第二十三話:人と妖が住まう村3
※続きです。
まず話を聞いたのは、妖の緑水さんだ。村長の住まう家に招かれ、そこで詳しい話を聞くこととなった。隣には最初に出会った少年ーー蒼龍くんの姿もある。
現在、妖と人間は村内で領地を分けて暮らしているという。緑水さんの話を聞いた後、私は人間の領地へ赴くこととなっている。
「早速ですが、依頼の詳しい内容をお聞かせ下さい」
出されたお茶を一口、口に含んでから私は話を促した。
「この村の起源はご存知で?」
「はい。大飢饉の際に人間が手助けしてくれたことがきっかけで共存に至ったと」
「その通りです。では、土地神様のこともご存知ですね?」
私は小さく頷いた。
「人間と妖が共存を初めてから、土地神様ーーツキミ様の加護を受けながら至って普通の生活を送っていたのです。我々の共存関係が崩れたのは、三ヶ月前のことです。我々は自分達で田畑を耕し、自給自足の生活を送っていたのです。しかし、最近になって寿命が近づき、衰弱したことにより、ツキミ様の力が弱まってきてしまったのです」
悲痛な面持ちで緑水さんは続ける。
「それ故にツキミ様にはもう、天候や災害から土地を守る力がなくなってしまったのです。現に今、この地では雨が降らず日照りが続いております。ですが、ツキミ様の加護は受けられません」
「では、食料はどうしているんですか?」
「本来であれば誰か助けを求められる相手がいれば良かったのでしょうが、残念ながらこの辺りに住まう者は我々だけです」
「待って下さい。人間には人間界で働く、という選択肢もあるのでは?」
その疑問に答えたのは琥珀だった。今は猫の姿に戻り、私の膝の上にいる。
「ここは長らく外界から遮断された場所だ。いくら人間であっても外界で生活するのは厳しいだろう」
確かに、一理あるのかもしれない。人間界の普通の一般人でさえ、長らく社会から遮断された生活を送っていれば社会復帰はなかなか思うようにはいかない。
「人間界のルールを知らない我々妖はもっての他です。結果、私達は数少ない食料を奪い合うようになったのです」
緑水さん曰く、これまで備蓄していた食料に加え、森中を探し回れば僅かばかりの木の実を手に入れることができるのだという。しかし、人間も妖も生きるのに必死だ。食料を巡って毎日いざこざが起きているらしい。このままでは本格的に戦争が勃発してしまうのではないかと、緑水さんはギルドに現状の解決を依頼したそうだ。
「そのツキミ様という土地神様は今どちらに?」
そう問うと、蒼龍くんが答えてくれた。
「この家のすぐ隣に小さな祠がある。そこに祀られているよ」
「なるほど。ありがとう」
お礼を言えば、蒼龍くんは照れたように顔を背けた。可愛い子だなぁ。
「お話は分かりました。出来うる限りのことはします」
※続きます。次回更新は明日です。
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