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第十三話:そして現実へ

「なぜだ……?なぜ術中に嵌らない!?」

両手で顔を覆い、狼狽える赤羽に、真琴さんが鋭い声で発する。

「俺達は共に多くの苦難を乗り越えてきた。お前のちんけな術になんかやられるかよ」

「その通りね。よくも胸くそ悪い術を私達に使ってくれたわね」

未玖さんもまた、目の前の赤羽を強く睨みつける。

私と琥珀は、自然と一緒に一歩を踏み出した。

黄金色に輝く剣を素早く召喚し、その切っ先を赤羽の喉元に突きつける。

「覚悟はできてるんでしょうね?(だろうな?)」

私と琥珀の怒気に圧されたのか、赤羽は放心状態で膝をつく。

「まっ、待ってくれ……」

この期に及んで命乞いを始める赤羽。相手が私では、自分の術が通用しないと分かった以上、立ち向かうことも、逃げることも、意味を成さないということを理解しているのだろう。しかし、私達がそれに動じることはない。

「自分がしてきたことを、地獄で後悔することね」

「報いを受けろ」

琥珀の言葉が聞こえた直後。私は剣を振り下ろした。

やがて、赤羽の身体は眩い光に包まれ、粒子となって消えていく。

宙へと消えていくそれを見届けてから、私は手にしていた剣を消し、真琴さんと未玖さんがいる背後を振り返った。

「終わったな」

真琴さんの言葉に、私は静かに頷く。

どこか、泣きそうな笑みを浮かべる私に気づいたのだろうか。

彼はゆっくりと両手を広げて見せた。

それを見た私は、迷うことなくその腕の中に飛び込む。

すると、真琴さんは優しくそれを受け止めてくれた。

「ちょっと真琴!?千暁ちゃんを独り占めなんてずるいわよ!?」

「仕方ないだろ。俺がいいっていうんだから」

「一言もそんなこといってなかったわよね!?」

ぎゃあぎゃあいい合う真琴さんと未玖さんを見ながら、琥珀が呆れたように「またか……」と溜息をついているのが気配で分かる。

「いくら真琴と未玖といえど、唯一無二の相棒には勝てまい。無駄な争いは止めよ」

「なんで上から目線なんだよ」

「そうよ!猫の分際で!」

「猫ではない!偉大なる妖様だ!」

皆の声を聞きながら、私はだんだんと楽しい気持ちになっていた。

「この際だから、白黒はっきりつけましょう」

「なにをだよ」

真琴さんの怪訝そうな声が上から降ってくる。

きっと、琥珀も今、不思議そうな顔をしているに違いない。

「誰が一番、千暁ちゃんのパートナーに相応しいのか」

その言葉を聞いて、琥珀と真琴さんが同時に答える。

「「望むところだ!!」」

えっ?話があらぬ方向にいってない?

やれやれ。私は真琴さんの腕の中で顔を上げ、かけがえのない仲間達を見渡す。

「皆さん。喧嘩はそこまでにして、皆で仲良く帰りましょう」

笑って諭せば、三人は争う気力を失くしたのか、はぁっと溜息をついた。

「そういうところだよな」

真琴さんのその言葉に、琥珀と未玖さんが頷く。

「「魔性の女」」

「いや、なんで!?」

静かな森の中。私の叫び声が木霊した。ようやく、日常が戻ってきたような気がした。

ーーなにはともあれ、無事に一件落着した訳だが、後日「第一回千暁に相応しいパートナーは誰か選手権」なるものが開催されたのはまた別の話である。

※第二章完結です。本編はこれにて終了です。

明日からは番外編を更新していきます。

Copyright(C)2023-音愛

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