誘拐と疑念
どもども。
ちょうどファウスがアマドの部屋に入った頃、もう1人このハイロット城に部外者が侵入していた。
「アオス様!!」
「クリア、静まりなさい。おおよそ検討はついているので放っておきなさい」
翼を逆立て眼に炎を灯したクリアをアオスはなだめ笑う」
「こんにちはディア様」
「どなたかしら?」
ディアの部屋に突然全身をローブで覆われてあ男が現れる。
しかし、ディアは動じる事なく得体の知れない相手に名を質問する。
「私はヨルムと申します。ファウス様、オーリス様の親しき友人…」
「消えなさい」
ディアは男の立つ場所に氷柱を突き出させ串刺しにした。
「私の知らない2人の友人なんているわけないでしょ!」
個人的な私見、ここに極まれり。
どこの世界でも彼氏、彼女が知らない友人の1人や2人くらい誰にでもいるはず。
バレたらまずい関係の友人かは置いておいてもディアの知らないオーリスとファウスの友人は多分そこそこいるはず。
いや!
実際にいる。
間違いなく存在しているがディアはそんな事を気にしない。
なぜなら、2人の友人がいないと本気で思っているから。
しかし、万が一にもそんな友人が居たとしてもこんな攻撃如きを避けられ無いわけがないし、ましてや死ぬとは思えない。
あの2人の周りにはそんな相手しか寄ってこないのだから!
「ん?」
「ん?」
世界のどこかで2人だけが反応する。
1人は頭の中がぐうたらに塗れ、1人は女の胸やら尻やらしか覚えていないよな相手の友人が1人2人死んだところでなんだと言うのだ。
何も問題ないとも本気で思ってます。
「いやー、危ない、危ない」
「あら?逃げてくれたのね。今の私、機嫌が悪いので」
ディアは不機嫌だった。
自分を訪ねるでもなく母アオスといちゃつき自分を無視したオーリス。
しまいには挨拶なしに帰って行った腰抜けオーリス。
今か今かと白無垢を来て待機していたディアは腹わたが煮えくりかえるほどの怒りを自身の中に抱いていた。
もーこーなってしまっては手のつけようがない。
何せあのアオスの血をひく唯一の存在。
その血が沸き立ているのだから。
ディアが微笑むと部屋の中がキラキラと輝きだす。
ダイヤモンドダスト現象。
空中の水分が冷気によって凍り光を乱反射させて起こる現象がいまディアの部屋の中で起こっていた。
「おやおや?」
ヨルムの手足が凍り始める。
「恨むならオーリスを恨んで下さい」
「あらあら…なんて」
四肢の末端が黒く変色し出したが次第に赤みを帯び始め氷も溶けて行く。
「危害を加えるなと言われているので手荒な事はしたくないのです」
ヨルムはスッと手紙を取り出してディアに投げた。
「なにかしら?」
飛んできた手紙をディアが受け取り開く。
「まさかっ…!!本当なの!?」
「勿論ですとも。だからこそディア様の力を是非貸して頂きたいのです。当然、拒否する事も出来ますが…その時は残念ですが」
「用意周到ね。これでは断れないじゃない」
「ご理解が早くて助かります。ディア様のお相手が私、ヨルム・ヨネスで申し訳ありませんがさっそくエスコートさせて頂きます」
「仕方ないから、あなたに着いていくは」
コンコン。
ディアの部屋を執事が訪れるとそこには誰もおらず、壁に血で書かれた文字だけが残されていた。
『オーリス、助けて』とだけ。
その事はアオスにすぐに伝えられ騒動となりファウスが逃げる隙を作った。
ディアはヨルムによって誘拐された。
その頃オーリスはと言うと何も知らずに自分の領内をのんびりと歩いていた。
「魔族だ!!魔族がいたぞ!」
そして簡単に見つかり騒動の渦中へ。
「この風貌…コイツは魔王だ!!騎士様方とエルダ様に報告しろ!すぐにだ!!」
「剣を構えろっ!絶対に逃すな!」
「コイツを殺せば…一生遊んで暮らせるだけの謝礼が…」
「死ねぇー!」
1人の兵士が大きな斧を振り上げオーリスを襲った。
「先走りやがって!」
斧を振り下ろした男の顔面は潰れ地面に倒れる。
