第55話 『終天共闘』
――オランダ・ロッテルダム上空
黒白二つのHXが並ぶ。
ヴァルグレイヴ。
セラフィム。
リアは笑っていた。
「それそれ!」
「HXは一人で戦うより、その方が面白い!」
BEASTが低く唸る。
『戦闘データ更新。二機同時戦闘を解析開始』
「透真さん。」
エルが通信を開く。
「正面は私が引き受けます。」
「いや。」
俺は首を振る。
「正面は俺だ。」
「……。」
「お前は飛べる、空からしかできないことをやれ。」
少しだけ沈黙。
エルが小さく笑う。
「了解です。」
その瞬間六枚の翼が大きく広がる。
「セラフィム、フルフライト。」
ドォォォン!!
音速を超える。
白い軌跡が空を切り裂いた。
リア。
「速っ!」
BEASTが跳び迎撃する。
しかし、エルは急停止。
「フェイント!?」
BEASTが振り向いた瞬間。
「今です!」
「おう!」
俺は真下から飛び込む。
「ヴァルグレイヴ!オーバードライブ!」
赤いラインが装甲を走る。
蒸気が噴き出す。
「LEVEL1!」
拳を握る。
「うおおおおっ!!」
ガァァァン!!
BEASTの腹部へ直撃しBEASTが大きく吹き飛んだ。
「やるじゃん!」
BEASTは笑うように唸る。
『適応:衝撃耐性獲得』
「またかよ!」
今度は俺が舌打ちする番だった。
その頃――
市街地
「第三防衛線突破されます!」
怪異の群れが押し寄せる。
オランダ支部普通戦闘部隊と神戸支部普通戦闘部隊の合同防衛線。
「撃てぇぇぇ!!」
ライフル。
散弾銃。
対怪異榴弾。
の一斉射撃。
それでも止まらない。
「数が多すぎる!」
「結界が限界です!」
八重の額に汗が浮かぶ。
「八重!」
レオンが怪異を斬り伏せながら叫ぶ。
「無理をするな!」
「まだ保てます!」
しかし。
結界にヒビが入る。
パキッ……
「しまっ……!」
その瞬間。
「伏せぇぇぇ!!」
鳴海が叫ぶ。
肩に担いだ大型ロケットランチャー。
ドォン!!
怪異の群れがまとめて吹き飛ぶ。
「ナイスやろ!」
「助かりました!」
八重が笑う。
「礼は後や!」
「まだ来るで!」
その横。
カズキが炎を纏って飛び出す。
「紅黒炎!」
炎の紋章が怪異へ刻まれる。
「燃えろ!」
轟炎。
怪異が次々と消えていく。
オランダ支部隊員が驚く。
「日本やべー…」
羽吹はその様子を見ながら笑う。
「頼もしくなったね。」
だが笑顔が消える。
空を見た。
ANGEL PRIME。
巨大な光輪。
「あいつ……。」
小さく呟く。
「何もしてこないのか?」
その瞬間だった。
ANGEL PRIMEが右手を上げる。
『追加試験を開始します。』
世界が震えた。
「え……?」
セラフィムが叫ぶ
『観測者!契約違反です!』
ANGEL PRIMEは感情なく答える。
『現在のHXでは終焉因子保持者を測定できません。』
『よって試験内容を更新します。』
巨大な魔法陣のような光が空に浮かぶ。
そこから一本の巨大な腕が現れた。
機械でも、怪異でもない。
「なんだ……あれ。」
羽吹の顔色が変わる。
「まさか……。」
「まだ完成してなかったはず……。」
巨大な腕が地面へ落ちる。
ドォォォォォォォォン!!
街が揺れる。
そして腕の先からゆっくりと人型が現れ始めた。
「嘘だろ……。」
羽吹は震えながら、その名を口にした。
「HXと邪神の融合型…HX‐00Genesis」
その一言で、戦場にいた全員の空気が変わった。
次回予告
観測者ANGEL PRIMEが送り込んだ謎の存在「HX-00 Genesis」。
HXの原点にして、すべてのHXの頂点とは何なのか。
そして羽吹が知る「HX計画」の真実が少しずつ明かされる。
次回 第八話『始まりのHX』




