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Ep27:イーター ―女の中の礎―


 私は小さな頃から親のように厳しいと伝えられていた。

 親の知る、貴族と王国側の判断は正しかったのか疑問だった。

 真っ直ぐな目、突き通すような視線、口を出した時には既に言葉が走っている。

常に意識していた近所の奴ら。「今度いじめたら許さないわよ、私はそこに居る」と宣言する私は誰だろう?


 そんな私がはじめて「失礼なヤツ」だと言わしめた人物が居た。


 ――――――――――――――――――――――


 ライズ・フォングランという2つ年上のお兄ちゃん、運命の出会いだった。8歳で恋心に芽生えた初めての相手だったの。だけど彼の傍に居る、ジグル・ウィナートと言う11歳年上のお兄さん。魂の共鳴をする様にお互いの頭脳を共闘させていた。


「僕の勉強の相手は居ないんだ。邪魔だけはしないでね」

「生意気を言っているとあなた、間違えるんじゃないの?」


 ライズよりも気になるジグルという人物。元々幼馴染だった時とは異なって、間違いを露わに闇を覆う様な人物像を形成する。まるで私を母親と間違えているみたいな反抗的な目線。私の目線とどちらが強いのか睨み合いをした事もある。なんと強い視線なのかしら。押されてしまう。


 そうねぇ、

 私は15で彼は26歳。だから学生と兵士、身分相応というモノね。


 この城下町にひれ伏すようにグレイローの大橋の下で草木と川に包まれるかのよう。私とジグルは恋人。まるで抱擁を求めているかのような人、こうして膝に頭を庇ってあげると私は彼の母親のように感じられる。まだ肉体関係さえ無いのに何故なの?彼は成績優秀で私の憧れなのよ?たとえ間違った方向で居られたとしても彼と暮らすわ。そう、感じていた頃もあった。


 それに、続くだろう恋に親心とは、授業に出てくる“最古の世界線”にも描かれていた。


 文化、文明という道徳の為に、古来から選ばれた神官等が王に託した書物があるのだという、学問的な内容を習う機会が私にも設けられた。この“最古”という世界にはザモース・エンプスティという惑星ゴ・ランズの中で、唯々孤独な生活を用いながら文化と文明を広げていったという、像の民と蛇の民の逸話とされる内容も併せて載せられていた。


 そこから生活の基盤となる虹の鉱石の効果も再生という形式のある事を、重要文化財として各国の書物に保管されていた。王には“ある親子”が居たのに、文明の発展という、自らの民によって論戦を起こし光に惑わされて子が砂となったという、伝説まで載せられて居る。その王の名こそ分からないが、宇宙と惑星という土地に残された言葉から遺伝粒子を則ってブレトル、フォダネス、インシュビ―という形で表している。そこには眩き太陽が虹のもと、闇に隠れたとも載っており、光に貫かれたとも書いている。


 神のみが知る意志によって、最後はその惑星に世話になったと言ってフォライズという名を付けたとも書いていた。そして神々の末裔と共にその世を去ったという伝記も載せられていた。そこから生活を守るヒントとして周囲の皆を纏める為の力、支える為の頭脳を重きに受け入れる必要があると、教えを乞うてこうべを垂れる方法まで載せられている。


 進学というのは時に頭脳を鈍らせる。

 だから昔に貴族と凡人というものを学んだの。


 ミヘル・アントレアと言う2歳の幼女とアネス・マティスと、カティア・カーネスと言う女の子。特にミヘル。彼女は小さな頃から不思議な形のペンダントを身に着けていた。何処か別の空から訪れたような不思議な子供だった。彼女は「あなたは魂の友達」と私をそう呼ぶ。勿論、学生生活と言えば同僚との暮らしに勉学となる。暮らしは安らかと言えば安らかだった。それでも私は年々、知識を蓄えてゆくの。付き合う人も色々と居たわ。それなのにもう、ジグルから手紙さえ来なくなった。もしかして遠征先が変わったのかな?暫く会わない内に私は大人になった。産まれてもう、20年と言う時を超えてしまった。


 あと1の年を越えようとしていた頃に私は招かれた。

 エイドカントリーズ国王ヴァン・マジェス・ディルタのお言葉としてそれは表明された。一度だけ王国へ招かれたの。


 そして私は、学園での数式学、語学、社交、衣装設計、家庭学、美学を取得してきた。その中で特筆すべきは虹の鉱石による化学反応の部門で、それ等を人工化学へ置き換えるという仕事を推薦されていた。細かく、判断力に精通した仕事は得意だと自負している。


 そんな時――、


「おおーい、イーター居るかねぇ!あんたに来たんだ――ッ」

「はぁ~い、タタタタタ、ガチャ―、あら・・・テジラさん、どうかしたの?」

「ふふふ・・・見てくれよ、これ、あんたへの手紙だろ?―サッ」

「ス、パラ―、ふん?これは・・・手紙じゃァ、ないわ、ねぇ?」


~召集命令~


イーター・アマテ殿、

我が名は国王ヴァン・マジェス・ディルタと申す。

突然の報せを受入れて貰えぬか?


