第十二話:冷たい真実1
※初依頼、いよいよラストスパートです。
少し短めです。
私は琥珀とクロノさんを連れて河原を抜け、森に向かった。この森は幼い頃に兄貴とよく一緒に遊んだ場所でもある。故に、この森でシロツメクサが唯一生える場所を知っている。
そこは陽当たりのいい、街に通じる細い一本道。その場所で私達は聞き込みを行った。空にはもう、夜の帳が落ちかけている。すると、こんな証言を得ることができた。
「あぁ、その妖なら見たことあるよ。もうだいぶ前だけれど」
「本当ですか?」
鼠のような姿をした小さな妖が間違いない、と呟く。
「私は草の茂みに隠れていたんけれどその妖、ある魔術師に追われていたんだよ」
「ある魔術師?追われていた?」
「詳しくは分からないけれど、魔術師はすごい形相でその妖の後を追っていたから、理由はなんであれ、魔術師を怒らせてしまったんだと思う。それにこの辺りには魔力欲しさに手当り次第に妖を狩る嫌な魔術師も多く存在するから」
あまりに不快な話の内容に、私は無意識の内に眉を歪めた。世の中には善人と悪人がいる。当然のことながら、魔術師達の中にも善と悪が存在しているのだろう。それはなにも不思議なことではない。だが、そのことに納得ができるか否かは、別問題だ。
「その魔術師の特徴は?なにか覚えていることはありませんか?」
「そういえば、その魔術師が身にまとっていた着物の羽織に菊の紋様が入ってたような」
その言葉を聞いて、声を荒らげたのは琥珀だった。
「菊の紋様だと!?」
「なに?どうしたの?」
そう問えば、琥珀は嫌悪を隠そうともせず、吐き捨てるようにいった。
「菊の紋様は九条家の家紋だ。家紋の入った羽織を着ることは当主にしか許されておらん。こやつが見た魔術師とは九条家当主、九条真琴で間違いない」
返された言葉に私は絶句した。
「九条家当主……?御三家の当主が妖狩りをしてるの……?」
「九条家は御三家にありながらそういう腐った一族だ。当主が妖狩りをしていてもなんら不思議ではないわ」
ふと、クロノさんを見れば彼は魂が抜けたように、顔面蒼白になっていた。それはそうだろう。友人がかなりの危険に晒されているかもしれないのだ。否、無事に生き延びることができたのかどうかも定かではないのだから。
「今日はもう遅い。暗くなってきたし、捜索はまた明日再開しよう」
クロノさんにも私にも、情報を整理する時間が必要だ。どうやら、私の初任務はそう簡単には終わりそうになかった。
※次回更新は明日になります。
Copyright(C)2023-音愛




