果たされた約束
お久しぶりです!
「オラオラァッ!どーした魔族!!」
ヴォルデインの熱く太い腕がイース目掛けて猛スピードで向かって来る。
必死に避けたがヴォルデインの腕から発する熱がイースの肌を軽く焦がした。
「熱っ!!」
「もう少し耐性強化するなり余裕を持って避けないと」
「何後ろから観察しているんですか!!あなたは前でしょ!前!」
「そんなの誰が決めたんだ?そんな規則も法律も存在しないから」
「真面目な顔でなに言ってるんですか!?メインはオーリスさんでサポートに私が入るのが当然ですよね!?と言うか、普通はオーリスさんが手本とか見せるでしょ!」
「あーだこーだ煩いなー」
「煩くもなりますよ!こっちは命かかってるんですから!!」
「命って言うのは儚いものだよ」
「勝手に私の命を散らそうとしないで下さい!!私にはするべき、守るべき相手が待っているのですから!!」
「待ってるかはわからないだろ」
「いーからオーリスさんが前ですーーっ!!」
イースはオーリスの背中を押してヴォルデインの前に突き出した。
「ファウスなら文句言いながらも俺を楽させてくれるんだけどな」
「すみませんが、私はファウスさんではないので!」
突き出されたオーリスは渋々ヴォルデインの前に立つ。
「おっ!?選手交替か?情けない魔族だ。もう少し根性見せっ!!!?」
ヴォルデインが魔族2人に呆れている最中にオーリスは躊躇なくヴォルデインの横っ面をぶん殴った。
「えっ……?」
「よくわからない時はとりあえず殴る。わかったか?」
「いや…あちらの方はまだ何か話途中だったと思うんですけど…」
「そんなの知らないよ。俺が頼んだ訳でもないし勝手に話してきたんだから関係ないでしょ?」
あっ、この人こんな人だったと改めてイースはオーリスの事を少し理解した。
ヴォルデインは足元に流れる溶岩の中になぎ倒される。
するとなぎ倒されたヴォルデインの周囲の溶岩が異様なほど沸騰し始めた。
「いい度胸してるやないか我っ…。ちょっと脅かしたろ位に思っていたけど辞めじゃボケェッ!!!お前ら2人は身体がドロドロになるまで溶岩漬けにしてから喰ってやるからなっ!!」
ヴォルデインの眼の色が黄色から真っ赤な真紅色に変化した。
「ヤバイですって!!」
半泣きの震えるイースの肩をポンっとオーリスは叩いた。
「イース。お前はわかってないな」
「何がですか!!」
「アオスおばさん…」
「オホンッ」
ゾワッ。。。
どこからか聞き覚えのある咳払いがオーリスには聞こえた気がした。
「馬鹿やろぅ!何がおばさんだ!あれだけ美人なおばさんがいるかぁ!!」
「私は何も…」
「いーや。イースが言った気がする」
「そんなー…そんなー」
「さっきの続きだが…」
オーリスはおばさん発言をイースに擦りつけたまま話題を変えた。
「アオスお姉様に捕まった時点で我々のヤバさはMAXだから今更騒いだところで何も変わらないんだって」
「それを早く言って下さいよ!」
「言わなかった?」
「おうおうおうっ!俺様を差し置いて雑談とはいい度胸だなクソ魔族がっ!」
ヴォルデインは周囲の高熱蒸気を大きく息を吸い込み口元から炎が漏れ出る。
オーリスはイースの首元を掴み後方に飛んだ。
「逃すかぼけがぁ!」
ヴォルデインは巨大な炎の大波の如く吐き2人の魔族に向けた。
イースは咄嗟に氷の障壁を張ったが一瞬で溶かされ高熱の蒸気と炎が2人を襲った。
「これはさすがに無理だわ。お前は下がってろ」
オーリスはイースを後ろにぶん投げ炎の前に立ち、そしてそのまま飲み込まれた。
「オ、オーリスさんっ!!!」
ヴォルデインに吐かれた炎はオーリスを中心に渦を巻き火柱となった。
「くそっ!俺がお願いしたばかりに…オーリスさんが…」
「なんだ?」
「え?」
