アイツの行方
「くそっ!何処に隠れているっ!」
部隊を任せられた1人の隊長が空っぽになった巣を目の前にして叫ぶ。
「こんな事ってあるんですか隊長?」
「そんなものは知らんっ!こんな事聞いた事すらないっ!」
「ゴブリンが単独で逃げるならわかりますが、皆んなまとめて巣を捨てて消えるなんて事があるなんて」
「簡単に実績を上げるチャンスだと思ったからこそ賄賂や根回しをして隊長に任命されたと言うのにっ!討伐する相手が居なければ意味がないではないかっ!探せっ!なんとしても私の名誉を守る為にゴブリンどもを探し出せーっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
人間達は散り散りになり、巣の周りを中心にゴブリン達の捜索を続けた。
「人間共が巣を壊しながら我々を探しているよーです」
遠くの木の上から4番が下にいるカシーラに現状を報告した。
「魔王様の言う通りになるとは。やはり、あの方は素晴らしい魔王のようですね」
「さすが魔王様だなっ。人間共に追いつかれる前に俺たちも移動を開始するぞ」
「了解ですっ!」
カシーラに先導されてゴブリン達はある場所を目指して森の奥に消えていき、2度とこの場所に帰って来ることは無かった。
ゴブリン達が生まれ故郷に別れを告げてクラスタ王国から離れ新天地を目指している中、オーリスもまた新天地に勧誘されないように戦っていた。
「ミュゼ。式はいつ頃が良いと思う?」
「そーですね・・・。できれば早めがいーと思いますけど。オーリス様はいつがいい思いますか?」
食事しながら式の日取りを決めにかかるミュゼとジョルジュにオーリスは何度も結婚はしないと拒否し続けた。
「何度も断っているだろっ!この親子は他人の話を全く聞いてくれないっ!いい加減にしてくれっ!」
オーリスはテーブルを叩いて立ち上がった。
「確かに少し急ぎ過ぎだったかもしれませんね。気持ちが先走ってしまいすみませんでした」
「ふー。。。やっとわかってくれたか。わかってもらえたらそれでいーよ。俺も強くいい過ぎた」
オーリスは肩を撫で下ろして席についた。
「知り合って間もないですし、式はもう少しオーリス様との時間を楽しんでからにすれば問題ないですねっ!」
「この人全然わかってない・・・」
なんか、全てがどーでもよくなってきたオーリスは出された食事を静かに口へ運んだ。
「オーリス君。少しいーかな?」
「いいですけど、結婚はしませんからね」
オーリスとジョルジュはベランダに出た。
「今回の事、国王ではなくミュゼの父親として本当に
感謝している。ありがとう」
ジョルジュは頭を下げた。
「席に座ったままお礼を言ったが。自分の立場上、あの場所で頭を下げる事が許されなかった事を理解してもらえるといいのだが」
「大丈夫ですよ。上の立場の事はよくわかりますから」
「きみはいったい・・・」
「そんなの誰でもいーじゃないですか。ただの平民ですよ」
「さて、ここからが本題なのだが」
「なんでしょうか?」
「ミュゼを攫った相手を知っているか?」
ジョルジュは真剣な顔でオーリスに質問した。
「残念ながらなにま知りません。助けられた事自体、本当にたまたまなだけで、ミュゼは本当に運がよかったですよ」
「そーか。なら、この国に関係ない君だからこそ、少し私の話を聞いてくれないだろーか?」
「すみませんがお断りさせて頂きます。それに俺に話して大丈夫なんですか?あなたの敵かもしれないのに」
「敵かっ。それは考えていなかったわっ。それでオーリス君。君は敵なのかな?」
「さーどうでしょう」
オーリスはジョルジュをはぐらかした。
「そーか。それでなオーリス君。ミュゼを攫った相手を見つけ出してもらえないだろうか」
「いや、だからっ!話しは聞かないとお断りしたばかりだろっ!この親子は本当に話を聞かないなっ!」
