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Face of the Surface  作者: 悟飯 粒
狩虎の章
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お前らやる気あんのか!

昨日は散々な目にあったので足取りは憂鬱だ。まさか森を全焼させるなんてなぁ…………現実であんなことやったら一発逮捕だろ。イリナが転入してきたのもあるし、今日から現実世界でも表面世界でも大変になりそうだ。


「なにしけた顔してんだよ。」


横にいる宏海が声をかけてきた。俺と宏海は小、中、高と学校が同じである。つまり学区も同じだというわけでいつも一緒に学校へ行ってるというわけだ。しかし昨日は宏海が寝坊したから俺は先に行ってたんですよ、だから俺はいつも1人で学校へ行っているというわけではないんだ。本当ね、全然ね、ボッチじゃないんだよ俺。


「いつもこんな顔してるだろ。」

「いつもは変顔だろ。」

「してませんけど!?」

「ああすまん、普通の顔だったな。」


馬鹿にしかたが悪魔だわ。


「そんなことよりイリナちゃんってめっちゃ美人だったよなぁ。なにあれ、どういう生き方したらああなるんだ?」

「さぁな。間違いなく言えるのは宏美とはかけ離れた生き方だろうな。男みてぇだもんお前。」


シュッ!


宏海の脚は綺麗な弧を描きながら俺の顔面へと吸い寄せられていく。くっ!俺を舐めるなよ!?腕を持ち上げ顔付近でなんとかガードすることが出来た!

メキメキ!

ガードしたにもかかわらずそのまま後方へと吹き飛ばされる!あ、あぶねぇ!また入学ガイダンスの時みたく病院へ運ばれるところだった!


「こんな美人が男なわけないだろ。ぶちのめすぞ。」


言う前に手が出てるんだけどね!宏海は入学ガイダンスの時以来、俺が宏海のことをずっと男だと思っていたのがショックだったらしく、俺が「あっはっはっ!男にしか見えねー!」みたいなことを言うと全力で蹴りをプレゼントしてくれるようになった。おかげで毎日死にかけだ。


「話は変わるんだけどさ、お前の小説に出てくるキャラにイリナっていたよな?」

「ああ、いるな。」

「………ってことはさ。うーんとそのつまりさ……」

「前にも言った通りだ。これは俺のやるべきことなんだよ。」


俺は宏海が話し終わる前に早々に打ち切る。


「わかってるよ。狩虎がやりたいのなら私は何も言わないよ」


……………重い沈黙。くそっなんとかしてこの流れを変えないと。


「それでさ!昨日の番組で…………」


そのあと俺たちは他愛もない話をしながら学校へと向かった。



8時10分。

うんうん!いつも通りの時間に学校に着いたぞ!俺と宏海はクラスが違うのでここで別れる。


ガララッ


教室の戸を横にずらし中に入り、見渡すとある場所に人だかりが出来ている。あそこは確か…………イリナの席だったか?俺は自分の席に向かう時にわざと遠回りをしてイリナの席へと近づく。


「ねぇねぇ、イリナさん。今日の放課後にカフェに行かない?あそこのケーキが美味しいんだよー。」


女子たちがイリナに今日の放課後空いてないかと聞いていた。


はっ!出たよカフェ!俺嫌いなんだよなー………そりゃまぁ、コーヒー牛乳を出してくれるのなら毎日でも通いつめるがあの苦くて黒いコーヒーしか出さないカフェは無理だ。なんで人間はあんな苦いものを好き好んで飲むんだ?どう考えても甘い方がいいだろ。カフェインも取れて、糖分も取れる!最高だ!しかも「コーヒーといったらブラックだよね?」みたいな風潮というか、なんかそんな意味のわからないもののせいで好きでもないのにブラックコーヒーを飲む奴も嫌いだ。いや、お前甘党だったろ!と言いたくなる。カッコつけて「あ、俺?俺はいつもエレガントにエスプレッソをホットで飲むよ。」みたいなのも無理。どんだけ横文字を使えば気が済むんだ!あと他には…………


