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第十七話:ギルド訪問1

※第三章突入です。

やや長めです。

「あなたに依頼して良かったわ。解決してくれてありがとう」

初依頼をこなした数日後の朝。クロノさんから依頼を受けた喫茶店で、私は再び未玖さんと会っていた。依頼の結果を伝えるためである。もちろん、猫のぬいぐるみに化けた琥珀も連れて。

「いえ。私は大したことはなにもしていません。琥珀が支えてくれたおかげもありますから」

「ですってよ。琥珀。良かったわね」

「私のような強力な妖がついていれば当然のことだ」

「まぁ。自意識過剰」

「なにをっ!?」

涼しげに言葉を発する未玖さんに琥珀は食ってかかりそうな勢いで叫ぶ。もちろん、脳内で、だが。そんな琥珀を「まぁまぁ」と宥めながら場を収める。

「ギルドへはもう行った?」

「いいえ。これからです」

「報酬はきちんと受け取りなさいね。あなたの努力の結果なんだから」

優しい笑みを向けられ、私はちょっと照れながら、ありがとうございますと素直に返した。

「ただ」

「ただ?」

言葉を区切った未玖さんの表情が一瞬で険しいものに変わる。私は反射的にゴクリと唾を飲み込んだ。

「ギルドには当然、九条家の者も出入りしているわ。琥珀がいるから問題ないとは思うけれど、決して気は抜かないように」

「はい」

重々しいその言葉に、私はしっかりと頷いて見せた。


「それじゃあ、ひとまず……かんぱーい!」

その日の夜。私は自分の部屋で琥珀とお酒を楽しんでいた。

未玖さんへの報告を終えた私と琥珀は一度時計店へと戻ってきた。ギルドへは明日出向くことにして、今日一日はゆっくり過ごすことにしたのだ。とはいえ、いつも通り時計店の手伝いをしていたこともあり、あまりゆっくりできていないというのが実情だが。けれども、今日一日は魔術師としての生活から離れ平穏な時間を過ごすことができた。

一通り仕事が終わった私は、琥珀と一緒に晩酌を楽しむことにした。お酒好きの身としては、最高のひとときである。

「やはり美味いっ!美味いぞっ!この酒は!」

私の隣で、琥珀は上機嫌でウイスキーが入ったグラスを傾けている。前々から思っていたが、小さな両脚で器用にグラスを持っていて、両脚の使い方が人間並に上手い。

「相変わらず、美味しそうに飲むね」

「お前が飲める口だからか、こうして一緒に酒を飲むのは実に愉快だ」

きゅん。胸がそんな音を立てた気がした。なにそれ。そんな可愛いこといわれたら単純な私は簡単に絆されちゃうぞ。

「私も琥珀と飲むの楽しいよ」

素直にそういえば、琥珀はふいっと顔を背けてしまった。

「あれ。もしかして、照れてる?」

「照れてなどおらんわ」

「可愛いなぁ。もうっ」

持っていたグラスを一旦置いて、私は琥珀を抱き上げた。

「おい、こらっ!離さんか、バカ者!」

「もふもふ……癒し……」

「聞いとるのか!」

腕の中で騒ぐ琥珀を無視して、私はいつものように柔らかな毛並みを堪能する。今、最高にだらしない顔をしている自信がある。

「もふもふだ~」

「いい加減、離さんか!」

こうして。穏やかな一日は、騒がしくも楽しく過ぎ去っていったのだった。

※続きます。

次回更新は明日になります。

Copyright(C)2023-音愛

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