082. 打ち上げ花火はとにかく大きいのが好き
夜の河原に花火が打ち上げられ、花開く音が盛大に鳴る。次から次へとどこかから流れてくる音楽に合わせて花火が連発していく。人々はそれを観に河原へと集まり、土手はまともに歩けない程ごった返している。
蓮真はこの会場以外で綺麗に花火を観られるスポットは無いかと模索していたが結局目星は付かず、素直に会場へ足を運ぶことにした。夜とはいえ真夏の蒸し暑さは中々のもので、人の密集がその熱気をさらに焚くように思われた。蓮真はペットボトルにある冷凍から溶けたばかりのお茶を飲んだ。
花火は近くに観ることができるが、予想通り周りの人が壁になってしまいよく見えない。周りの人にうっかりぶつからないように常に気を付けて立ちっ放しをする他無く、折角の花火の良さがあまり堪能できない気分になった。
花火の打ち上げが半分程終わったところで蓮真は出口へ歩くと、向かいから見慣れた少女がやって来た。
その少女は玲だった。半袖短パンの大変足取りが軽そうな服装で友達と思しき三人ぐらいの少女と談笑していた。手には屋台で買ったのか水滴だらけの缶ジュースが握られている。
蓮真が玲に気付いて間もなく例も蓮真の方を見た。口が「あ」のような形をしたと思うと、玲の友達の方に向き、一旦口を噤んでいる。他の友達が玲の様子に気付き何かを尋ねている様子があった。
玲が友達からの返答に何やら詰まっている内に蓮真は玲達の横を通り過ぎていった。玲の顔見知りとはいえ玲の友達にどう挨拶していいかわからないし気が置けない仲間に自分が入るのは遠慮したかった。玲達の姿は視界に入らなくなり、その後どういうやり取りがあったのかは知らない。
蓮真は河原を出て、花火大会から帰っていく人々の流れに沿って通りをひたすら歩いて行った。人の多さは駅まで途切れることが無く、到着駅で電車を降りた辺りでようやくマシになった。




