040. とりあえず十二色は用意済み
昼休み、空き教室に入ってきた玲はその光景を見てぎょっとした。
「……それ何」
「ペーパークラフト」
空き教室の中央にザラザラの紙が散乱していた。床に寝そべった何枚もの紙には直線や曲線から成る色んな形にあいた穴がくり抜かれており、蓮真の横にはそのくり抜かれた形に合った紙が積み上げられている。当の蓮真は新聞紙の上にザラザラの紙を置き、カッターの刃を入れている。
「何のペーパークラフト?」
「宮殿」
蓮真が返答する。どうやら宮殿を再現したいらしい。
「何でこんなものを」
「紙やすりでどこまでの芸術を作れるかチャレンジしたくてな」
「せめて自分の家でやれ」
また変なことを始めたのかと呆れた玲は、せめて教師にことがばれないようにして欲しいと願った。空き教室が利用できなくなる恐れもあるし。
仕方ないので蓮真の作業を見つつ時間を潰す。蓮真は地べたに胡坐をかき、青や緑の紙を拾ってはカッターでパーツを手際よく切り出していく。カッターを筆にして切り絵を描いてるようにも映った。
「アンタさ、いつもこんなの作ってるわけ?」
「いや、気が向いたときにやるから不定期だな」
「ふーん。これ完成したらここに置くの?」
「いや、自分の家に持って帰るが」
「最初から自分の家でやれって」
蓮真の「何言ってんだコイツ」と言わんばかりの真顔に拳を叩き込んでも許されるのだろうか。