「そー言われても、既に話してしまったのだから君も部外者ではなくなってしまったなー。なので手伝ってくれ」
「それはそっちが勝手に話した事で俺には関係ないっ!」
「いやいや。今回のミュゼが誘拐された件は国家的に重大な秘密でな。世間的には国外への視察旅行と言う事になっているんだよ。ちなみにこれを知る者は私とその側近。そして数名の信頼できる配下にしか伝えていない。だから知ってしまった以上、手伝えないと言うなら、国の礎となって死んでもらうしかないかなーー」
ジョルジュはオーリスを楽しそうに脅した。
「おいっ!それは卑怯だっ!こっちはミュゼを助け送り届けてやった恩があるだろっ!」
「それは既に国内でのあらゆる活動を認めたのでチャラって事で済んでいる。感謝はしているがソレはソレ。コレはコレだよ」
人間のふりをしている以上は国王に逆らうのは得策ではない事をオーリスはわかっている。
いっそのこと俺は魔王だと言って脅してしまおうかと思ったが流石に思いとどまった。
もともと呪いの件について調査するために変装までして人間の国にきたのだから、そのついでに犯人も必要があれば探す気だったと思い、ジョルジュの頼みごとを承諾する事にした。
「わかったよ。それと今から俺はお前をもーっ国王扱いしないからなっ!」
「ほぉー。嫌がってはいたが私を義理の父親として接する気になったかっ!」
「なってないし、今後もならないから安心しろ」
「気楽に話してくる相手もいなかったから、オーリス君みたいにフラットに話してくれるのは嬉しいものだなっ!」
「君付けもやめてくれ。そんなに俺は若くない」
「そーなのか?15、6歳程度に見えたが」
「違うっ!」
「わかった、わかった。そー怒るなって。血圧上がるぞ」
「爺い扱いもするなっ!手伝ってやる代わりに色々便宜ははかってもらうからなっ!」
「資金面か?問題ないっ!お前の後ろには国家予算があると思ってくれ」
「金の心配じゃねーよっ!」
「お父様とオーリス様は仲良くやってるみたいですねっ!今後とも私を板挟みになさらないで下さいねっ!」
ベランダに入ってきたミュゼはご機嫌だった。
「もー、仲良しさんなんだからーーっ・・・ひっくっ」
ミュゼは酔ったようにフラフラとこちらに歩いてきた。
2人のに近づくとジョルジュとオーリスとの間に入り両者の腕を握りしめ、そのまま寝落ちした。
「ミュゼ大丈夫かっ!誰だっ!ミュゼにお酒を飲ませたのはっ!」
ジョルジュは大声をあげた。
「あのー。王様」
「貴様かぁーっ!」
声をかけてきたファウスにジョルジュは顔を赤くさせて迫る。
「ファウス、さすがに国王の娘に手を出すのは駄目だろ」
「いや、だしてないってっ!!」
「確かに、酔い潰すとかファウスらしくはないな」
オーリスは気づいていた。
犯人がファウスでないことを。
ファウスが女を落とすときにはお酒は絶対に使わない。
なら犯人はと言うと?
「犯人こいつな」
ファウスが出してきたのは飲みかけのグラスだった。
ジョルジュはそれを手に取りファウスに匂いを嗅ぐようにいわれる。
「・・・ん?これはー、酒ではない。ただの葡萄ジュースじゃないかっ!」
「それでミュゼは酔ったんだよ」
ジョルジュはファウスに怒りをぶつけた事を謝罪し仲良くワインを飲み始めていた。
取り残されたオーリスはミュゼを部屋まで運び、オーリスもミュゼの部屋にあったソファーに横になりちから尽きたのだった。
「くそっ。上手く追い出せたと思ったのに、変な奴らとのこのこ帰って来やがって。アイツらには殺せと命じたはずが何でまだいきてんだよっ!・・・まぁーいぃ。今度こそアイツを殺して俺がこの国の王になってみせる」
ブックマが1つ増え1つへりでプラマイ0となりました。
嘘つきな猫です。
テストもブースト、そらにモチベ上がらずですがっ!
今後ともよろしくお願いしますっ笑