実は君の学歴を拝見させて貰ったところ、感情と行動における知能に長けており、情報分析並びに食料関係などの知識も豊富であると見た。将来有望なる王国の諸事にも従事することだろう。


そこで我が国の計画に是非とも参加してほしいと願い出た次第。無論、仲間も集めてあるので、危険な目には合わせないことを約束する。急で済まない。


      ~王国エイドカントリーズ執務官~


「“クシャ”、テジラさん・・・どうしよう、どうしよっか!?」

「慌ててぇ~。推薦もまだだし、ここに親のいないあんたなら行くだろ?」

「王国、でも・・・コレ、“ご両親の承認記しが要る”って書いてあるわ?」

「いいさ、私が親になってるんだし書くよ。だから行っておいで!」


 ――――


 私は直々にエイドカントリーズ国王ヴァン・マジェス・ディルタ陛下に呼ばれた。 

 それなのに、城内を彩る周囲は余りに殺風景で拍子抜けしてしまった。この王国の民は賑わいを見せるというのに、大臣、議員、騎士、兵士、侍女達はあまりに性格が暗い感じがした。この温度差は何だろうと覚える私の横には、場違いな空気を持つ男性が居たのだった。


「へぇ~~、これがエイドカントリーズかよ?俺はココで衣食住をするのかァ~」

「あの、こんにちは。あなたはここの国民なんでしょう?この暗さ何か訳ありです?」

「ん?俺はあまり知らないよ」

「そう。ところであなたは?」

「俺はライズ、ここに招かれた者」

「へぇ、私もなんですよ!ここへ招かれたんですよ?」

「君は?名前とか」

「私はイーター。イーター・アマテです」

「ふっ・・・。やはりイーター、お前だったのか。元気そうだな~幼馴染の顔って忘れられないんだな」

「ライズ?ごめんなさい、覚えていないわ」

「そうか、覚えていないよな・・・」

「でも、どうせこの城で美味しい思いをしに来たんでしょう?」

「ん?仕方ないんだよ、どこも貧困なんだから。俺も村へ仕送りしなくてはいけなくて、」


 何だか、悪い事を言った気持ちになる。仕送りなんて私にとって家族は貧困でなく普通に食べていけている。それに私を覚えてくれていた人に巡り合うなんて、一人だけじゃないって分かったから少し安心。彼も遠征なんていくのだろうか、何らかの繋がりを感じた。


「でも何か不思議よね、」と。


 彼は私の事を覚えているのかしら?


 あの“光”を・・・


――翌日

 次に、私は式典の準備をするため、指定の場所に向かう予定だった。だけど住居や店が多くてどこがエイドカントリーズ城の入り口なのか迷っていた。一度入った筈なのに忘れる。だからずっと歩いていたわ。そこで懐かしいあの子に出逢ったの。あの子は・・・、


「・・・道に迷った。仕方ない、国民へ尋ねよう――、ん?」

「ねぇ、あなた。私が誰だか憶えていない?イーターよっ!」


 咄嗟に憶えていないか、と聞いてしまった。

 この日の私、何だかおかしいのかも、と不安に駆られた。

 だけど――、


「イーターとは・・・、あの?私はミヘル。ここへ招かれたのです、」

「あら、ミヘルってあのミヘル・アントレア様なの?“サワサワ”」

「きゃっ、何です!?私の髪はしっかり洗っているのですよ!!」

「うふふ、昔と同じで小狐みたいに小さいのね。あなたも迷ったの??」

「そうなのです。余りにも道が揃っているので迷ったのですよ」


 どうも彼女の持つ布紙には私と真逆の方向が記されているよう。私のと違うならその中心部を辿っていくのが正解だろうと判断し、ミヘルと行動を共にするのだけど長い道のり。彼女は私の横で黙って付いているだけだと心細くも感じられる。翌朝7の時には式典が始まるから、夕刻には着いておかないと城門が閉まるのだから早く行かないと。


――昼の2の時

「あの、すみません・・・この城下町はじめてなんです・・・」

「おっと、ここじゃないよ!よければ私が連れて行ってあげよう、」

「いいのですね?では、私も宜しくお願い致します―ペコリ」


 歩く途中でお腹が空いたので、昼食に向かっていた。そんな折に体格の良い男性に城門の位置を教えてほしいと伝えた。彼は心優しそう。私達は食事を済ませるとその男性と共にエイドカントリーズ城へと向って行った。そして、


「ここだ。君達は親子かな?」

「お、親・・・子ぉ?い・・・、いいえ違いますぅ、」

「あまり知らないと皆に笑われるよ、気をつけてな」

「では、イーター。私とはここで」

「そ、そうね、また会いましょう」


――ゆうの7の時


“ス、ス、スタ、スタ―”


「夕食にもありつけたわ。あとは明日に・・・あ、あの人は」

「・・・で、ここへ招かれたわけで・・・はい・・・ですね」


 いま私は21歳。3年ぶりに彼と会えた。すっかりおじさんになっていて驚きはしたものの、あの甘えん坊な性格は直っているのか気になる。でも、ライズに絡まれている辺りあまり変わっていない様だったし声を掛けることにしてみた。


「あ・・・ジグル、ジグルぅ~~ようやく会えたのね・・・」

「うん?君は・・・」

「覚えているのね、あなたの恋人でイーター・アマテよ?」

「イーター?あぁ、そう・・・。僕は今の瞬間から君との立場が変わるから、ごめんよ」

「・・・え・・・?もう、興味がない・・・・・・。ふっ、仕方ないか・・・3年経ったものね、」


 忘れよう。過ぎた事だし私も18歳じゃないもの。いつまでも少女じゃないのだから異性にときめくのは止めて心のお掃除をしておこう。心の整理がつけば自ずとマジェス殿下の要件に前向きになれるだろうから、そう思っておこう!


――後日、朝の6の時

 私達4人は王国に招かれたのに、なぜ城内の拭き掃除なんてさせられているのだろう。殿下は何も言わず、側近でもない臣下に指示された。まだ計画の話を調整する前に旅に必要な身支度のしやすい形を作っておくようにと伝えられていた。これが王国というものか?


 同期だったミヘル、知らなかった筈のライズ、恋人だったジグル・・・

 結集するとは思わなかった。


「ちょっとォ、ライズにジグル!サボってるんじゃ、ない!“ドカッ”」


 ――なんてね。



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