051. 飾りつけを決して諦めない
「この部屋をもう少し派手にしてみないか」
「いきなり何?」
蓮真の提案に疑問を呈する玲。
「ここっていつも代わり映えしないだろ」
「空き教室ですしね」
深言の言葉に構わず蓮真が続ける。
「見飽きないようにパンチが欲しくなった」
「空き教室を悪目立ちさせたくないとか言ってたじゃん」
「ああ、だから」
蓮真は鞄の側にある巾着袋を持ち上げた。
「小物をひっそり飾って楽しむ」
「ええ……」
玲は深言に顔を向けた。深言はそれに首をゆっくり左右に振って応じた。どうやら諦めて案に乗っかるしかなさそうだ。
「仕方ないな」
「さっさと終わらせますか」
「ありがとな」
蓮真が巾着袋を広げて中身を机の上に撒いた。玲と深言がそれらを確認すると同時に
「何これ」
「何ですかこれ」
机の上の物体に疑問を呈した。
「空き教室の飾りにと思って用意してきたんだが」
「うん、じゃあ整理していこうか」
玲がまず飾りの候補と思しき器具を指す。
「まずこれは?」
玲のまっすぐ伸ばした人差し指の先には電源プラグが幾つか散らばっていた。全て導線部分が荒く引き抜かれており、そこはかとなく無惨な雰囲気が漂っている。
「ああ、何か形が飾りに向いてるだろ」
「こんなもんが幾つも教室に置かれてたらビビるわ」
次に深言が机の上にある物の一つを拾い上げる。
「このちぎったティッシュも飾りですか」
プラグの集まりの隣にはマシュマロぐらいの大きさにちぎられたティッシュが積まれていた。ちぎられた箇所がいやに毛羽立っており、鳥や兎の毛を毟った跡と言われても違和感が無い。
「このふわふわした感じが飾るとクリスマスツリーの綿みたいになるんじゃないかと」
「ゴミと間違えられて捨てられるのがオチかと」
そして最後に玲が指したのは穴が空いたゴム製の小物だ。
「これ、ホントにわからないんだけど何?」
「イヤホンの耳に付ける部分」
「わざわざ抜いてきたの⁉」
イヤホンのパーツの一部であるゴムがざっと数えて三十個近く机の上に置かれていた。青、緑、赤と色とりどりでこれだけ見れば飾りに見えなくもなかった。
「上手く飾れば綺麗だろ」
「いや、気味悪いから」
「他の飾りを考えませんか」
玲と深言が難色を示し、これらを飾る案は取りやめになった。




