Ep37:国王ヴァン・マジェス・ディルタ
「謁見の時がやって来たのだな」
「はい、マジェス様」
「呼ぶがよい」
――――
神・マーズは新たな挑戦をしようと、一人の意志へ伝えようとしている。それは伝統という名に相応しい出来事。もし、新天地なる出来事の起きた人類に破滅が起きようとするなら、彼も分類した意志より固い意志として魂を揺らがせてゆく事だろう。それは記憶の彼方から遥かに近い存在とし、やがて彼の中へ戻ってゆく事に相違ない。それは次元を超えようとも生きる命に愛を与え続けるだろう。近しい意志と対話するために・・・。
――――
「我が名はエイドカントリーズ国王、ヴァン・マジェス・ディルタである」
「私はライズ・フォングラン。陛下、以後とも宜しくお願いします」
「うん。初めましてだな。式典以来だ。楽にせよ」
我が、王国エンドカントリーズには名前の由来がある。
大地ランガスモーから虹の鉱石の発明品により、生命と自然を運び賜った。まるで貧困から救われない時代とは異なる。民と一体となった賜り。その事から救済と国土を冠し、第一王国エイドカントリーズと名付けた。
「陛下。俺は貧困を救うためにこの、新天地計画に参加しました」
「貴様、選ばれたからと言って――、」
「よい。下がるのだ」
「は、ハハッ」
「ライズ・フォングランと言ったな」
「はい」
「我が家系は大方、大臣達に食料調達の旨を伝えているに過ぎない。それは民達からの意見を取り入れたからなのだ。全てはこの空中大陸での異変が元なのだ」
「異変・・・といいますと?」
「科学の発展よりも、食料の生産が間に合っていない。つまりそれだけ出産する人間が減るという事だ。減ってしまえば逃げ場がない。つまりそこで新たな生命の活動源を更なる上空に見出した」
「もし、その計画が成就すれば?」
「約束しよう」
次に、我が家系について長い歴史がある。
父・先代国王スペクティラーは野心的であった。母・現王妃アイシャは抱擁的だった。
私、現国王マジェスは英知の力を以って頭脳明晰、学問最優秀。最先端政治学を専攻し栄誉メニュエフィジャーを受取ると、書物『零の意志』に興味を示し宇宙生命体理論を研究する。17歳で王位継承を宣言し、父の意志と共鳴し王位継承。政治の闇に悩む。成人後は第一皇子として各議員と各国との政治関係を深めるが先代王から議員が闇の住人であることをほのめかす発言を得られた。42歳でセビュラル王国の第二皇女と婚約し、国王となると、第一皇女スタヴァーが生まれ、先代国王のスペクティラーが死去する、といった我が家系だが、ライズ一行から何か質問などあれば聞いてみたい。
「先程、書物『零の意志』に興味を示し、宇宙生体理論を研究したと聞きました」
「うん、知っての通り私が新天地計画を発案する起点であるよ?」
「なるほど・・・俺達にそれを託したのも」
「年齢、学問、才、冷酷さ・・・これ等を持ち合わせる君達こそ相応しい為だ」
「では、政治の闇を抱えつつも成人を迎えたのに殿下は、その頭脳明晰さから政治の道を自ら進んでいたのでしょう?」
「政治とは民の代行人者でもある。つまり民でなく各国との協調さが求められてくる」
「例えば、天文学に在る宇宙から基づく生命の在り方、各国との計画の協調を求めるのに政治的な交渉が必要・・・それは自ら歩くつもりで沢山抱える予定だったのでは?」
「無論だ。だが人の身では容易く外を覗くこともできん。だから君達を選んだのだ」
家系としては純真さに欠けるものの、その崇高たる形は残してある。だから娘・スタヴァーに託すつもりで計画を進めたのだ。だが、その道のりは決して容易ではない。何故なら虹の鉱石を使うためだ。この新天地を浮かせ象らせる力は、宇宙と生命的理論だけでは解決できない。だから新天地計画について各国の視点と協力が必要になるのだ。
「つまり民の声は届いていないと?」
――それは宇宙に届くから?