「あ、ミフィー君!丁度良いところに!この方々に生徒会のお仕事があるから無理だって言ってくれないでしょうか?私が言っても信じてくれなくて…………」


ミフィー君?今生徒会長がミフィー君って言われてた?まさか…………ボソボソ


周囲から色々な囁きが聞こえる


ああーーー…………学校での生活はこれからどんどん辛くなっていきそうだ。


「えーっとですね。昨日お願いして生徒会のサポートをしてもらうことになったんですよ。最近色々なことがあったから俺たちも多忙でして、本当にイリナさんには感謝してますよ。宏美も喜んでました。」


そういうと「それじゃあ仕方ないか」といって女子たちは離れて行った。さすが俺の真面目トーク力だぜ。


「しっかしまぁ人気だなイリナさん。俺なんて人っ子一人寄り付かないってのに。」

「うーん………そうでしょうか?単純に転校生の見た目が外国人だから興味深いってだけなんじゃないですかね?私自身にそこまでの魅力があるとは思いませんから。」


おいおいおい。何言ってんだこいつは。


「おま、……イリナさんに魅力が無いなんて言ったらこのクラスの女性の魅力なんて皆無になっちゃいますよ。」


危ない危ない。お前と呼ぶところだった。そんな風に呼んだらこのクラスの男子全員に殺されてしまう。


「えー!何言ってるのさ生徒会長!今のでこのクラスの女子全員を敵に回したことになるからね!?」


女子たちから盛大なブーイングの嵐。いや、そりゃ………ええ?そういうつもりで言ったんじゃあないですよ俺?


「ミフィー君…………」


イリナが哀れみの目で見てくる

わかってくれるのか、このクラスでお前だけだよ俺の仲間は………


「女子に対してあんなことを言うなんて、かなり見損ないました。あなたは女子の敵ですね。」


えええ!?なぜにフォローした相手からこんな批判をされなくちゃいけないんだ!?同情してくれないの!?


「え、ええ、えええーーーっとそのあれですね。言い過ぎました。すいませんでしたー。」


イリナを含め、このクラス全員を敵に回したくないので頭を下げる。


「そうですね、ミフィー君。でもそれじゃ誠意が足りないんじゃ無いでしょうか?」


イリナが笑顔で駄目出しをしてくる。


この野郎!クラスじゃ俺は何も出来ないからって調子に乗りやがって!昨日こちょばしたのを未だ根に持ってるのか!?それならかなりたちが悪いぞ!


「ぐっ………それじゃ他に何をすればいいですかね!?」

「そうですねー………[イリナさん、生徒会長である私が不甲斐ないばかりに気を悪くさせてしまいました。どうか許してください]と言ってください。」


ふっ!甘いな!俺には全くプライドが無いからな!そんなこと簡単に言えるぜ!


「イリナさん!生徒会長である私が不甲斐ないばかりに気を悪くさせてしまいました!どうか許してください!」

「ま、そんなこと言われても許さないですけどね。」


あ……………俺が昨日やったやつだ…………


なるほどね。本当に面白いなこいつは。だがこの俺が、プライドのないこの俺が昨日のお前みたく激怒すると思っているのか?それは心外だな俺の華麗な返答を見せてやる!


「ふっ、ふっふっふふふふ!あーっはっはっはっはっはっ!てっきりイリナさんは優しくて質素なお嬢様だと思っていたのですが、こんなに執着深くて人が謝っても許してくれないような人だったんですね!」


わざと大きな声を出して喋る。


「そして、えーっとなんでしたっけ?確か昨日感情のままに森を…………」

「ちょっとミフィー君。一緒に来ていただけないでしょうか?いい?わかりました。それでは一緒に外に出ましょう。」


返事してないんですけども!?笑顔のままのイリナに肩をがっしりと掴まれ俺は廊下へと連れて行かれた。凄まじい力だ、俺の両足がズルズルと地面を滑っていく!しかしまて、大丈夫だ。ここは廊下だ。人がよく通っているんだ。攻撃はしてこないはずだ………

しかし廊下で止まることなくイリナは俺を屋上へと連れて行った。

あー……見渡す限りの青い空!この世界には白と青の世界しかないのかと言うぐらいここは空でみたされていた。更に、全くもって肌色が見えない。肌色………それは文字通り人の肌の色を表す言葉。つまり簡単に言えば人が全くいない無人なスペースだってこと!フリーダム!


あっはっはっ!俺は一体何をされるのだろうか!


