醜い1匹の人間
「クソっ!クソっ!!クソーッ!!!」
とある人間は地面に邪魔な存在の顔浮かべ、ただひたすら地面を踏み潰していた。
「なんなんだっ!死ねよっ!あぁームカつくっ!!」
「王子、落ち着いて下さい。チャンスはまだありますから」
そう言ってなだめていたのは長い帽子を被った相手だった。
「私の方で再度刺客を送り込み今度こそミュゼ様を亡き者にしてみせます」
「前もそー言ったよなっ!それでこの結果だ。今度こそちゃんとやれよっ!」
「申し訳ありません。今度こそ」
「本当っ、使えねーな」
自分のストレスを爆発し終えると王子は座った。
「ケイトス王子。私にいー考えがあります。今度は攫うのでなく父親殺しの汚名を着せ、一生牢獄で過ごさせると言うのはいかがでしょうか?」
「ほぉー。邪魔な父とミュゼを同時に片付けられるわけか。お前も悪い男だなー、バーミアン」
「その後のミュゼ様は・・・」
「好きにしろ変態。だが、次失敗したら・・・。わかっているよな?」
「もちろんです。次は必ず。方法等は・・・」
「そんなものお前に任せる。王になる私が人殺しの方法なんて知るわけがないだろー」
ケイトスは広角をあげ、ニタリと笑った。
「では、私の方で」
「そー言えば、ミュゼを救出し連れて来た相手がいるみたいだが、誰なんだ?」
「獣人のような相手を召喚することができる相手と言う事しかまだわかっておりません」
「邪魔されないように、そいつらの情報も調べておけよ」
「はい、手は打ってありますのでご安心を」
「こちらに寝返るなら餌で釣って使い捨てるし、邪魔なら殺すなりして排除しろ」
「わかりました」
バーミアンはそう返事をして部屋をでた。
バーミアンが部屋らから出るとケイトスは椅子に座り、水を一口飲んでから突然部屋を走り回りその勢いである場所に全速力で向かい、扉を勢いよく開けた。
「とーさんっ!ミュゼが帰って来たたいのは本当ですかっ!!」
「おぉー。ケイトスかっ。そんなに急いで来なくても。それにしてもバーミアンに伝えるように言っておいたのだが来るのが少し遅かったな」
「そんな事より、ミュゼはっ!?」
「それなら先ほどオーリス君にミュゼの部屋まで運ばせたぞ。きょは疲れているようだから、感動の再会は明日にでもしなさい」
「そーかぁ。それは・・・はぁー、はぁー。よかったです」
「ん?ジョルジュ王。あの人は誰ですか?」
「紹介が遅れたが、私の息子のケイトスだ。ケイトス。こちらがミュゼを送り届けてくれたオーリス君の仲間のファウス君だ」
「この度は妹を助けていただき心から感謝致します。ミュゼが誘拐されてから私がどんなにミュゼの事を心配したか」
「ふーん。ミュゼの兄貴かっ!まぁー少しの間宜しくなっ!ちょうどいーからこっちで一緒に飲もうぜっ!」
「私は、お酒はちょっと・・・」
「固い事言うなってっ!いーからいーからっ!」
酔ったファウスがケイトスの腕を引っ張りジョルジュとの輪に入れた無理矢理酒を飲ませようとしたらジョルジュはすでに寝てしまっていたのでしかたなくケイトスと2人で、楽しく酒を飲み色々と語り合った。
そして気がついたら朝を迎えていた。
「頭が割れるほど痛い・・・あのクソ野郎め、俺に酒なんか飲ませやがってっ!イテテテテッ」
自分の部屋のベッドでうつ伏せになりながらケイトスはファウスの態度に腹を立てていた。
どーやってここにたどり着いたかすら記憶がない。
その記憶のなさがケイトスを不安にさせる。
「話してはいないと思うが、その記憶すらない。酔った勢いで何か話していてはマズイな・・・。後で探りを、入れてみるか」
ケイトスは水を飲み再び眠りについた。
再度起きたのはすでに昼の時間を過ぎた後だった。
最初に父、ジョルジュに会い昨日の事を探ってからファウスの部屋の扉を叩いた。
「父は何も覚えていないか。まぁー寝てたしな。問題はアイツだ」
ケイトスは痛い頭を抱えながら扉の前に立ちノックした。
「ファウスさん、起きてますか??」
「・・・」
「おーい。まだ寝ているのかー?」
「・・・」
「仕方ない、勝手にはいるぞーっ!」
返事はないが早急に昨日の事を探らなければと思い、静かに扉を開け中にはいる。
そこには裸で寝るファウスの姿があった。
「いっそのこと今殺してしまおうか・・・」
「やぁー。ケイトス。何をしてしまうんだ?」
ファウスはケイトスの小声に反応して答えた。
「おっ、起きていたのかっ!?」
「今起きた。寝起きはいいほーなんだ。それでさっき何か言っていたけど、俺に何か用でも?」
「あぁ。昨日は久々に楽しいお酒を飲めたからそのお礼をと思って。それとよければ昼食でもしながら、昨日どんな話をしたのか覚えていれば教えてもらおーと思ったんだけど、どーだろうか?」
「そんなたいした話はしてないけど・・・」
「けど、なんですか?何か私は父やファウスさんに変な話しをした・・・とか?」
ケイトスは少しだけ緊張しながら聞き返した。
「そりゃーもー、色々と深い話をな。俺の野望もそうだが、そっちの野望も悪くなかったぞ」
やはり話していたかっ!
