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第四話 オーク肉の使い道



最近考えていることがある。

非常においしいお肉。オークの肉である。

こちらの世界ではオークの肉は不浄の肉とされていて、

食べると魔物になってしまうという話だった。

でも俺、毎日食べてたけど。

毎日食べてた俺はすでに魔物なのかもしれない。

ステータスとレベルはすでに人外の域かもしれない。


いや、案外俺は普通で、クローンが異常なんだと思うよ。


ロズ隊長のおじいさんに聞いた話だそうで、

昔ダンジョンの中で迷った冒険者が、

食べるものを求めてさまよった末、であったオークを倒し、

その肉を喰らったところ、

魔物としてダンジョンの中を徘徊するようになってしまったと。

そして、涎を垂らして、目を血走らせて出会った冒険者に襲い掛かったそうだ。

その姿はまるで獣だったと。


なんだかオークの飢餓状態みたいな感じになるんだな。と、思った。


そのうち俺もそうなってしまうんだろうか。

あれは嫌だな。

きっと、ちゃんと火を通して食べたから大丈夫だよね。火を通せば毒は消えるよね。


俺は、自分に大丈夫だと言い聞かせた。


とりあえず、食べたのは俺だけじゃないし。ロズ隊長たちも毎日のように食べてたし。

魔物になるときはみんな一緒だ。ぐへへ。

じゃなかった、みんな何ともなかったから大丈夫。

きっとあそこのダンジョンの肉は何かが違うんだよ。


と、自分を納得させるのに一生懸命な俺。


まず、取引先を決めないと。


料理をする知り合は、最初の日に出会った屋台の女の子。

新鮮な野菜と、川魚のサンド。

甘しょっぱい味付けで、美味しかったな。

同じようにオーク肉も味付れば新鮮な野菜にもよく合うと思うんだ。

濃いめに味付けされた肉汁が野菜に染みてそれを固めのパンで挟んでガブリと。

うん、想像しただけでよだれが出てくる。


あとは、宿屋の女将さんかな。

オーク肉の料理を宿で出したら、「美味しい」ときっと評判になって、

宿屋の悪いイメージもきっと変わると思うんだ。

今はオバケも出なくなったしね。かわいい金髪の女の子の幻は見えるみたいだけど。

そっちの方も今話題になってきてるんだよね。


俺はおかみさんを探して、厨房へ。


いたいた。


「女将さん、ちょっといいですか?」


「ん、ヒトシかい。ちょっと待っておくれ、今片付け終わるから。

 どうしたんだい?」


「ちょっと食べてもらいたいものがあって。」


「珍しいね。ヒトシから何か食べさせてもらえるのかい?」


ふふふ、そう悪魔の食材をね。一口食べたらもう止まらない。

その悪魔的魅力にハマってもらおうじゃないか。


「少し厨房を借りてもいいですか?」


「ああ、好きに使っていいよ。」


女将さんに許可をもらい。厨房でフライパンを用意する。

まずはオークの肉から。

じゅうじゅうと音を立て手美味しそうに焼けていく厚切りオーク肉。


「はいどうぞ」


「これは、豚肉、ではないね。なんの肉だい?」


「ふふふ、まず一口食べてみてください。」


「なんだい、気持ち悪いね。分かったよ」


厚切りのオーク肉を切り分け口に運ぶ女将さん。


口に入れた瞬間。



お、目を見開いたぞ。


そしてもぐもぐ。さらに目が開いた。


ごくん。


「どう、ですか?」


「うん、美味しいよ。肉自体に旨味があるから、野菜と炒めても、

 スープに入れても何にでもあうよこりゃ。」


よし、評価は高いようだ。だが、まだまだ。驚くのはこれからですよ。


「次はこっちです。」


「まだあるのかい?さっきと同じようだけど。」


「どうぞ。」


俺はあえて何も言わずに、肉の乗った皿を差し出す。


「またかい?とにかく食べろってことだね。わかったよ」


肉を切り分け口に運ぶ、刺しているフォークに肉汁が伝っている。


「ん?!」


感嘆の声を上げる女将。そのまま咀嚼して、その旨味を惜しむようにゆっくりと飲み込む。


「これは、さっきの肉よりも断然旨味と食感と風味が。

 一回りも二回りも。格段に上がっているね。

 一体何の肉なんだい?いい加減に教えてくれないか。」


もういいだろうか。そろそろ肉の正体を明かしても。


「オークの肉です…。」


「!?オークの、肉だって?冗談はよしてくれよ。」


「女将さんは俺がオークのダンジョンに潜ってた事は知ってますか?」


「いや、初めて聞いたよ。オークのダンジョンと言えば、

 王都のずっと南にあるサンルペの町が有名だね。」


他にもオークのダンジョンがあるんだね。


「実は、東の森にオークのダンジョンを見つけたんですよ。

 そこで取れた肉です。俺は東の森にいる間、

 ずっとそのオーク肉を食べてたんですよ。

 でも、魔物になることなんてなかったですよ。

 もちろんお腹を壊すことも。」


俺はオークの肉の安全性を伝えた。


「そして、実はオークのダンジョン攻略してるんです。これは誰にも秘密ですよ。」


「まさか。あんたが噂のダンジョン発見者なのかい。こりゃ驚いたね。」


「でも今は、国に引き渡しちゃったんで入れないんですけど、

 肉が傷まない方法で保存してあって、それも相当な量があるんです。」


「確かに、さっきの肉はまるで卸したての肉みたいだったよ。」


「そこで相談なんですが、このオークの肉を使って料理を作ってみませんか?」


「うーん、味は悪くないんだけど、やっぱりオークの肉ってのがね。」


「そこは言わなければ分からないんじゃないですかね。

 一度食べれば、間違いなくまた食べたくなりますよ。」


「たしかに、この味なら毎日食べたいよ。

 わかった、で、どっちの肉を売ってくれるんだい?」

 

「どっちもです。」


「わかった。で、いくらになるんだい?」


「実は相場が分からないんですよ。オークの肉なんて売れないし。

 とりあえず、タダでおいていくんで、お客さんに食べさせてみてください。」


「わかった、じゃあ一先ず5キロずつもらえるかい?」


「わかりました。準備します。」


交渉成立だ。これで後で値段を決めて、定期的に買ってもらおう。


一週間後、オーク肉の料理は女将の料理の腕も相まって、

瞬く間に、うわさが噂を呼び、値段の安さから、

お客さんが行列を作るほどの繁盛を見せた。


しめしめ、これでもうみんなオーク肉の虜だ。

もう逃げられない。ふふふ。

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