認めましょう。皆さんも“軽く運動”しません?」


“そうだなぁ・・・ボヤッ・・・どうせ年を食うだけでは面白くもない国だ・・・成程な”


 俺はもうこの計画には触れたくなかった。ジグルが議員達の動向を見定める中、イーターはさっさと書簡をまとめたい様子。ミヘルはもう十分だろうと呆れている。これが小隊故の行く末なのだろう、と。俺も荷物を畳み故郷へ帰りたくなる程に、この政治は危うい。


「では、俺達“名無し”は最後の瞬間まであなた方、“堕落”議員にもめげずに動きます」


“堕落だとね・・・こう、浮くと!・・・有意義な最後の瞬間でした・・・流石殿下の、”


 これが、

 末路か・・・

 俺達は何だった・・・


 空間が一気に白くなるような感覚がした。まるで何事も無かったかのように議員の誰もが俺達の言い分に耳を貸そうとしない。これが議員だとすれば、大臣とは、王族とは民の為に何ら応えられない時分にあぐらを搔いているのと変わらない。俺はどうして証明すればいいのかと悲観した。殿下との対話は何だったのか、と。


『君には王の魂が流れておるのだな?私には見えるのだ、意志という形がな』


『最古が存在すると学びました。意志は世界の線を次代へと向かうのだと』


『娘がな、その素質を持つのだ。私がもし亡くなれば政治は闇に閉ざされる。だが魂は、変容を始める事と、別の依り代へ移す技術により宿す事。二つが己の意志を選ぶのだ』


 マジェス殿下・・・

 申し訳ありません・・・。

 そして、貧困から這い上がる皆よ、俺は・・・。


―――カッ、コッ、カツ、コ―――


「ふん、なんとも詰まらないのだろう。これが自然と生命だけに寄った結果なのだ」


「金の関係なども無いこの国でさえ貴族貧困の境で作られたのよ。どうせ枯渇する」


“スッ、タ、スタ、ッタ、スッ、タ、”


「彼女達のこの愚直な様がとても久しい。そこには好き勝手な政治活動に彩られてた」


「この10年間を歩くも本当なんてモノさえ示さず、話し続けていて議員と闇に染まる」


「君はそういう処が面白い。この新天地は奈落の底でもなくそこで求めていた筈だよ」



――――そう、思い出そう。


それは何と輝いてきたのかを。


知りたい、是非とも抗ってくれ。


教えてくれる“そんな君”を魅せてよ!

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