↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/37

『モフモフ牧場づくりと伝説の神狼(フェンリル)

「ふぅ〜!今朝のお味噌汁とおにぎりも美味しかったなぁ!」


大賢者モーリスが仲間(弟子)に加わった翌朝。

マイホームの庭で、アルトは満足そうにお腹をさすった。


隣では、雑用用の麦わら帽子をかぶった大賢者モーリスが「師匠!鉢植えへの水やりが完了いたしましたぞ!」と嬉々として報告しており、アリサやルナリアが「あの大賢者が完全に農作業員になっている……」と遠い目をしている。


「でもね、みんな」


アルトはぽんと手を叩いて微笑んだ。


「お米や果物も最高だけど……そろそろ朝ごはんに新鮮な『牛乳』や『バター』、それにサクサクの『焼き立てパン』や『チーズピザ』が食べたくならない?」


「ギ、牛乳にチーズだと……!?」


アリサとモーリスが同時に声を上げた。


「アルト様、乳製品を生み出す高貴な魔獣は大変希少で、王侯貴族すら滅多に口にできない高級品ですわ!」


「大丈夫ですよ!牧場(放牧地)を作って、動物さんたちが喜ぶふかふかの草を生やしてあげれば、きっと仲良くなれますから!」


アルトは愛用のクワを手に取ると、要塞の北側に広がる荒れ果てた岩場へと向かった。


「よし、美味しいミルクがたくさん採れる広場になぁれ!」


アルトが気合を込めて、乾いた大地にクワを打ち下ろした。


カツン!


次の瞬間——ザザザザザザザザッ!!


「な、何ぃぃぃ!?」


モーリスの悲鳴が上がった。

アルトがクワを振り抜いた瞬間、荒れ果てた岩場が一瞬で目にも鮮やかな極上の緑の絨毯——食べるだけで魔力を回復させ、毛並みをツヤツヤにする『神聖ハーブ草地(牧場)』へと変貌したのだ!


「よしよし、これでいつでも動物さんを迎えられるぞ〜!」


無邪気に喜ぶアルト。


(((((ガァァァァァァァァン!!)))))


その時、魔境の深部から大地を揺らす激しい遠吠えが響き渡った。


「くっ……!この凄まじい威圧感は……何かが来るぞ!全員構えろ!」


アリサが大剣を引き抜き、大賢者モーリスも緊張の面持ちで杖を構えた。


神聖な放牧地から溢れ出す圧倒的な聖気に引き寄せられ、森の奥から姿を現したのは——銀色に輝く美しい毛並みと、車ほどもある巨体を持った伝説の超危険生物『神狼フェンリル』であった。


一国を一夜で噛み殺すと言われる絶望の猛獣。

フェンリルは真っ赤な瞳でアルトたちを睨みつけ、凄まじい殺気を放ちながら忍び寄ってくる。


「アルト、下がるのだ!あれはフェンリル……一国を滅ぼす神話の凄惨な魔獣だ……!」


アリサが冷や汗を流して叫んだ、その時。


クンクン……クンクン……。


フェンリルの鼻先が、足元に茂る『神聖ハーブ』の甘く爽やかな香りを捉えた。


フェンリルは恐る恐る口をつけ、ハーブを一口食んだ。


((((ドカァァァァァァン!!!!))))


『んほぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??(美味い!なんだこの柔らかくて甘い草はぁぁぁ!?全身の疲労が一瞬で消えていくぅぅぅ!!)』


なんとフェンリルは、威圧感を一瞬で消し飛ばし、ハーブの美味さに目を輝かせて「はむはむ」と猛烈な勢いで草を食み始めたのだ!


さらに、アルトが作った土窯から、マルク特製の『焼き立てバターパン』と『とろけるチーズピザ』の芳醇な香りが漂ってくると、フェンリルは完全にノックアウトされた。


(ク〜ン……ク〜ン……)


あの一国を滅ぼす神狼フェンリルが、アルトの足元にポテポテと歩み寄ると、お腹をゴロンと見せて「もっと美味しいご飯をください」と言わんばかりに甘え声を上げたのだ!


「わあ、銀色の綺麗な狼さんだね!お腹が空いてたの?」


アルトはそう言うと、フェンリルのフワフワの頭を「よしよし」と優しく撫でてあげた。

フェンリルは「くぅ〜ん♪」とうっとり目を細め、幸せそうに長い尾をパタパタと振り回している。


「よし!この子は今日から牧場の番狼兼、モフモフ担当だね!名前は……『シロ』でいいかな!」


「神話のフェンリルがペット扱い!?しかも名前がシロぉぉぉ!!?」


アリサと大賢者モーリスの悲鳴のようなツッコミが、爽やかな牧場に響き渡った。


「ぐるぁっ!(我のライバルか!?)」


ポチ(赤竜)も「負けていられん」とばかりにアルトの逆側に割り込み、頭を擦り付けて甘えてくる。


「あはは、ポチもシロも仲良くしてね!さぁ、マルクさんが作ってくれた焼き立てパンとピザを食べよう!」


焼き立てのサクサクパンに濃厚な手作りバターを塗り、とろけるチーズピザをみんなで囲む至福の朝食。


「〜〜〜〜っ!このパンとピザ、美味しすぎますわぁ!」

「うむ、至高の朝食だな……!」と涙するルナリアとアリサ。

シロも特大のピザを「バクッ」と幸せそうに平らげ、ポチと一緒にゴロゴロと転がっている。


こうして、伝説の神狼シロが新たなモフモフ仲間として加わり、『アルト農園』はさらに賑やかで平和な神域へと発展していくのだった。

だがその頃——。

「死の魔境に怪しげな神域ができた」という噂を聞きつけた悪徳領主が、悪だくみを巡らせていることなど、アルトたちはまだ知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。