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012. これ中々面白いな
青蘭中学校の図書室において、清野深言はその常連となりつつあった。
今日も読んでみたい本を吟味して、本を手に取ろうとしたときに別の人の手が同じ本に伸びていた。
その手の持ち主の方へ振り向くと、先日本を先に譲ってくれた例の男子がいた。
(この人も読書が趣味なんだな)
初めて見たときの印象からはそう思えなかったが、前回も今回も本をちゃんと嗜んでいるところを見るにそうなのだろう。
そう深言が頭の中でそう考えていると男子の方がすっと立ち去ろうとした。
前回と同じく自分に本を譲るつもりなのだろう。深言はその厚意を受け取ろうかと頭をよぎったが、流石に何度も甘え続けるのはいかがなものか。
「あ、あの」
深言は男子をとりあえず引き留めようとした。咄嗟のことで声が上ずってしまうが男子は立ち止まって深言の方を見てくれた。
「よかったら、先にどうぞ」
他の利用者に目立たないよう小声でぼそぼそと男子に本を促す。
「いや、いいよ別に」
男子はそう言ってくれるが、深言は譲り合いになって変に目立つのを避けたかった。
「大丈夫です。私は次に読みますから」
深言は早口でそう言ってその場を離れた。
男子は少しぽかんとしていたが、折角なので手に取ろうとしていた本を取り、借りることにした。




