066. 明日から何しようか
「明日で一学期も終わりですね」
「やっと夏休みかー」
深言の言葉に声の弾む玲。嬉しさを嚙みしめているのがよくわかる。
「ねぇねぇ、夏休み何する? プール? 海?」
「図書館で読書かな」
「えー、もっと外ではっちゃけようよ」
「……考えとくよ」
二人の会話をよそに蓮真は本を嗜む。
「で、アンタは?」
「ん?」
「夏休みにどっか遊びに行くの?」
「そうだな、花火大会は見に行こうかと」
毎年8月下旬頃にこの流谷市にて花火大会が催される。川を跨いだ隣の市と合同で行われるもので毎回一万五千発近く打ち上げるらしい。
「あーアレか」
「私、まだ行ったことないんですよね」
「へー、そうなんだ。それなら一緒に行こうよ」
「うーん……」
深言は本を閉じて口を噤む。
「悪いんだけど、人混みが苦手で」
「あー、確かに人の数凄いしね」
花火大会当日の会場やその近辺では常に人がごった返しており、自動車で行けば渋滞からの立ち往生は必至、徒歩で行っても長い行列の中を移動するという有様である。
「まーしょーがないか。私も他の友達を誘って行こうかな」
玲も花火大会に興味が出たようで予定に組み込んでいた。
「それじゃ、そろそろ掃除して戻るか」
「はい」
「ん」
三人は箒、塵取り、ハタキを手に空き教室を綺麗にした。次来るときにはそれなりに埃が積もっているかもしれないが、そのときはまた掃除するまでである。




