第十二話 ヒトシの正体
「簡単な狩りだと思って油断するな。取り返しのつかないことになるぞ。」
アーロンさんが珍しく険しい顔だ。
「すまねぇ、気を付ける。」
バズさん事バズローさんも申し訳なさそうな顔をしている。
「あんた、ヒトシに感謝しなよ。」
「ああ、もちろんしている。
だが、一体あいつは何者なんだ?
一人であんなに大量の運搬はこなすし、
剥ぎ取りも一人だろ?
おまけにこんなすげぇ薬だ。
まさかこれでC級だなんて誰が信じる?」
「バズ、お前の言いたい事は分かる、
確かに俺もそう思うが…。」
「ヒトシさんは優しくていい人です。それを疑うなんて…。」
「俺は別に疑ってるわけじゃ…。
俺もお人好しのいい奴だってのわ分かってんだ。」
「いろいろ気になる所ではあるが。
人には様々な事情があって当然人に話したくない事もある。
ヒトシはよくやってるし、
俺たちの事を第一に考えて凄く良くしてくれてる。
それでいいじゃないか。
イリが言いたいのはそういう事だろ?」
「はい、そういう事です。」
「分かったよ、もう何も詮索しねぇよ。
今の話しは無しだ。」
「じゃ、そういう事で決まりだね。
ヒトシが自分で話さない限り余計なことは聞かない。
さ、それじゃあ狩りを再開するよ。
バズ、ヒトシのポーションがあるからって油断したら承知しないよ。」
「わ、分かってるよ!」
…
ふう、やっと追いついた。
あれ、何か皆で真剣な顔で話し合ってる。
「どうかしましたか?
何か問題でもありました?」
「ああ、いやバズがアイアンリザードに腕を切られてな。
でもヒトシのポーションで回復したよ。」
「そうですか、ポーションが役に立ったんですね。
よかったよかった。」
「ああ、ホントに助かったぜ。ありがとうよ。」
バズさんは深々と頭を下げた。
「いえいえ、大したことじゃないんで気にしないでください。」
「それにしてもよく効く薬だ。
ところで使った分の代金なんだが…。
今はそれほど持ち合わせが無くてな。
アイアンリザードを売った代金で支払おうと思うんだが。」
「そんなの要りませんよ。」
「だが、切断された腕を一瞬で修復してしまうほどの代物だ。
相当貴重で高価な物なんだろ?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。まだまだありますから。」
俺はカバンをひっくり返すと、地面にポーションを広げてみせる。
適当に持ってきたけど、うーん見た感じ50本以上はあるかな?
沢山怪我したら大変だからね。念のためいっぱい持ってきたんだ。
「ヒトシさん、あなたは一体何者なんですか?」
唖然としたイリさんがポツリと呟いた。
「「「イリ…。」」」
「「おまえ…。」」
「あんた…。」




