15.神々の事情と陰謀(特別編)前編
さて、ここで神々に世界の事情が語られます。
「ゲインエキスパートAIは、そのデータを基に、商品の入庫、保管、ピッキング、梱包、そして配送までをすべて自動で管理するシステムを構築したのである。」
この高性能なAIは、単なるビジネスソリューションではない。その誕生には、人知を超えた、とある神様の切実な事情が隠されていた。
絶望したまま日本に戻り、無為な日々を送っていた勇者の人生に、再び光が差し込むきっかけとなった異世界通販サイト「ゲインエキスパート」。その基盤を支えるのが、このAIだ。
もちろん、勇者にしか見えない企業広告、異世界ゲインからの物流の利用、数えきれないほどの神と異世界からの恩恵ありきの話ではあるが、「ゲインエキスパートAI」があるからこそ様々なソリューションを使いこなせているのが事実である。
このAIは、ゲインエキスパート・ジャパンの立ち上げから、タックスヘイブンを利用した資金洗浄、物流システムの構築、そして莫大な収益を合法的なビジネスへと変える複雑なスキームまで、すべての表も裏側もを動かしてきた。
このAIが、なぜこれほどまでに複雑なシステムを構築・運用可能なのか?
始まりは、あまりにも人間的ともいえる切羽詰まった事情にあった。それは、見習い神が犯した、おおくの多くの「やらかし」からであった。 そして、それはやがて、神の手ともいえる軌道をあゆみAIの誕生へとつながってゆくこととなる。
そもそもが無理な話だった。
突然、教えを受けていた師匠の神様が、一等神に昇進してしまった。師匠は、10個の新世界を統括することになり、
これまで管理していた7つの世界も誰かに任せるか、自身が引き続き管理するか決めねばならなかった。
師匠は、7つの世界と、新世界5つを自分で見ることにしたが、その他の5つの新世界のうち一つだけ**「グラティア」**だけ、担当者が決まらなかった。突然呼び出しを受けた、エクレシアは猛烈に嫌な予感を感じながらも師匠の前に立って
「およびでしょうか?」
師匠「うむ、エクレシアよ!そなたは優秀な弟子じゃ。新世界グラティアの神になることを命ずる。謹んで拝命せよ!」
エクレシア「いや、お師匠様、お待ちください。私、師匠の弟子で最年少ですよね?まだ見習いで、神様の研修もほとんど終わってない新米じゃないですか!」
師匠「わかっとるよ、じゃが、ちょうど初級神のライセンス更新時期に当たってしまっての。100名が研修に出席する予定で、すべてで払ってしまい、後、頼めるのが君しかいないのだよ。」
エクレシア「そんなの無茶っす。世界が滅びてしまうっす!」
師匠「うるさい、君に拒否権はない!心配せずとも、神様ナビゲーターを3台つけてあげるから、彼らに運営を任せればまず問題ない。ただ、神様ナビゲーターは繊細なつくりをしているので、こまめにメンテナンスを行うようにね!では、10日の猶予を与えるから、その間に準備して、新世界グラティアに赴き、神に就任するように。
なに、50年ほどで後任の神様を決めるから、焦らずゆっくりやればよい。ではさらばだ。」
怒涛の如くまくしたてられて、追い出されたエクレシア。
神様管理塔に行って、グラティア赴任の辞令をもらい、神様ナビゲーターと共に新世界に向かった。
新世界と言っても、すでに文明を形成した人や亜人族もいて、魔物もいる標準的なファンタジー世界だった。
最初の10年くらいは順調で、問題もなかった。
もともとものぐさ大好きなエクレシアすぐに気が大きくなってしまい。「なーんだ世界の管理意外と簡単じゃないっすか?
楽勝っす。」と神の間に引き籠り、神様ナビゲーターにお丸投げして、本来、神様ナビゲーターに教えてもらいながら習得すべき、神様のお仕事をぜんぜん覚えようとしなかった。
最初は「まあ、10年くらいしたらやるっす。」
そして「20年くらいはゆっくりしても。」
ついには「そのうちやるっすよ!」とかんぜんにほうちしてしまった。
しかし、50年経っても、交代の神様は来ず、100年経っても増員もない。
さすがののんきもののエクレシアも「おかしいすね! 神様だよりや、報告に何の返信もないですし?」
それでもそのまま放置して
ついに120年が経った時、神様ナビゲーターが1台壊れてしまった。
「あー、最近メンテナンスに出してなかったっけ?」世界が活性化してきたため、調整に忙しく、ここ10年ほど神様ナビゲーターもフル稼働でメンテナンスに出していなかったのだ。
「やばいっす、急いで新しいナビゲーターを送ってもらわないと」
しかし、追加申請を何度出しても「予算申請は却下されました!」と通らない。師匠に連絡しても、忙しいのかまったく連絡がつかない。そうこうしているうちに、残りの2台も壊れてしまい、世界の様子がおかしくなり始めた。
「やばいっす、どうしたらいいんすか?」
神様ナビゲーターに任せきりで遊びほうけていたエクレシアになすすべはなく、もちろん、緊急事態なのであっちこっちに助けを求めるのだが、まさか100年以上も管理していた神様が何もできない素人同然の状態であるなどと想像する神はいなかった。エクレシアも無駄にプライドが高く、緊急度を低く見積もって報告していたため、
何の手当もないままわずか10年ほどで、明日にも人類が滅びるのでは?という状態になってしまった。
文明が滅びるくらいなら何とかなるが、人類まで滅びてしまったら手の施しようがなくなる。本来であれば、第一級緊急事態で、連絡すれば一級神が10人単位で飛んでくるのだが、エクレシアはそれでもまだ、なんとかごまかせないかとあれこれ悩んでいた。
読んでいただきありがとうございます。よろしければ
ブックマーク 評価 お願いします。




