072. 誕生日プレゼントの候補
蓮真と深言は横に並んで歩いている。深言は自転車で図書館に来ていたようで、自転車を両手に持ちながら蓮真のペースに合わせて歩く。
「別に自転車で走っても大丈夫だぞ」
「いや、それだと貴方が」
蓮真は自転車を使わず徒歩で移動している。
「俺は自転車に合わせて走る」
「そんなこと……って貴方なら平気でしょうね」
深言は数秒してから、
「やっぱこのままで大丈夫です」
「そうか」
ならこれ以上言うまい。二人は炎天下の帰路をひたすら歩く。もっとも日が暮れだしていることもあって陰っている所がそこかしこに出ているので、昼よりはマシな状態だった。
「暑いですね」
「ああ」
「図書館で涼んだ分がもうどっかへ行っちゃいました」
「ああ」
「貴方もこの中歩くのキツくないんですか」
「たまに着られる冷蔵庫があればいいなと思っている」
「着られる冷蔵庫……」
「ロボットみたいな見た目になるんだろうな」
「私なら使うのは遠慮します」
「その自転車に乗っていけば風でマシになるんじゃないか」
「そうですが、今はそこまで猛暑でもないですし」
歩道の向こうから人がやって来るのを避けるため、蓮真が深言の前に移って縦並びになる。
「ところで、今日読んでた本はどうでした?」
「ああ、アレは……」
この後二人は途中で別れるまで今日読んだ本の感想を話し合った。次第に日の光が少なくなり、暑さはいつしか気にしなくなった。




