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Ep29:貴族と貧困


 エイドカントリーズ王国が掲げた新天地計画の背景には多くの課題がある。


 民の理解を得て、自らの主体とする物語を進行させる事を計画の基とする。


 だが、貴族に従わねば、貧しい者達への配給が止まると言われていた。それも貴族が王国側へ「是非、貧困なる民達へ重々横領な配給をすれば、王国への奉仕が叶うであろう」という、奪われては与えてしまう現象を起こしてしまっているからだ。


 勿論、貴族領となる家族は殆ど知らない。何故なら平民区と同じ立場を以って交流をしなくては、貴族さえも食材や布紙など、生活用品の枯渇に追い遣られるからだった。よって、理解の議論は貧困以外の場でも執り行われていた。

――――

「何故、王国に与えたモノを貴族達が大臣に代わって・・・」

「平民と王族の間を執るという、貴族の立場を利用して横領したに過ぎない!」

「・・・皆、平等と告げたのは貴族達だぞ・・・」

「それなら、どうすればよいのだ?教えてくれ、」


 では、食うために品質管理を行うには一体、どういう立場なら纏めてくれるのか?新天地を求めて来た民から王族となった由縁は、限られた自然、食材、衣服、住処の材料を奪い合わなくていいように、統治するしか方法が無かった事から始まった。それ等の中間を執るのが宙平民と呼ばれる移民活動、つまり貴族という礼儀も作法も知っている教育的な立場が基盤とされて泳ぐ。教育でもしなければ民だった者達で溢れ返り、戦を起こす者だって居るために、民から統治する王族として貴族が君臨するしかなかったのだ。そこで貴族達は話し合う。


「学園、学校、研究の場や、兵士の仕組みを作ったのも貴族と王族だけだった。求めたのは民だった。だが・・・、横領という勝手な言葉が泳ぐと・・・」

「あぁ。平民区の領土に住む民達も同様だ。貧困区の働きを奪えと云ったのも彼等なのだ!」

「我等、民だった者を王族の足掛かりとして建てたのも、元はといえば私達の親元だろうに・・・。それを今更、還せと言われようが、王族となった民も身分が示せないだろう?」


 一方、王族は「民の権利を奪ったのは、労働力の無い貧困区。つまり落ちぶれだ」と強く主張する。貧困区に住むのは何も平民区の民から食材ほか、生活用品の献納の出来ない民であるし、王族、貴族が泳いでいた訳ではない、と趣旨を固める。全ての元は、貧困区へ溢れ返った民達であり、その風情を属したのは他でもない平民区の民達であるから、今更規則を戻せというのも都合が良過ぎると、王族・貴族は並んで論議を交えていた。


「失われた文明を支えたのも貴族ではない。貧困なる平民だって同じだ!」

「あのぅ~・・・わたし等は、どうすれば・・・飯を与えてくれるのでしょう~?」

「なんだぁ??お前らなんかに飯を食わす道理などない!平民区から外れろォ―ッ」


“ドガッ”


 何故に、こうも貧困区への態度が冷ややかなのか、と悩ませた。それも平民区であっても貴族と態度は変わらず、そういった状況が今の王国の御触れを作ってしまったのだ。その仕組みを外すのは貴族と、今の貧困を抱えるとされる平民区にしか権利は無いと訴える。かつて民同士は族を構え動いてきたが、動けなくなると貧困区へ追い遣られ、偶に兵士が治療へ向かうが、そこに医療という技術は与えられていなかった。医療を持つ者は王国に点在する、町に住む人物しか与えられない特権なのだと、王族は詠うのだった。