「そう焦るなって。この軍隊の中で1番偉い奴に会いたいんだけど…コイツじゃないよな?」
オーリスは反射的に顔面に拳を叩き込んだ相手を指差して人間に質問した。
「エルダ様!」
エルダの下に兵士が飛び込んできた。
「何事だ」
「はっ、先程魔王発見の報告がありお伝えに参りました」
「魔王だと!?どこの魔王だ!?名は!?」
「オーリス領の魔王で名はオーリス・ロイス。宜しく頼むよ人間の偉い人」
オーリスは兵の入ってきたドアから自己紹介がてらエルダの前に姿を現した。
「なっ……」
初めて魔王を目の前にし言葉を失うエルダ。
「あー、緊張しなくていいから。何がしたいって訳でもないし。ただ、偉い人と話をしたいなと思ってさ。でもそちら側拒否すると言うなら…」
オーリスは拳をギュッと握る。
「わ、わかった。少しお待ち頂きたい!会談をしたいと言うなら今すぐ場を整えさせる!」
「会談ってほどじゃないからここでいいよ」
オーリスは椅子に座り腕組みした。
オーリスはエルダのみと話がしたい事、周りには誰も近づけさせない事を要求しエルダはそれを受け入れ2人っきりの会談がはじまった。
「魔王様とお呼びすれば宜しいでしょうか…」
「かたっ苦しいの好きじゃないからオーリスでかまわない。俺もお前のことをエルダと呼ぶし」
「わかりました。それではオーリス様」
「だから様とかいらないって。フランクに話しをしないか?」
「わ、わかりました。それではオーリス。この会談の目的をお聞きしても?」
「敬語とかいらないって。俺ってそんなに怖いか?」
「怖いとかそうゆうものではなく…その、オーリスは魔王である以上、人間で言えば国王みたいな存在で敬意を払うべき存在でして」
「よくわかんないけど、面倒だからそれが話しやすいならそれでいいや」
話がいっこうに進まない。
しかし、これはエルダの思惑通りだった。
自分を守ってくれる存在は近くにおらず、ましてや向かい合う相手は魔王。
名のある騎士どもが束になって勝てるかどうかすらわからない存在の機嫌を損ねようものなら一瞬で自分らこの世から消されてしまう。
自分を守れるのは自分だけ。
エルダは震える脚を手汗でびっしょりとなった手の平で必死に抑えながらも頭の中をフル回転させこの場をどう乗り切るか考える時間を稼いでいた。
「申し訳ないが、今一度聞きたいのだが。なぜこのような会談を設けたのでしょうか。魔王オーリスの力を持ってすれば我々の軍など時間は多少かかれど苦もなく排除できたのではないでしょうか。それなのになぜ?」
「会談の理由か?」
「はい」
「面倒だから」
「…面倒?それだけですか?」
「そうだけど」
エルダはオーリスの答えに唖然とした。
いやいや、そんな訳はない。
魔王だぞ。
「私を人質にしたり、操つったり、見せしめに殺すとか」
「それが面倒なんだって」
「……」
エルダが戸惑うのも仕方ない。
本来魔王に君臨する存在はあらゆる物を奪い、破壊し、そして人間を殺すことで自分自身の欲求を満足させ魔族の王としての威厳を示す。
その欲求が何なのかは魔王それぞれだが大半は金銭欲、色欲、名誉欲。
そんなエルダが幼い頃から言い聞かせられた魔王の存在と全くオーリスが噛み合わない。
ただ、エルダが認識している魔王は正解である。
オーリスみたいなのは本当に稀の中の稀。
希少価値は魔王としては皆無だがそんな相手も中には存在しているのも確か。
「本題なんだけど」
「はい…」
「お前らの裏で糸を引いてるのってファウスとか言う女好きだったりする?」
後1時間少しで誕生日を迎えます。
嘘つきな猫です。
この歳になると嬉しやら悲しいやらですがそれでも歳はとっていくものなんだなと。
仕事も、心が早くも折れそうになってますがもう少しがんばりたい…。
新人の皆様も同じく苦労していると思いますが無理せず頑張って下さい!
それではまた!
気が向いたらブックマ、評価、感想下さい!




