表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さみだれは晴れ  作者: 冴木甲士
中一 一学期
PR
8/100

008. ネットで2300円ぐらいで売られてた

 松田玲は中学生活をそれなりに楽しんでいた。

 小学校から仲の良かった友達と同じクラスに入ったお陰で、休み時間や下校のときでも暇を持て余すこともなくさらに新しい友人も増えて遊ぶ機会もより多くなった。

 そんなある日のこと、玲はちょっとした用事で友達より遅れて移動教室のために廊下を歩いていた。

 今の時期には珍しく少し肌の冷える気温で、廊下から見える外はどんよりとした空模様であった。

 その折、向かいから一人の男子生徒がやって来た。

 その男子は入学式のときに会った五月雨蓮真だった。彼とは別のクラスになって正直安心していたが、同じ学校の生徒である以上たまに遭遇するのは避けられないだろう。


 ふと蓮真の様子を見ると、蓮真は仏頂面で本を片手に持ちながら読んでいた。

 薪を背負いながら。


 二宮金次郎でも校舎内でそんな真似しないと思うが、コイツは何でこういう行動に出ているのか。

 玲がそう思っていたときに蓮真と玲の目が合った。玲は「ひっ」と小さく声を上げた。

「どうした、不審者に目をつけられたかのような悲鳴を出して」

「今まさにそうなってるんだけど」

 蓮真は辺りを見回した。

「どこにも不審者らしき人物は見当たらないぞ」

「お前がそうだっつってんだよ」

「失礼な。本を読んで歩くなんて別におかしくないだろ」

「その背中にあるもんは何」

「ああ、これか? 筋トレにいいかと思って」

「恥も外聞も無いのかお前」

 前回と同じく頭を抱える玲。蓮真のことは放っておいて移動教室を急ぐことにした。

「じゃあ、私移動教室だから」

「そっか、それじゃあな豊田」

「松田だよ!」

 名前を間違われてつい突っ込んだ玲はとにかく次の授業が行われる教室へ足を速める。蓮真は玲とすれ違うようにゆっくり歩き始める。

 玲の背後から遠くの方で、硬い物がカツンと床に落ちる音がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