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第二十二話:人と妖が住まう村2

※前回からの続きです。

「ここ?」

「そのようだな」

山奥をひたすら進み、途中現れた下り坂を下ると目的地が見えてきた。

確かにそこは拓かれた土地で、多くの人間や妖が住まうには十分な広さだった。

早速、村に入ろうとした私はすぐに違和感に気づいた。村に入ったはずなのに、なぜか身体がたった今通って来た道に向いているのだ。

「入れない……?」

「結界が張られているな」

「結界?」

「外界と遮断するためだろう。見知らぬ一般人が迷い込んできては大変なことになるからな。普通の人間にはこの先に村があることすら認識できていないだろう」

「なるほど」

結界にはそういう使い方もあるのか。私が知らない魔術がまだまだ存在するようだ。

「とはいえ、魔力のある者は通れるはずだ。集中して魔術陣を展開してみろ」

それなら、と私は頷く。記憶を読み取る時も魔力を集めた魔術陣を用いる。最近ようやく、魔力を形として表すことに慣れてきた。

結界に手を翳しながら琥珀の指示通りに魔術陣を展開する。すると、先程とは打って変わってすんなりと内側へ入ることができた。

琥珀と一緒に中に入ると突然、正面から怒声が飛んできた。

「卑しい人間め!!我らを追い出すために仲間を増やすつもりか!!」

そこにいたのは、一人の妖だった。背は低く、小さいな少年のように見える。まだ子どもの妖のようだ。顔の造りは人間と大差ないが、その両手は獣のように鋭く尖っていた。

「違います。私は……」

事情を説明しようとするが、なぜか彼はかなり憤慨しているようで、こちらの言葉は届かない。

私を追い出そうと近くにある小石を手当たり次第に投げてきた。

「ちょ、あぶなっ……!!」

慌てて両腕を顔の前に出して防御する。それを見兼ねてか、琥珀が変化を解いて元の狼のような妖の姿に戻り、私の前に出た。

「おい、小僧。やめんか。我々は怪しい者ではない。ギルドより依頼を受けて来た魔術師だ」

琥珀の気迫に圧されたのか、少年はその顔を恐怖に歪めている。やばい、やりすぎたか。そう思った矢先。騒ぎを聞きつけたのだろう。一人の妖が駆けつけてきた。杖をつき、曲がった腰をそれで支えている。見た目は初老の男性だがその手は少年と同じように人間のそれではなく、獣のような手をしていた。

「なにごとじゃ!?」

駆けつけた妖に私はすかさず説明を始めた。

「私は水無瀬千暁。こちらにいる妖は相棒の琥珀。ギルドから命を受け、この村の依頼を引き受けに参りました」

矢継ぎ早に一度に説明すると、驚きを見せつつも彼は納得してくれたようだった。

「私はこの村で住まう妖達の長。緑水と申します。あなたが依頼を引き受けてくださった魔術師の方ですね。早速、お話を……」

杖をついた妖ーー緑水と名乗る彼がそこまでいった時。どこからともなく鋭い声が飛んできた。

「ちょっと待て!!依頼はこちらからも申請している!!こちらの話も聞いてもらおうか!?」

同じように騒ぎを聞きつけたのか、勢いよく割り込んできたのは濃い髭が目立つ中年の男性だった。魔力の気配がしないため、こちらは人間で間違いないだろう。ここで共存している人間の内の、その一人のようだ。

「今、ワシが彼女と話をしておる!!邪魔をするでない!!」

「依頼を申請している以上、こちらにも話を聞く権利はあるはずだ!!」

「あ、あの……」

目の前で突如、妖と人間の喧嘩が始まってしまった。

このままでは埒が明かないと、私は順番に双方から話を聞くことにした。

※次回更新は明日になります。

Copyright(C)2023-音愛

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