それから10分間、予鈴がなるまで俺はひたすら叫び続けていた。




それから時間は経ち昼休み。


未だ身体中が痛い。特に関節。目立った外傷があるとイリナが暴行したということがバレる為、外傷がつきにくい関節技を的確に極めて来た。でも、その時にちょっと胸とかが当たったりしたので悪くは無いかなとか思ったり思わなかったり………今に思えばね!あまりの激痛に触覚が消えてたよね!

というわけで昼休み。昼食の時間だ。今日はいつも通り1人で食べようかなとか思っている時にあいつは突然やって来た。


「よっ、狩虎いるか?」


宏海が来やがった。


「なんだよ宏海。俺になんか用か?あいにく俺はこれから弁当を食べなきゃいけないんだ、よほどのことじゃないと俺のこの予定は変わらないぞ。」

「いや、生徒会メンバー全員で昼食を食べようと思ったんだけど。こんな用事はお前からすればよほどのことではないよな?」

「ああ、よほどのことだな!よし!どこで食べるんだ!?生徒会室か!?それとも食堂か!?」


宏海を問い詰める。


「あ、ああ。食堂だ、イリナちゃんも誘っておいてくれ。」


そうして宏海は先に食堂へと向かった。


イリナの方を見る。朝のあれ以来、俺の顔をみてくれさえしない。うわー、この状況で話しかけるとか他の人はどうだか知らんが俺からすればかなり難しい!なんて言えばいいんだ?「ご飯食べに行こうか」か?それとも、「一緒に食べようぜ。」のどちらがいいだろうか。後者の方がフラットな感じでいいよな。俺はイリナの席へ向かった。


「みんなと一緒にご飯食べに行きませんか?」

「…………………ぼそっ」

「うん?なんです?」


顔を隠していた両腕からほんの少しだけ目を出した。


「ソフトクリーム買ってくれたらいいよ。」


といった。



食堂


今は生徒会メンバー5人で食堂にいる。俺と翔石君は弁当を食べ、雪さんはラーメン定食(ラーメン+半チャーハン+中華スープ+餃子)を、宏美はAランチ(ご飯+味噌汁+サラダ+鯵の開き+冷奴)を食べていて、イリナはさっき俺が買ったチョコ味のソフトクリームをぺろぺろとなめている。


「しかしなんでいきなり集まることになったんだ?集まるんならもっと早めに言ってくれれば色々と準備出来たのに………」

「準備ってなんだよ準備って、パーティーでも始めるつもりか?」

「ははっ、まさか。ただちょっとしたボードゲームとクラッカーとおやつを買ってくるだけだって。」

「それはもうパーティーだろ。いや違う。こんな事を話している場合ではないんだった」


宏海が気を引き締める。


「パーティをするぞパーティを!社交ダンスとかしちゃうような大規模なやつ!」

「…………パーティはわかるが社交ダンスってなんだよ。ここは日本だぞ。」

「日本だからこそだろう。向こうのノリが通じなくて悲しんでいるだろうイリナちゃんを楽しませる為の非世俗的なパーティなのだ!」

「その計画には少し狂いがあるな。イリナさん。言ってやってください。」

「あのー私。名前はイリナ=ヘリエルで両親も日本人じゃないですけど、生まれも育ちも日本なんです。」


そう。彼女は黄色人種ではないが根は日本人なのだ。日本生まれの日本育ち。顔だけなんだよ、外国人なのは。


「え?そうなの?あっれー?そんな描写あったっけ?」


どうやら宏海は俺の小説の内容について言っているみたいだ。答えから言ってそんな描写はない。なぜならさすがにそこまで書いたらプライバシーの侵害だからだ!俺は人のプライバシーを大切にする人間なのさ!


「とまぁ、そんなわけで社交ダンスはいらない。つーか社交ダンスってなんだよ、もっと世俗的なダンスしろよ。pops的な。だけどパーティーをやるというのは賛成だな、お菓子とかジュースとか七面鳥とかを持ち込んでやるようなそんな気軽なものならいいぞ。」

「先輩。七面鳥って気軽ですか?そこはもうちょっとグレードを下げて欲しいですね。焼き鳥とかそこらへんに。」

「俺も宏美の馬鹿さ加減に引っ張られてしまった。」


宏美に思いっきり殴られた。これだから男だって言われるんだお前ぇ!