火柱の中からオーリスの声が聞こえる。
「オーリスさん!?オーリスさんなんですか!?」
「当たり前だろ。俺とお前とでっかいトカゲ以外に誰がいるんだよ」
炎はオーリスに向かって流れ込む。
正確にはオーリスでは無く黒騎士に向かってだが。
オーリスの目の前には真っ黒な鎧を纏った影らしき物体がたっている。
「えー…」
イースは何が起きたのか理解できない。
「悪いけどあれなんとかしてくれる?」
「……………」
黒騎士は頷きヴォルデインにゆっくりと近づく。
「何だそいつはっ!俺様の炎はどこに行った!!」
「炎ならどこか分からないとこにいったみたいだな」
「どこかだと!?」
黒騎士の鎧の隙間から真っ黒な霧のようなものが漏れている。
「あれ?いつもと違うけど黒騎士さん大丈夫?」
「バキッ………バリッ……」
黒騎士の鎧にヒビが入っりその隙間から更に黒い霧状の何かが激しく吹き出してきた。
「オーリスさん!それは何なんですか!?」
「知らないよ。貰った物だし」
「物なんですか?」
「者かもしれない」
「どっちですかっ!!」
「だから知らないって」
「この気配……。覚えがあるぞ!」
ヴォルデインは黒騎士の気配に覚えがあった。
はるか昔に一度だけ感じたことのある気配。
忘れもしない若かりしヴォルデインが死を覚悟した相手の気配。
「そんな馬鹿な……。おい!そこの魔族!」
ヴォルデインがオーリスに声をかける。
しかし、シカトされました。
「聞こえんのか!そこの魔族!」
「オーリスさん!ドラゴンが読んでますよ!」
「ん?俺のことか?」
「当たり前だっ!!」
「何だ?ドラゴンとあろう者が命乞いでもするのか?」
「そんなみっともない事するか!ただ…」
「ただ?」
「お前これが何なのか知っているんだろうな!?」
「これとは?黒騎士の事か?お前の知り合いなの?」
「馬鹿か!!さてはお前知らないのな!?」
「知るかそんなの」
「知らないだと!?」
ヴォルデインは翼を広げ空高く飛び上がった。
「あっ!逃げた!!」
「お前も死にたくなかったらそれから逃げることだ。厄災が再び始まるぞ!!」
「厄災??」
なんか恐ろしい言葉を残してヴォルデインは後ろを向いた
。
もうきてしまったのか。
あの方との最後の約束が終わる時が。
私達の大事な約束をが終わる…。
ヴォルデインは黒騎士から伸びた霧に左腕を掴まれた。
「ふんっ!!」
ブチャッ。
掴まれた左腕を躊躇なく引きちぎる。
更に高度を上げオーリス達が豆粒ほどの大きさになるくらいまで距離を取った。
「あの魔族、あんな相手を連れて歩いてるとかどんな神経してんだ?それよりあれをどこから…。まぁーいい。被害に巻き込まれるのごめんだ!この勝負一度預けるとしよう」
ヴォルデインはその場から高速で離れていった。
「おぉー。逃げていったと言うことは俺達の勝ちだな」
「そうみたいですけど…。あっちの黒い方は大丈夫なんですか?」
「黒騎士さん。もーいーよ」
「…………」
「黒騎士さん?」
黒騎士はオーリスの言葉に反応しなかった。
無反応で立ち尽くす黒騎士の鎧が次々と剥がれ消えていく。
全ての鎧が剥がれ終わると人の形が崩れ空中に漂う黒い霧状へと変化した。
「これであの方との約束は果たしてしまったのか…」
初めて黒騎士の声が聞こえた。
正確には黒騎士は黒騎士ではない。
だからその声は黒騎士の声ではない。
ならこの黒い霧となった黒騎士が何なのか。
正確に知る者はもうこの世にはいない。
何故なら唯一、知っていたのはオーリスの母親だけなのだから。
だいぶ日が空きましたが辞めてません!
嘘つきな猫です。
性懲りも無くまた違うの書き始めようとしてます笑笑
これからも感想、評価、ブックマークをよろしくお願いします!
目指せ1000人!笑




