第42話 張り上げる声と降りかかる手
作者は語りたいその42「猫の好奇心」
猫って、猫じゃらし好きじゃないですか。あれって動くものが好きっていうことなんでしょうか?それとも何か別の理由があるんですかね?私はそういったことは詳しくないのですが、でも猫が遊んでいる様子を考えると、それ以外に思い浮かばないです。
「そもそも俺は……既にあの猫に触れてしまったことにより、突然死の恐怖に怯え続ける毎日を送るようになりました。あのエルラとかいう奴が、俺にクイズを出して楽しんでいる!そんなふざけた毎日を送っています。あんな苦しみを……順子ちゃんや瑛子に味わってもらいたくないんです!」
俺は必死に訴えた。正直伝わる可能性は低いと思った。なぜならこの辛さは、
本人にしかわからないものだから。こんな恐怖があると伝えても、それが伝わる可能性位は低い。
「お気持ちはわかります。しかし……剛士さんのゲームを終わらせるためには、それなりの覚悟というものが必要だと思うんです。なので私と瑛子ちゃんは、全然そういったこと気にしません」
「……!」
なんだ……?死ぬのが怖くないのか?まるで絶対に死なない!という強い自信があるように感じた。
だがその自信はどこからやってくるのだろう?
「とにかく……あの猫は順子ちゃんに興味があるようです」
「……瑛子!」
あの猫は瑛子の方に向かって歩いている。
「瑛子離れろ!このままじゃお前は……!」
俺は必死に声を張り上げた。
「お兄ちゃん……」
「……?」
「大丈夫だよ……私は」
「……!」
そして間もなく……あの猫は瑛子の体に触れてきたのだ。
「あああああああああ!」
終わった。俺が想定していた最悪の事態が起こってしまった。せっかく何かあったとき止められるように、常にあの猫のことに注意していたというのに!
……となると俺はもう……あの猫が本当はエルラのクイズに関係なかった。ということを祈るしか無かった。俺は必死に祈った。とにかく祈った。まだ俺に神様がいるのであれば、どうか……瑛子と順子にだけは、突然死の恐怖に耐える生活を過ごさないでほしい!
……少しすると、あの猫は瑛子の元を離れ、去っていった。
「瑛子!大丈夫だったのか?」
「うん、特に何も問題ないよ」
「……そりゃあ今は問題ないさ」
だって、俺があの猫に触れたときも、そのときは何もなかったのだ。だが、少し経つとエルラが現れた。というパターンだったからな。
「ひとまず、何かあったらすぐ教えてくれよ」
「大丈夫だよ」
俺は心配しつつも、なんとか無事であってほしいと祈ることにした。
すると順子が話しかけてきた。
「あの猫、走る速度をよく変えますよね。気分で変えているのでしょうか?」
「……?」
よく見てみると、さっきより遅く走っている。
……いや!この速さ、ニュースで見たときと同じ速さだ。つまりたまたまさっきは、ニュースとは違う速さで走っていた。ということだったのか!
さっきまで考えていた疑問は、すぐに解決された。
作者からの小話その42「絶対的な自信について」
順子は、なぜかあの猫のことを全く怖がっていません。そして瑛子もまた、あの猫から逃げたりはしませんでした。猫に触れられると突然死の恐怖が始まる可能性があるというのに、なぜ逃げたりしなかったのでしょうか?…本当に、主人公を助けたいという理由だけで逃げなかったのでしょうか?




