Ep54:仲間②
書簡における話は俺から仲間へ知らせてはいない。そこには責任という理由がないからだ。崩壊を意味する新天地計画の早期選択は各国から取り下げられた。マジェス殿下は明らかに失望していた。俺がもっと前に乗り込まなければ4年間余りもの旅の意味が無と化す。
ついでに言えば、計画の遂行を援けた事により、更なる出世の立場を得たのだが、どうも状況的に頭に入らないような出来事に苛まれている。これ等を如何に対処するのか。何れにしても各国との誤解を解かなくては、と思う。
そこで、俺はジグル、イーター、ミヘルを部屋へ呼んで、夢で起きた事を告げる。なるべく仲間を信じて居たいからだ。
実は俺――きのう変な夢を見たんだ。
「お前達と何処かへ向かう夢だ。そんな俺が役に立つのだろうか、と」
「ライズ・・・今日の君は辛そうだね。きのう殿下に何か言われたの?」
「何というか違和感がある。最後まで4人で居るのかなって・・・」
でもね――、そんなの分からないんじゃない?
「そう、あなたはあなたらしく前よりも評価されたのよ」
「そうですよ。あなたは立派に役目を果たしていたのではないですか?」
「僕はそんな君を誇りに思っていたよ」
「イーター、ミヘル、ジグル・・・失敗に終わって済まない。だが、こんな俺によく付いて来てくれたよな・・・」
“――ハハハ、何言っているの君はさぁ~~?”
「何を・・・って?」
「この王国に呼ばれてから出世したじゃないか」
「いや、お前の出世の方がいいよ」
「関係ないよ。出世はこの国のモノなんだよ。失敗しても国が負うんだよ?」
「俺はいつもお前の隣にいるから目立ちたくないんだよ」
「そういう時、名を名乗らない方がいいかもね」
もう既に名乗っているのに目的があやふやになったのか。ジグルは時折、年齢故かあまり面白くもない言葉を放つ。親から生を得たというのにまるで、当人自体が名前を得たことの無いまま記憶を持つような物言いと態度を表す。俺はその時のジグルの視線が冷たく頬骨さえ痛みが伴った。
「ジグル・・・やめなさい・・・」
「そう、たとえあなたでもそれを言っては駄目でしょう」
「いいじゃないか、僕達が“名無し”ってことで計画を見直すんだ!」
へぇ~
ほほう・・・
いい案ね!
独りで抱えていた。だが、ようやく彼等を信じたくなった。書簡における話だって持ち出せた。だからか、再び俺達4人で新天地計画について大臣や議員達と、言葉を交わそうと決心するのだった。それが『名無し計画』でたとえ孤立という形をとったとしても!