「…………ケーキも欲しいです。」


雪さんからは可愛い指摘が!

ああ、買ってくるよ!俺、絶対に買ってくるよ!


「そこで提案なんですけど、そのパーティーは明日に変更した方がいいんじゃないでしょうか。いろいろと準備もあるでしょうし。」

「そうだなイリナさん。俺は賛成だが他はどうだい?」

「さんせー。」

「僕も賛成ですね。」

「…………私はいつでもいいです」

「えーっとつまりだ。パーティーは明日ってことでいいのか?」


みんなが頷く。


「よし!それじゃあパーティーは明日の放課後!今日は生徒会の仕事でいいな!」


そして皆でワイワイ食べ、予鈴がなったあとに教室へと戻り授業を受けた。


んで放課後


「よし!全員集まったな!今日の活動指針は先生、もしくは生徒の要請が来るまでUNO!をするぞ!」

「ふっ、負けないよ?」

「先輩方に負ける気がしませんね。」

「…………絶対勝ちます。」


みんなは口々に意気込みを言い合うと席に座っていく。一人を除いて。


「どうしたんだイリナさん?早く始めるぞ!」

「いや、そのーちょっと考えてたのと違って………てっきり見回りとかするのかと思ってたので。」

「あー。確かにそう思う人もいるらしいけど基本俺たちは受け身の体制だからね。自分たちから行動を起こすのは珍しいのさ。」


へーっと驚嘆するイリナ。

そんなに意外なのか?うちの学校は特殊なのかどうかわからないが基本見回りはしない。ここの生徒はお嬢様やお坊ちゃんばかりだからな。あと、確かに忙しいとは言ったがそれは事件の発生件数が多いというだけで、生徒会自体にはそこまで能動的にこなす仕事が多いわけではないんだよな。


「つうわけでこれから順番を決めてその後に皆に7枚ずつカードを配るからな。」


順番は


俺→イリナ→翔石くん→雪さん→宏海だ


そして俺の手札は


赤の0、緑の7、赤の2、黄色の8、青のスキップ、青の2、赤の5だ。

ドロー系のカードがないのが残念だけど、このバランスの取れた手札はいいぞ。なんとかなりそうだ!


「一応ルール説明をしておこうか。皆で順番に同じ色、もしくは同じ数字を出していきカードをなくした物の勝者とする。1番最後に残ったやつをビリとしていつもは罰ゲームを受けてもらうが今回は無しだ。」

「思ったんですけど、私に気を遣って罰ゲームを無しにするのはやめていただけないでしょうか?」

「いや、でもそれだと可哀想じゃない?入って来て早々に罰ゲーム食らうとかさ。」


俺は鼻で笑った。


ピクッ

イリナの眉間の血管が少し動いたような気がした。


「ふふっ、私を口実にして罰ゲームから逃げなくてもいいんですよ?いくら罰ゲームを怖がるようなビビリだからって逃げるのは気に入らないですね。」

「はぁ?俺が罰ゲームを怖がっているビビリだって?俺は今まで一度もビリになったことがないんだぞ?怖がりようがないな。」

「確かにビリになったことはないですが1位になったこともないですよね。」

「あぁ、確かに。いつも2位か3位だもんなこいつ。」

「…………なんの面白みもない。」

「えーーい!うるさーい!つまり俺はびびってねーんだよ!俺は気を利かせて罰ゲームを無しにしたんだがな!罰ゲームありにしてやろうか!?」

「そうですね。その方が私も真剣に出来ますから。なにより、ミフィー君のあられもない姿を見てみたいですからね。」

「おいおいおい。俺のそんな姿が見られるわけがないだろ?罰ゲームを受ける覚悟をちゃんとしといたほうがいいぜ?」


こうして決戦の火蓋は落とされた!



まずは山ふだから一枚めくる。

黄色の9か……黄色の8しかだせないな。


「次はイリナさんの番ですよ?」


くっくっ!そう、こいつは俺の次なんだよな!だからイリナが俺に何かをすることは無理なんだよ!逆に俺がイリナに何かをすることはできるんだよなぁぁあ!これで俺の勝ちは確実だぜ!


