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里帰りをしたら実は魔術師の家系だったと知らされたので、今日から魔術師目指します  作者: 音愛
第七章:魔術師としての新たな生活の始まりです。
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番外編:琥珀の大冒険4

 綾子に別れを告げ、元来た道を戻る。しかし。途中で私は足を止めた。なぜかって?思った以上にスカーフの中身が重いからだ!本当に不便だな、この小さな身体は!

ゼーハーいいながら必死に歩いていると、聞き覚えのある声が上から振ってきた。

「あら?琥珀?」

少しだけ顔を上に向けると、そこには予想した通り、未玖の姿があった。

その右手にはなぜかケーキが入っているであろう、四角い箱が握られている。

「なんだ。お前か」

「なんだってなによ。失礼ね。こんなところでなにしてるのよ」

「ただの散歩だ」

「千暁ちゃんは?」

「千暁は今、時計の修理に苦戦中だ」

それを聞いて、なにかを悟ったらしい未玖は、「ははーん」といいながら意味ありげにこちらを見つめてきた。全く。余計な時にばかり勘が働く嫌なやつである。

「この道は和ごころに続く道ね。忙しい千暁ちゃんのために差し入れ調達しに来たの?」

「そうではない。単なる気まぐれだ」

「素直じゃないわね。というより、琥珀ったら本当に千暁ちゃんのこと大好きね」

「当たり前だ。あれは私の唯一の主だからな」

そう返した私に意表を突かれたのか、未玖はその双眸をまん丸にしている。これは面白いものを見た。

「今度は逆に素直ね。その荷物、重いんでしょう?持ってあげるわ。私もちょうど、千暁ちゃんのところに行く予定だったの」

未玖は右手に持ったケーキの箱をちょいと持ち上げてそういった。

どうやら、最近会う機会が減った千暁の様子を見に行くところだったらしい。

ならば、お言葉に甘えるとしよう。私は和菓子を未玖に託し、彼女と共に水無瀬時計店へと歩を進めた。

 時計店に戻ると、千暁はちょうど作業を終えたようだった。

孝之と千代子は奥の作業部屋へ向かったのか、表にその姿はない。

「未玖さん!いらっしゃい。あれ、琥珀も出かけてたの?」

「千暁ちゃんこんにちは。たまたま外で琥珀に会ったの。これお土産」

「わぁ!ケーキですか!?ありがとうございます!」

「それから、こっちは琥珀から」

差し出された和菓子の袋を受け取った千暁は目を見開き、私を見た。

「琥珀が?まさか、おつかいに行ってくれたの?」

「そうみたい」

未玖の言葉に、千暁は私をまじまじと見つめてくる。そして、気のせいかもしれないが心底嬉しそうに破顔し、大事そうに和菓子を抱え直した。

「ありがとう。琥珀」

皆でティータイムにしましょう。と千暁は奥へと引っ込む。

待て。私の昼ご飯を忘れるなよ。

「良かったわね。琥珀」

「やかましいわ」

周囲に聞こえないようにごく小さな声で呟く。

すると、未玖はふふっと楽しそうに笑うのだった。

 重度のお人好しだろうと、魔術師として未熟だろうと、彼女が私の唯一の主であることに変わりはない。それに。

なんだかんだいいつつも、私は水無瀬千暁という一人の人間を気に入っているのだ。

彼女の魔術師人生に幕が閉じるその日まで。私は千暁のそばにいよう。従者として、支え続けよう。

そう改めて強く誓ったのであった。

※琥珀の大冒険、完結です。

次回更新は明日です。

Copyright(C)2023-音愛

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