「元はといえば、王族を取り締まる大臣の仕事だろう?それを何故、あんたら貴族が執り仕切っているんだァ~?」

「私達は単なる貴族ではない。君達、民を守るために在る訳でもない!全ては王族の兵士の仕事だろうから、“執り仕切る”という発言は撤回して貰おう!」

「そう言うけど、俺達は知っているんだぞ?遊びじゃないんだ。賭け事の様に奪って渡して腹を満たす・・・お前らの様な家畜を育てる意味は無いんだぞォ!!」

「うぐゥ・・・臭い・・・」


 ――目を瞑る、鼻をつまむ、口の唾を飛ばしては飛び交う王族の礼を弁えぬ態度。このような押収・横領が行われる時に限って必死になる。では、何故そこまでして貴族と貧困は隣り合わせとするのだろうか?そうした考え、訴えが一体何になるというのか・・・。結局、これまで虹の鉱石を地上大陸ランガスモーから与え給うた宇宙の意志が、空中・・・いや、天空の大陸であるパヘクワードを創ったというのに、何故そこまでの言い争いを、権力争いを後々の子等へ引き継がさねば、こうも配給としての動きが成らなかったのか?それ等を考えるのも全て、貴族と貧困に蝕まれた民達の役割であると王族は詠うが、御触れを創ったのも現・王国を仕切る王族だとされていた。豊かと貧しい・・・それは「責任転嫁」という意味でも使われる方式でもあった。だが、中には・・・。


「我等は元々、同じ民だった。それが英知、勉強という仕組みを作った故に、この様な立場の均等を保とうとする。なのに何故、学園、学校、労働、貴族、王族という立場を作ってしまって、それを争いの道具とする?」

「してしまった事に焦っているんだよ・・・“本音”を言うと全てが明るみになり、これまでの引継いできた内容に急な変更を作った御触れという、布紙に出されてしまうからだよ!」

「あんた・・・貴族じゃないな?」

「あぁ、そうだ。例え貧困区出だとしても、平民区と貴族を繋いで王族へ届けるのも我等、民。貴族という名など、とうに捨ててしまったんだよ!」


 民が知恵を受入れると、次代の者へと引き継がなければならない。それが一筋、また一筋と切れてしまう度に、本筋の引継ぎからズレてしまうのだった。そこを補強する手段を議論という形で、物事を決定する役割、それが「貴族と貧困」なる立場で構成しただけに過ぎなかった。それが次第に大きくなると兵がやって来るが、その兵でさえ元はといえば民が作った“創造物”でしかなかった。


「だったら、何の為の学問で、何を以って社会を築くんだ?」

「我々は民の象徴で、王国の仮の姿・・・立場なんだ。それ以上でもそれ以下でもないんだよ、」

「おぅい!料理が出来たぞォ~。貴殿達も食べて飲もうじゃないか!汚れた過去など、再び蘇らせる事は無い!」

「そうだな、分りはしない。・・・だが、立場というモノがねぇ~」

「ある伝記には“モノゴトリー”という名の闇がある。彼は哲学者だったそうだが、作り寄せ奪い合い、人類を宇宙物質“サンシャイン”の元で汚したという・・・」


 話が遠のくと、横領した食材で腹を満たし、お互いの伝記を分け与えるという。それが貧困から受け継いだ貴族という立場であった。それ等は滅びるまで“栄光”として語り継がれるのであった。


―カチ、カツッ、カッ、ト、カチッ―


「“あの子”は、私のいい駒だった」

「パヘクティ学園に譲った子だね?」

「あぁ。学園長もいい駒だった」

「ほう・・・。では、あの強い、成長は何れにせよ王国を掴むだろうか・・・」


―カッ、カチ、トン、カッ、トツ・・・―


「勿論だよ。その計画も“やがて”は彼の駒、悪戯に過ぎないのだからな・・・」

「その彼は今頃、あの子へ“報告という形”で執るのかな?」

「報告ねぇ・・・。いや、“報復という手”を使うだろう・・・」

「そうか。彼も駒なのだなァ~ふ~む・・・コレでどうかな?」


―カツンッ―


開始チェック合図メイトだな」


 貴族と平民の様子を裏で掻く王族達の土台の駒は日々、動いてゆく。

 被らなければ、与える必要は特に無いと。


「マジェス・・・。手強いなぁ、」

「スペクティラーの駒か・・・どれ・・・」


 こうして、新天地計画の一幕を開けるのだった。


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