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番外編:割れた面の行方3

「随分と奥まで逃げたのね」

祠に宿った記憶から、犯人である妖の姿を特定し、逃げた方向を割り出した。そこまでくればあとは簡単だ。逃げた方向に向かって魔術陣を読み取り、逃げ込んだ場所を特定すればいい。そうして辿り着いた場所は、森の最奥だった。

私はその場で意識を集中させ、妖の気配を探る。

「見つけた」

かすかに気配を感じた方向を指差すと、変化を解いた琥珀が目にも止まらね速さで移動した。

そして、次の瞬間。私が目にしたのは、琥珀の右前脚で押さえつけられる妖の姿だった。

 大きな白い翼に尖ったくちばしと爪。例えるなら、鳳凰のような姿をした妖が、琥珀の脚の下でじたばたともがいていた。

「離せっ!!」

「あなたが桜華様の仮面の破片を盗んだ妖ね。大人しく返しなさい。そうすれば、手荒な真似はしないわ」

すると、目の前のこの妖は、フンっと鼻を鳴らした。

「誰が貴様なんぞに渡すか!!」

よくもまぁ、この状況でそんな大口叩けたな。

イラついた琥珀が今にも踏み潰そうとしてるの気づいてる?

仕方ない。と溜息を吐き出した私は、ニィと不敵な笑みを浮かべた。

「それじゃあ、仕方ない。おいたがすぎる相手には、おしおきが必要よね?」

私はパチンと指を鳴らすと、じたばた暴れる妖を中心に、魔術陣を展開する。すると、次の瞬間、どす黒い負のオーラが妖を包み込んだ。

「あ……?ぎゃあああああ!!」

妖は更に激しく暴れ回る。苦痛を耐えるように歯を食いしばりながら。

「なにをした?」

素早くその場を離れ、私のそばに来た琥珀が問う。

「ちょっとプレゼントをあげただけだよ。"仮面の破片の手放さなければ呪いに身体を蝕まれる"ってプレゼントをね」

「全く……事象を、理を思うがままに操れるお前の能力は本当に恐ろしいな」

「素直に返してくれれば手荒な真似はしないっていったのに、それを聞かなかったあの妖が悪い」

「ぎ、ぎゃあああああ!!お、お、お前は!まさ、か!!」

のたうち回る妖が、涙を流しながら私を見る。

「私?私は水無瀬千暁。しがない魔術師だよ」

「み、水無瀬!?あああ、あの、化け物魔術師……ッ!!」

「誰が化け物だっ!!」

私の叫び声が高らかに静かな森に響き渡った。

※次回更新は明日の予定です。

Copyright(C)2023-音愛

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