イリナは赤の8を出す。

雪さんは赤の4。

翔石くんは赤の5だ。

そして宏海はと言うとドロー4を出した。


「あーごめん。私これしか出せるものなかったわ。あと、色は青な。」


なにー!?こんな序盤からドロー4だとー!?くそっ!抵抗できるものが俺の手札には何1つとしてないぞ!


「………くっ仕方ない。4枚引かせてもらうぜ。」


引いたカードは赤のリバース、緑の9、黄色の6に黄色のスキップだ。

うわー!ドロー系が欲しかった!いやでも大丈夫だ!宏海はもうドロー系のものを出したんだ!これからまた同じようなものをポンポン出せるわけがない!


俺の番をスキップしてイリナから


イリナは青の3を。

翔石くんはスキップを。

雪さんを飛ばして。

宏海は青のドロー2を。


「ーーーーーー!ま、またドローだと!?し、仕方ない。ひいてやろう。」


震える手を抑えながら俺は山ふだからカードを2枚引く。カードは黄色の1が2枚!うおおおおおおお!なぜドロー系のカードが当たらないんだぁぁあ!やばいぞ!俺の手札はもはや12枚だ!くそっ!こっから勝てるのか?いや、俺はできる!俺はビリを知らない男だ!


次にイリナが青のスキップを。

雪さんが青の9を。

宏海が青のドロー2を!


「あぁぁぁああああ!!ドロー2がもう一枚あるのならまとめて出せよぉおおおおお!なんだよこれ!いじめか?これは新手のいじめなのか!?」

「うっさいなー。そうケチケチ言うなよ。分かったよ。これからはドロー2が2枚あったらまとめて出すからさ、そう怒るなよ。」


くっ!仕方ないか!2枚引いてやるよ!


赤のリバースに青の6!なんでドローがこねーんだよ!おい!誰だ!?誰かがこの山札に細工でもしたのか!?


イリナがドロー4をだし色を赤に変える!

雪さんは赤の1を!

宏海は赤のドロー2と緑のドロー2をまとめて出す!!


うんうん。俺が言ったことを忠実に守ってくれたようだ。いやー、ちゃんと俺の言うことを聞いてくれるなんて!本当に素晴らしいよ!


「ぬぁぁあああああ!!!ぐぅぅぅううううっっふぉおおぁぁああああああ!!!!何枚あるんだよ!!いや、そんなことより!!あるのなら最初からまとめて出せよ!!最初の1回しか俺はカードを出してないぞ!!!」


「いやいや、これで最後だって。あ、ウノね。」


俺は乱暴に山札からカードを4枚引く!赤青黄のスキップと赤色のドロー2!き、きた!初めてドロー2が来た!これなら俺は勝てる!


手札の総計は18枚。

赤青黄のスキップが5枚に赤のリバースが2枚、青と黄色の6が1枚ずつに赤と青の2が1枚ずつ、黄色の1が2枚

緑の7と9、赤の0と5、黄色の8に、俺の最強兵器……赤のドロー2だ。

なんか広げて持つのが辛い、床に適当に並べた方が持ちやすいな。


「あらあら、そんな手札の量じゃ私には勝てないんじゃないでしょうか?さっきの大見得はやはりただの威勢だけだったんですね。」

「おいおい、この手札は言わば武器の貯蔵庫みたいなもんだぜ?俺が攻撃に出たらお前ら出せるものがなくなって悲しんじまうぞ。」


俺はニヤニヤしながらイリナに語りかける。もちろんそんな余裕などないハッタリだ。だってドロツーが1枚しかないからな!こんなに手札があるのに!しかも何が悲しいってドロー系のカードを全然持ってないのが、宏美の小出しのせいで周知されてること!マジでハッタリ以外のなにものでもない!


イリナは机の方を見直すと顔をしかめる。

どうやら出せるものが無いらしく山札からカードを1枚ひく!


次に翔石くんは緑の0を!

雪さんは緑のスキップを!

………来た!俺のターンだ!おれの本気を見せてやるぜ!


俺は黄黄青青赤とスキップを出す


「つまり次は雪さんだな………」


雪さんはスキップを出し、ウノと言った


よし!出させてもらうぜ!俺のリーサルウェポン!赤のドロー2を!


ダン!