「承知の通り。彼等は自らの象徴を壊す事を与えられていない。だから次代の子を離れさせ未来を象らせるのだ。まあ、この天地よりも高い天地は、生命を象る事はないのだ」
「つまり闇。だから議員達からも反論があったのですね?」
「勿論。だが、彼等の動向はどうやら新たな生命体を産みそうなのだ。先代はその力を買っていたのだ。未来志向の私では到底話に及ばないのだろう」
セビュラル王国第二皇女パニュア。彼女は洞察力が高い方だ。私の計画の裏など簡単に見通すのだろう。この家系は余りにも古典的で危ぶむ道をも砕いてきた。だが今の民はどうだ。余りにも多くを求め不便を駆使することなく、自らの血を絶やしかねないのだ。だから我が娘スタヴァーにも現王妃ヴァン・パニュア・セビュラルと異なる洞察力が備わったに違いない。なにせ彼女は虹の鉱石から放たれる光体さえも操って見せたのだから。
「時に、ライズよ」
「ハ・・・ッ」
「あの子の動きは生命から拾えないのだ」
「姫様ですね?」
そこで、ライズ一行を盛大に招く事にした。そこには“約束”という盟約がある。
自分自身で選んだ道。変わり果てる大地に、異様を成す新天地の模様。貧困とは如何にして明確にするべきか、人類はその到達点に見出せる手段を選んでいないのだと、神の引継ぎとして約束せねばならぬだろう。
「よいかな?これは、初めての約束だ」
もし、君達がこの王国へ再び戻ることが出来たなら、それぞれの報酬となる臣位を与えよう。その時まで決して命を危ぶむことの無いように、生命の賜物という、大いなる意志のひとつひとつを堪能してくれたまえ。
「しかし、陛下。それでは俺達4人の成果に留まり、救う筈の問題が解けません」
「案ずるな。事情は聴いている。ある大臣からの話からだが、アレは君の宿敵であろう?」
「アイザル・ディナールでしょうか?」
「うん、その通りだ。だが、約束は絶対に在らずとも必ずしや、遣り遂げるよう、采配及び配慮するよ」
「ありがとうございます!」
「では、ジグル、イーター、ミヘルよ。席を外してもらえぬかな。私はライズと二人きりで話がしたい」
「分かりました」
「ライズ、何かあれば私達の協力を惜しまないで」
「では、宜しくお願いします、マジェス陛下」
ライズ・フォングラン・・・彼は、他の3名と異なる意志を持ち合わせている。独りで完遂しない事にも悟っている。“君を先導者に選んだ訳を聞きたくはないか”と、このライズ・フォングランに尋ねた。
「マジェス陛下・・・いえ、殿下。私を・・・俺を招いた訳はあなたの意志をも超える意志を導けと?」
「そう。特に君はスタヴァーの事は知っているのだろう?あの子には親らしい教育をしてあげた事がなく、4歳と幼い。あの子には冒険心が必要だ。覚えさせてあげたいのだよ」
彼にスタヴァ―の教育係を願い出る。その一方で新天地パヘクワードと地上ランガスモーの解析係を頼んだ。その際に“絆”という、お互いの魂と意志が交差を始め、混じり合うのだった。
――――
暫くライズ自身へ、著書『願いの空白』の一部の説を用いて以下の話を綴ることにした。その提案に臆することなく、次々と彼は私の質問に対し、速やかに答えてゆくのである。
「思い出せないと?」
「どういう意味ですか?殿下、俺は何も思い出せません」
「君は眩き”王”だ」
「俺が?しかし本当に王なら今頃、新天地計画を終わらせています」
「世界線が光って私達の元へ降臨した」
「つまり俺が“かつての”マジェス殿下の元へ王として君臨したのですね?」
いい感触だ。まったく私の意志に動じない。それがライズ・フォングランという若者である。そんな彼がここへ訪れるまで随分と待った。そこが問題だ。そんなライズに対して感謝の意を述べようと思う。ここまで乗り越えてきた一つの可能性――、
「殿下?」
――思い出せないと?
君は眩き王だ。世界線が光って私達の元へ降臨した。
―――楽しくなってきたよ。




