第91-1話 Day2夜 想定通りだね
お読みいただきありがとうございます。
前回は番外編の立ち位置でした。ここからが本番の予定です。
そしてまた夜が来た。
昼の時間は過ぎ、明るい時間はもう終わり。
そう、お遊びはここまで。想定通りことを進めれた昼とは異なり、ここからは夜の時間、任務の時間、つまり私の時間だ。
……いやまぁ、今日はお昼もお昼で、妖狐と遭遇したり魔法を使ったり、どうも任務をしてしまっていた気がするけれど、それはさておき。
私は昨日と同じように、屋敷内で先生たちの目をかいくぐり、外に出て妖狐を退治する旅に出る。
――――――――
といっても、目をかいくぐるのは超簡単。
先生、生徒、使用人、それぞれの動きも昨日見た通り。ならば私は、ちょっと二階を経由して玄関の上の窓を経由して玄関に来るだけだ。
思ったよりすんなりと進み、少し拍子抜けである。っと、だめだめ、ここで喜ぶわけにはいかない。問題はむしろここから。
昨日みたいに都合よく妖狐が見つかるだろうか。もし見つからなかったら? 捜索魔法は範囲を広げると魔力が切れるし、どうにかして魔力の補充か節約をして……
考えれば考えるほど懸念点は増える。想定される想定外が増えていく。
「あら、どうかしたの?」
「いえ、なんとも。とりあえず出発しますわ」
どうやら私の懸念が顔に出てしまっていたのだろうか。後ろの方から神様に声をかけられる。
ただまぁ、無数に可能性を広げてもあまり意味はない。とりあえずぶっつけ本番、外に出てから考えることにしていた。
私は玄関から靴を取り出し、ちょこんと玄関口に座る。
昼間に川辺で遊んだせいでまだ靴が湿っている。うーん、この湿気具合、今夜は雨が降りそうだ。さっさと終わらせたい所。
「どーかしましたのー?」
「だからなにもありませんわー」
なぜだろう、後ろから圧を感じる、気がする。神様が後ろにいることはないし、っていうか常に宝石の中だし。
……おかしいな、自分で言っていてすごく違和感がある。整合性がないというか、つじつまが合わないというか……
『あのー、えっとー』
「いやだから神様、まだ何か文句がありまして?」
『その、まだ何か? と君はいうけどね、神様はしゃべっていないよ。それこそ、まだ何も』
「いやそんなはずは」
そんなはずは……
そんな……はずは……
そうだ、なぜ後ろから聞こえた? 普段神様の声は後ろから聞こえない、というか、聞こえるはずがない。
それにそもそもだ。あの声、話し方。神様の話し方じゃない。
想定外すぎてめちゃくちゃ油断していた。確かに神様の声じゃないな。
……一体誰だ?
私は声がした方向を振り返る。神様の声とは異なり、明確にその方向は定まっていて、つまり後ろを振り返る。
先生か? いや違う、先生は会議中だった。
メメ? チエ? それも違う。彼女たちは現在温泉を満喫中。
この施設の管理者か? いいや、彼女たちは今、食堂にいるはず。
彼女たちの動きは昨日の時点ですべて想定済みだ。
となると、昨日には居なくて、かつ、かなり柔軟にこの施設内を動ける人しかありえない。
この林間学校において、そんな人間が昨日から増えたはずが……
いるじゃねぇか! というか来たんじゃねぇか! その少女が!!!!
「さて、ステラさん。どうかしましたの?」
「アイラさま、えっとこれは」
「質問を変えましょうか。今からその靴を履いて、いったいどちらに行かれますの? 答えてくださる?」
「あのそのちがいましてその、エットアノソノ」
なんで忘れていた!? 今日何回も会ったのに? 腑抜けか? 間抜けか? おおまぬけか?
ってか、復習の時に感じた忘れ人って彼女だったのかよ! 神様も言ってよ!!
『なんというかその……当たり前なんだけどさ、彼女は想定しとけよ』
「まったくその通りでございますわ」
というわけで、当然のごとく神様から指摘された。うん、想定通りだね。
――――――――
お読みいただきありがとうございます。
もし面白いと感じてくださいましたら、是非ともブックマーク、そして下にある「☆☆☆☆☆」をクリックして応援していただけると嬉しいです。




