第92-2話 Day2夜 パジャマパーティが走り出す
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パジャマパーティーが始まって、しばらく。
学校に行かず、家庭教師とマンツーマンでお勉強をしているアイラに対して、学校の体育の話をすることになって――
そして重大な問題に直面していた。
私は疑問視はしていたのだ。
体育の授業って面白そう! という彼女に体育の話をしつつ、面白いって話だけ聞くのは、むしろ面白くないではないか、と。
ただ、疑問を持ったものの、その先の予想を怠ってしまった。次に何が起こるか。子どもは何を考えるか。考えれば当たり前のことだったのに!
「あたしも今からサッカーやりたい!」
そう、当然、やりたがるに決まっている!!
……え、やらないからね?
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「いいね!」
「よくないですわ!」
「やろうやろう!」
「だからやりませんわ!」
彼女が少し成長したと思って油断していた。よく考えたら、小学四年生って普通に子どもじゃねぇか!
まったく、自身の精神年齢と現在の年齢のせいでいつも感覚がおかしくなる。
私は子ども、彼女も子どもだ。そろそろ覚えておけよこんちくしょう。
しかし、とはいえサッカーは看過できない。貴重な経験をさせてあげたいし、さらに彼女がわがままな子どもであることを考慮しても、ダメなものはダメだ。
さて、彼女を説得できるだろうか。
「はい、お外を見てくださいませっ!」
「曇っているけど、雨は降っておりませんわね」
「そうね、雨じゃないから大丈夫……じゃなくて! 今は夜! 当然真っ暗で何も見えなくて危ないからダメ!」
「たしかに。じゃあ中で遊びましょう! うーんと、そうだ! たしかあっちの大部屋なら、今日は誰も使っていないわ。そこなら問題ないかしら?」
「ありまくりですわよ! 畳の部屋ですんなっていってますのよ」
「でも、この部屋の二倍くらいはあるのよ? えっと……走って往復したら疲れてしまうくらい!」
「大きさの問題ではなくてですね……」
「おじいちゃんが、この施設はいっぱい動き回っても大丈夫だって言っていましたわ」
「部屋でサッカーは用途外では?」
「あ、そうだ! よく考えたら大丈夫よ!」
「え、なんで?」
「壊れても大丈夫なの。だってこの施設、実質私の物だもの!!」
「ちょっとアイラ様!?」
すごい! 施設長権限!! 権力の濫用!!!
うーん、私たちでは絶対にできない暴挙である。
「うーん、じゃあもう一旦部屋でやると仮定しましょう。とりあえずサッカーは却下ですが他の体育競技をするとして、何をしますか? 私たちは4人。いざ何かしようったって、面白いことができる人数じゃありませんわ。それとも反復横跳びでもしますか? 負けませんわよ?」
「なにそれ?」
「こうやって、線を引きまして、ここの間を…………じゃなくて! ごほん、反復横跳びはまた今度。それと体育もまた今度。今日は、残念ながらだれも集まらなかったということで――」
「あ、わたし、みんなを誘ってみるね。みんな、あそぼー」
「いーよー」
「ちょ、メメさん!?」
すごい! みんな即答! えっと、フレンドリーパワーの濫用!!!
……いやおかしいだろ、なんで全員味方につけれるんだよ。冗談も大概にしやがれですわ。
困った。言い訳がなくなってきたぞ。このままだとサッカーをする流れになってしまう。
「と、とはいえですね? 流石に球技はまずいと思いますの。いくら使っていない部屋とはいえ、予期せぬ場所にボールが飛んで行ったりしたら大変じゃありませんの。あと、いくらなんでもサッカーをするサイズはありませんでしょう?」
「それはそうねぇ」
よし、効いたか?
「うーん、でもみんなでなにかやりたいなぁ」
「「そーだね!」」
っと、しまった、ゴールを間違えた! サッカーだけにね♪ ふざけんなよ?
メメやその友達たちが勝手にワイワイ準備を始めているが、止めないといけない。
アイラの気持ちも分かる。彼女にとってこんな経験はめったにないものだし、やらせてあげたい気持ちもほんのわずかにある。
分かるけども! ダメなものはダメだ。私はそれを言おうとし――
「アイラ様、ダメなも――」
「あの……リレー、とか、どうかな?」
「ち、チエさん!?」
――ってチエさん、あなたまで!!!! うーんと、特に濫用はないけどダメ!
なんと、チエがリレーを提案したのだ! まさかあなたも、そちら側だったとは。
私はいったいどうすれば……
んん、リレー? 冷静に考えると妙案だな。
部屋を一周するとなれば、最低限運動した感は出る。なによりみんなで楽しんで、体育をした感じにもなる。幸いこの部屋は子どもの人数に対して十分に広く、さらに畳の上なので大けがになる恐れは少ない。
ぎりっぎり、可能な範囲内だ。それならまぁ……
「っていやいや、待ってくださいませ! そもそも――」
「リレー!? なにそれなにそれ!!」「えっとねぇ」「あ、私たち、準備しておくね!」「机はたたんで真ん中に置いておこっか!」「チーム分けどうするー?」
うーん、止めるの、無理ですわ!
「……はぁ、仕方ありませんわね。やりますわよ。とりあえず、滑らないようにみなさま、靴下は脱いでおいてくださいませ」
「「「「はーい」」」」
こうして、突如としてリレーが幕を開ける。
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続きはまた来週ほど。




