10. 事業資金のあれこれ(香織さん頑張る)
さあ、突然の送金に慌てる勇者たち、どうなるのかな?
そうして、勇者が、田嶋と、香織を仲間にし会社登録や開設準備をして落ち着いてきた二ヶ月後、完全連絡の絶えていたゲインエキスパートから勇者のスマホに唐突にメッセージが送られてきた。
「リターン額が日本円で100億円を超えたました。ゲイン・ストレージに送金します」
勇者は慌ててゲイン・ストレージを確認した。画面には「現金125億円(ゲインエキスパートより入金)」と表示されている。
「…たった二ヶ月で、これだけ儲かったってことか?」
勇者は呆然とした。しかし、すぐに別の問題に気づく。 ネット上でやり取りした履歴が一切ないため、表向きは一円も稼いでいないことになっている。いきなり100億円を超える資産が手に入ったとなると、どう考えても不自然だ。
『秘密の収入』にしても、限度がある。このままでは履歴のない収入と見なされ、日本税法で45%**もの高額な税金が徴収されてしまう。100億円なら55億円も持っていかれる。それどころか、違法性を疑われ、税務署の徹底的な査察にさらされ、何の罪に問われるかわからない。かといって、このままではお金を使うこともできない。
勇者はゲインエキスパートにメッセージを送った。
「ネット上に履歴が残る投資か何かが必要だ。履歴に残る収入がなければ、お金があっても使えない。不自然にならないよう、ごく少額の投資から初めて、少しずつ収入が発生するようにできないか?」
ゲインエキスパートから返信が届く。
「こちらの世界に依頼を実行できる人員がいません。また、架空の人物、架空口座を作成すると、後々問題が起こる可能性が高いのでお勧めできません」
「結局、俺が動くしかないのか…」
勇者は頭を抱えた。誰かに相談するしかない。だが、思いつくのは親友の田嶋と、そのビジネスパートナーである香織だけだった。
「俺も友達ほかにいないもんな…」自虐的に呟きながら、勇者は早速二人を呼び出した。
・ 勇者の夢、そして友の懸念
カフェに現れた田嶋は、勇者の話を聞いてあんぐりと口を開けた。
「え、ちょっと待て。毎月同程度の金が入ってくるって?」
「ああ。たぶんね」
隣に座っていた香織は、冷静に勇者を見つめる。
「んー、開設資金は十分あるし、これからやる事業にも資金は必要やけど、ぶっちゃけそんなにいらんやん?勇者様、その金、どないしたいん?使用目的がないんなら、そのストレージに貯金するだけでええんちゃう?」
香織の言葉に、勇者はしばらく黙って空を見つめていた。そして、決心したように口を開く。
「確かにそうなんだけど…ちょっと恥ずかしいんで、笑わずに聞いてくれると嬉しいんだけど…」
勇者は、自分の本当の気持ちを話し始めた。
「どうせ使わない金なら、世界中の恵まれない孤児、失業者、病気に苦しむ人々のために使いたいんだ。ただの支援団体や世界規模の団体に寄付しても、そのほとんどは組織の運営費や、支援を受ける国の権力者に流れることもある。でも、自分の金を使うんだったら、俺がしたいようにできる」
勇者の真剣な眼差しに、田嶋と香織は黙って耳を傾ける。
「だから、自分で支援目的の財団を作って、まずは日本に孤児院や生活困窮者、高額医療の支援プログラムを立ち上げたい。そうすれば、みんなの苦しみが少しは減るんじゃないか?日本の次は、毎日餓死者が出ているような後進国をメインに支援を行っていくのはどうだ?」
勇者の壮大な構想に、香織は眉をひそめた。
「いや、ちょっと待ちいな!」
彼女は強く言った。
「不幸な人の救済に、金ぜんぶ使うつもりなん?確かに、救済に貢献する企業は税金控除になるし、企業イメージにも貢献する。でも、程度ってものが必要や!勇者様が言ってるの、全財産賭けても無理なくらいの規模やで?なんでそこまでせなあかんの?」
勇者は、ライ国で将軍に襲われた町や村の光景を思い出していた。親をなくした何千もの孤児、難民と化した人々。
「戦いが終わらなくても、みんな生きるために明日のパンが必要なの。なのに私は今、何もできない…」
レイナ王女が涙ながらに言っていた言葉が、忘れられない。あの時、勇者が魔王戦争で得た金貨はほとんどすべて教会に渡していたが、気休め程度にしかすぎなかっただろう。
「大丈夫だ」
勇者は、かつての自分とは違う、落ち着いた声で答える。
「やみくもに手を広げて支援をしようって話じゃない。時間をかけて財団を作り、本当に支援が必要な人に支援が届くような明確なルールを作りたいんだ。それは今じゃなくていい。お金の使い道の一つとして考えて欲しい」
勇者の瞳に、確固たる光がともっていた。
香織は、勇者の壮大な夢に目を輝かせた後、真剣な表情に戻って言った。
「それなら、目標の一つとして考える感じでええね。
まあ、援助の基準考えたり、集金システムと財団の設立、組織運営する会社も必要やしかなり大きい事業になりそうやけど。
でも、そのためにはマネーロンダリングも兼ねて、外から見て無理なく儲かってるって見える仕組みが必要やね!」
「マネーロンダリングって…」
田嶋が少し眉をひそめると、
呼んでいただきましてありがとうございました、 ぜひ送金してほしい方は ブックマーク 評価 オネガイシマス。