ケイトスは自分の酒癖を改めて呪った。
ケイトスがお酒で大きな失敗をしたのは今回が初めてではない。
なぜミュゼの兄であるケイトスがジョルジュの次に王の椅子に座れないのか。
その件についてもお酒が大きく関わっていたからだ。
普通なら年功序列ら男子優先で継承権が発生するのでまず最初に候補になるのがケイトス、そして2番目がミュゼとなる。
しかし、第1継承権が与えられているのはミュゼで、次は今のところ誰もいない。
そう、今のケイトスは継承権すらないのだ。
だからミュゼが次の王位に就く予定となっている。
つい最近まで、ケイトスに第1継承権があったのだが、とある事件が起きその結果、第1継承権を剥奪せざるを得ない状況になってしまった。
その原因がケイトス自身にあるのだから誰もケイトスに王位を継がせたい者は当然いなかった。
バーミアンが現れるまでは。
その事件自体、隠蔽され表には公表されていないからそケイトスはこーやって自由に行動できている。
犯した罪のレベルを言えば。
即刻、死罪。
そのレベルの罪を犯し、それは国交問題にまで発展し国を脅かした。
どんな大罪を犯したらそーまでなったのか。
それは、ある日の国同士の親睦会のあった日の事、ケイトスは次期国王とし隣国の王たちの前でジョルジュに紹介されていた。
そして次々とお酒を飲まされだいぶ酔ってしまい、自分の欲望を抑えられなくなっていた。
その状態で会場を出ようとした時、扉近くにいた露出の多めの巨乳が目に入ってしまい、暴走した。
ケイトスは巨乳がすきだった。
すでに国王気分になっていたケイトスは自分が何をしても許されると思い込み、背後から女の口を塞ぎ乳を鷲掴みにし素早く会場から女を連れ出し近くの部屋に入った。
しかし、ただの給仕なら権力で黙らせる事ができたが、連れ込んだ女は招待された隣国の愛娘の1人だった。
酔った勢いとは言え、隣国の王の愛娘を無理矢理押し倒したが激しく拒否された事に激怒し、躾けと言ってあろうかとか剣で隣国の愛娘の顔に十字傷をつけたのだ。
その現場を発見された時にはすでに娘の顔には大きく深い傷がつけられた後だった。
当然、ジョルジュ王はできる限りの治療を施したが傷が深く、傷跡が消える事はなかった。
ジョルジュは隣国の王に誠心誠意謝罪をしたが許してもらえなかった。
さらに状況を悪化させたのもケイトス本人だった。
傷つけた隣国の愛娘に対してこう言った。
「傷ついてるけど、仕方ないから俺の側室にもらってやるからそれでいーだろ」
と。
その発言を聞いたジョルジュと隣国の王は激怒し、その結果、今では平和そうに見えるクラスタ王国は隣国間の同盟を破棄され、貿易も完全に止められる事態に発展、さらに戦争も間近な緊張状態にまでは陥ってしまったのだ。
その原因がケイトスの酒癖である。
酒に酔っていたでは済まされない。
ましてや酔っただけで自制心がなくなる相手をその会場にいた誰も、王とは認めはしない。
隣国の王もその1人。
隣国の王はケイトスを処刑しなければ2度と隣国との同盟は結ばないし、戦争だって起こしても構わないと言ってきた。
それに対しジョルジュは馬鹿な息子とは言え、自分の息子。
処刑はどーしても避けたかった。
だから王位は絶対継がせない事と傷の手当てをできる相手を1年以内に探しだす事を条件に、何とか手を打ってもらったのだった。
そらからケイトスは酒を断ち、自分の立場を諦めていたが、バーミアンが現れた事で状況が変わった。
そんなケイトスにバーミアンは近づき、ケイトスこそ王となるべき、それが当然の流れと唆した。
王位に就く事を、諦めきれていなかったケイトスはバーミアンと言う仲間ができた事で、ミュゼの存在がますます邪魔としか感じなくなり、とうとう行動に移したのだった。
しかし、それは失敗しミュゼは帰ってきた。
そしてその秘密を知ったであろう相手が目の前にいる。
ケイトスの頭の中はファウスをどう殺すべきか、その一点だけを考えていた。
「とりあえずその話も詳しく聞きたいので食事に行きしょーか」
「わかった。なら着替えるから部屋の外で待っててくれ」
ファウスはケイトスの誘いを承諾し、着替えを済ませると部屋を出ていった。
オーリスは出てきません。
嘘つきな猫です。
今後ともジョルジュとケイトスを宜しくお願いします!




