第二十一話:人と妖が住まう村1
※やや短めです。
私と琥珀がやって来たのは、隣町にある山奥だった。決して大袈裟ではない。山奥だ。なぜこんなところにいるかって?エレナさんに紹介された依頼をこなすためである。隣町まではかなり距離がある上に山の奥深くまで歩いてきたため、既にかなり疲れている。
なんでも、この先に私に任せたい依頼があるのだとか。山奥に進み、ゆるやかな下り坂を下った先に山月郷といって今では珍しい、人と妖が共存する小さな村があるらしい。その起源は、この辺りを大飢饉が襲った際にたまたま通りかかった人間が飢えに苦しむ妖達を見て、持っていた食料を分け与えたところから始まる。人間は妖達のために近くにあった今はなき自身の故郷から食料を持ち込み、妖達を救ったのだという。その人間の一族はどうやら妖を見ることができるつまりは、魔力を秘めた一族だったようだ。とはいえ、魔術を扱うような場面はなかったようなので、魔力を秘めているとはいっても、微々たるものだったようだが。それがきっかけとなり、多くの人間がこの地に移り住み、共存を始めた。この地には元来、土地を守護する土地神がいて、その土地神を中心に据え、村を繁栄させたという。しかし、中心となって村を支えていた土地神が今、危機に扮しているらしい。寿命が短くなり、土地を守る力が弱まったが故に日照りが続き、毎日続く悪天候から土地を守ることができなくなってしまったとのこと。土地神の力は元々、天候や災害から土地を守り、豊作に導くことにあるという。だが、その力が失われつつある。それにより、人間と妖の間にいざこざが生まれ、今では対立していると聞く。エレナが千暁に任せた依頼は「仲裁」だった。つまり、双方の対立を解消させることが今回の依頼内容である。
※新たな任務の開始です。続きます。
次回更新は明日になります。
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