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里帰りをしたら実は魔術師の家系だったと知らされたので、今日から魔術師目指します  作者: 音愛
第七章:魔術師としての新たな生活の始まりです。
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番外編:未玖と暁人6

※番外未玖と暁人編、最終話です。

「本当にありがとうございました」

数日後。森の入口で私達は再び悠里と実と落ち合った。

悠里から水無瀬暁人に手渡されたのは、依頼完遂認定証。

「こちらこそ」

水無瀬暁人はそれを受け取り、優しく微笑む。そして、優しく悠里の頭を撫でた。

「これからも妹を守ってやるんだぞ」

「うんっ!」

「またねー!」と手を振りながら去って行く双子を見送ってから、私達も歩き出す。

「改めて謝罪するわ。あなたの能力を軽んじていたこと。ごめんなさい」

一度立ち止まってから頭を下げた私を見て、水無瀬暁人は笑いを漏らした。

「ははっ。気にしてないからもういい。律儀なやつだな」

「それから。あの双子の兄妹を救ってくれてありがとう。あなたにしかできないことだった」

「なんでお前が礼を言うんだよ。変なやつ」

笑いながら歩き出した彼の隣を、私もゆっくりと歩く。進む歩幅は小さい。きっと、私を気遣ってのことだろう。

「ねぇ。暁人って呼んでもいい?」

「勝手にしろ」

ーーそう笑った彼の表情はとても優しげで。今でも鮮明に思い出せる。

多分、この時にはもう、私はきっと暁人に惹かれていた。

それから私達は互いを暁人、未玖と呼び合い、時には協力し合って一緒に任務をこなすこともあった。おかげで、充実した日々を送らせてもらった。

けれど、この時の私は知る由もなかったのだ。近い未来、暁人がこの世を去ることになるなど、これっぽっちも。

「暁人。久しぶり」

「水無瀬家之墓」と掘られた墓石を綺麗に掃除してから、花を手向け、私はしゃがみこんで静かに語りかけた。もう傍にはいない、彼に向かって。

「そうそう。あなたがずっと話してた目に入れても痛くないほど超絶可愛い妹に会ったわよ。本当に可愛い子ね。あなたが溺愛するのも無理ないわ」

暁人の妹、千暁ちゃんは可愛いだけじゃない。兄同様、正義感が強く、芯が強い。兄の心の強さは妹にしっかりと受け継がれていた。

「あなたがもうこの世にいないなんて未だに信じられない時があるけれど。私があなたの代わりに千暁ちゃんを支えてあげる。だから、千暁ちゃんのことは安心して。琥珀もついてるしね」

立ち上がって、風に靡く髪を押さえながら、私はいう。

「ーー大好きよ。暁人。今でも、これからもずっと」

本当に好きだった。彼と過ごす時間は宝物といっても過言ではなかった。彼はそのことに、少しでも気づいてくれていただろうか。

零れそうになる涙をなんとか堪え、私は墓石を見つめる。

暁人が死んだと知った時はとても悲しかったし、辛かった。

胸が張り裂けそうだった。けれど、私は立ち止まってはいられない。暁人ができなかった「妹を守り続ける」ということを、私が暁人の代わりにやってあげたい、否、やらなくてはならないと思ったからだ。

「また来るわね」

そう呟いて、墓石に背を向けて一歩を踏み出す。すると、その直後に一際強い風が頬に当たった。

ーーありがとう。未玖。

風に乗ってずっと恋焦がれていた優しい声が聞こえてきたような気がして、私はもう一度だけ、墓石を振り返った。

「私に恋を教えてくれてありがとう。暁人」

※番外編、もう少し続きます。次回更新は明日の予定です。

Copyright(C)2023-音愛

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