058. 無知の知って何か凄そう
期末テストが中間テストと同じ調子で進んで終わった翌日の昼休み、蓮真は例の空き教室に足を運んだ。
「おっす」
「ああ」
「どうも」
先客の女子二人が並んで何やら話をしていたのをよそに、蓮真は少し離れた席に腰掛けた。空き教室のカーテンは閉められており日差しが入ってこない。
「テスト、今回も何とか乗り切れたわ」
「そうかよかったな」
蓮真は鞄から小物を取り出し、両手でそれをカチャカチャと弄り始めた。
「それは?」
「知恵の輪」
「へー」
「を自分なりにアレンジした」
「アレンジって?」
「手で色々折ったり曲げたり捻らせたり」
「知恵の輪ってそうやって遊ぶものでしたっけ」
蓮真は深言の指摘を意に介さず知恵の輪を外そうとする。しかしスタートから一向に進展しない。
「ダメだ、全くわからん」
「自分でしっちゃかめっちゃかに改造したからでしょ」
「変な操作しすぎて収拾つかなくなったパソコンみたいな」
セルフアレンジした知恵の輪を解けず業を煮やした蓮真は、知恵の輪をぐにゃりと曲げて互いの連結を外した。
「よし」
「力で解決したよこの人」
「知恵が問われる問題を暴力で解決しましたね」
蓮真の手にある知恵の輪の一つは綺麗な直線に伸ばされていた。
「なあ、この知恵の輪って飾りに使えないか」
「まーた変なこと言い出した」
「なりませんよ」
「そうか。でも正直アートの材料になる気がする」
「いや、無理でしょ」
「ちょっと考えてみるわ」
少女達がジト目になっているのを無視して蓮真は思索に耽った。




