第二十四話:人と妖が住まう村4
※前回からの続きです。
やや短めです。
緑水さんの家を出て、私はツキミ様が祀られているという祠に向かった。
確かに、緑水さんの家のすぐそばに小さな祠があった。そこに茶色い土で作られた壺が置かれていた。
この壺をツキミ様が依代とし、中には川の水が入っているそうだ。
先程聞いた緑水さんの言葉を思い出す。
ーーツキミ様は現在、この村の近くに流れる神聖な川の力により、延命措置を取られています。
その川には元々、川に住まう神がいたらしい。現在は消滅し、神はいないが今も尚、その神の力が微かに宿っているとのこと。ツキミ様は川の水に触れることでその恩恵を受けているという。
「ツキミ様。聞こえますか。水無瀬千暁といいます」
静かに問いかけると、微かな声が返ってきた。
ーーあなたが依頼を引き受けてくださった魔術師ですね。
「はい」
ーー申し訳ございません。私の力が弱いばかりにご迷惑をおかけして……。ですが、魔術師の方を頼る以外にこの村で起こっている問題を解決する方法が分からないのです。
「最善は尽くします」
ーーしかし、お気をつけを。けしからん輩がこの村を狙っているようですから。
ツキミ様の言葉の意味が分からずに首を傾げた時。突然、琥珀が変化を解いて私を庇うように前に出た。
その表情はとても険しい。私も微かにその気配を察知して、振り返る。
そこにいたのは、黒い羽織を風に揺らしながら静かに佇む魔術師だった。短い茶色の髪が風で靡いている。
着物の上から羽織っているその羽織に描かれているのは、菊の紋様だった。
名乗らずとも、目の前にいる人物が誰か分かった。
「……九条真琴」
「さすがに俺のことは知っているか」
「なぜここに?」
「この村の依頼を受けた者がいると聞いてな。邪魔をされては困ると偵察に来たが、お前なら問題なかったな。ろくな魔術も扱えない魔術師に解決できるような容易い問題ではない」
※続きます。次回更新は明日になります。
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