043. 工作の息抜きに
公園にてジャグリングをしていると後ろから声がした。
「相変わらず変わったことをしてるね」
「あ、先輩」
朋美の声とわかった蓮真はジャグリングを止めて朋美の方を向いた。
「それ、ジャグリングの練習?」
「練習というよりは遊びですね」
「そう。よかったら見せてくれない?」
「いいですよ」
朋美からの要望を受けて蓮真は手持ちのボールを次々に跳ね上げた。ボールは空高く上昇し、磁石のように蓮真の手へ吸い寄せられ、また蓮真の手の上からジャンプしていく。
「おおすごいすごい。ボールは……八個ぐらい?」
「十個ですかね」
「へえ。他にも技ってあるの」
「そうですね。例えば」
蓮真はボールの飛ばす方向を真上から斜め上に変えた。さっきより飛ぶ高さを落として片手からもう片手へと渡っていくボールの群集が一つのアーチを成して往来している。
「おー。流石だね」
「後は」
蓮真はボールの飛ばす方向を真横にした。さっきよりボールの速さが倍以上になり、ほとんど線のようになって蓮真の両手をつなぐ架け橋となっている。
「えっと……それ一体どうなってんの?」
「ボールをひたすら真横に高速で飛ばし続けます」
「それ人間業なの」
声を聞くに朋美のテンションが低くなっており、もう満足したのだろうと判断した蓮真が最初の真上に上げるジャグリングに戻る。
「ねえ、私にも少しボール貸してくれない?」
「はい」
蓮真はジャグリングしたまま朋美の方へ三個ボールを投げた。ボールは放物線を描いてゆっくりと朋美のすぐ前に落ちてくる。朋美は難なくキャッチした。
朋美は借りたボールでジャグリングを試みた。初めの内はボールを落としていたが、何回かやり直す内にすんなりジャグリングできるようになった。
「あー、慣れると結構楽しいねこれ」
朋美もそう言って蓮真と向かい合う形でジャグリングを続けたが、日が本格的に落ちてきた辺りで
「あ、そろそろ帰らないとやばいかも」
と言って蓮真にボールを投げ返した。蓮真はジャグリング中だったがあっさり帰ってきたボールを掴んだ。と同時にジャグリングも止めた。
「いやー、ありがとう」
「どうも」
「私には三個が精一杯だね」
「よかったらコツとか教えますが」
「いや、大丈夫。私こそ速く走るコツ教えてあげよーか」
「遠慮しておきます」
ボールはあっという間に蓮真の鞄の中へ入っていった。