赤のドロー2がデッキの上に炸裂する。ふっ、これであいつも…………俺はイリナの方を見ると。


………な、なにっ!?笑っているだと!?ドロー2だぞ!?お前、今までだしてなかったろ!ま、まさか……おまえ!!


そうだと言わんばかりに赤と青のドロー2を出す


くそっ!今まで出さなかったのは俺からの攻撃を警戒してか………こいつ、何気に用心深いな。してやったりと言わんばかりに俺を見てニヤニヤするイリナ。腹立たしいことこの上ない!


翔石くんが山札から6枚のカードをひいている

ああー。可哀想に、翔石くんも、そして………イリナもな!!!


「くっくっくっ!おいおいイリナさぁん。君は大事な何かを忘れているんじゃ無いかい?」


「?何を言ってるんですか?ミフィー君。ハッタリはやめてください。私の手札が1枚であなたの手札が12枚だから勝ち目が無いからって………………あっ。」

「そうだよ!ウノって言ってないんじゃ無いか!?俺を貶めたと思って気が抜けたんだ!!初心者でも間違えないような重大なミスを犯したんだぜ!!」


「……………くっ!忘れていました。まさか、こんなことでボロを出してしまうなんて………」


イリナは渋々2枚カードを引く。はっはっはっ!いい気味だぜ!


雪さんは出せるものが無いらしく一枚引く。


「へい!青の8でウノストップ!」


どうやら宏海は上がったようだ。ちっ!運がいいやつめ!


俺は青と黄色の6をだす。

イリナは黄色の3を。

翔石くんは最初に黄色を、最後を青にして4を8枚だしていた。確かに、さっきは雪さんが青を出せていなかったからな、その出し方は理にかなっている。しかし8枚ってすごいな!どんだけ溜め込んでたんだよ!


雪さんはと言うと緑の4をだし、ウノと言っていった。

くっくっ………分かっているんだぜぇ〜イリナぁぁあ!さっきお前が緑を出せていなかったことをなぁぁ!

俺は緑の7を出すとイリナの顔が曇る。


「……ないですね」


山札からカードを一枚引く。

翔石くんは青緑青と7をだす。

雪さんももう青はないだろうから引くんだろうな。。


「……………ウノストップ」


な!?まさ、まさかっ!

俺はだしたカードを見ると黄色の7がそこにはあった


雪さん運がいいなーそれに比べて翔石くんは運が悪いな。可哀想だぜ!



雪さんがあがってから状況はあまり進まず、20分経過したある頃…………


「ウッノー!うっほーい!やったぁぁあ!残り一枚だ!」


なんと記念すべきことに俺の手札が一枚になった!イリナと翔石くんは残り2枚だ!


俺の手札はと言うと青の4。

くそっ!なんて不吉なんだ!いつもは意識しないのに、こう勝ちに執着している場面だと吹きたがってしまう!


イリナは赤の5をだしウノと言った。

くそっ!赤の5か!まだ青の4には程遠いぞ!翔石くん!お願いだ!青か4の何かを出してくれ!

俺がずっと翔石くんのことを凝視していると気味悪く感じたのかそっぽを向いてしまった。くそっ!コイコイ!来てくれ!俺の運命は君にかかっているんだ!お願いだ!何か、出してくれ!

俺の思いが届いたのか青の5をだしウノと言った!


「おおおおおおおおお!ウノストォォォップ!」


ばしーん!もはやカードを机に投げつけていた!


「うおっしゃぁあぁあああ!きた!勝った!勝ったよ俺!」


喜びのあまりゴールを決めたサッカー選手のように膝立ちでガッツポーズ!


「うう、出せるものがないです…………」


イリナは泣く泣く山札からカードを1枚引く


「ふっふっふっ、ウノストップです。」


どうやら翔石くんもあがったようだつまり…………


「さてイリナさぁあぁあん!!約束の罰ゲームをしてもらおうか!!」

「し、仕方ないですね。約束を破るわけにはいかないですし。それで、どんな罰ゲームなんですか?」

「なぁ宏海。お前さ、今エプロンとか持ってない?いや、お前ほどエプロンに情熱をかけてる奴がエプロンをいつも持ってきてないわけないよな。そのエプロンを貸してくれ。」

「ん?なんでだ?別に貸すけどよ。アイディアがあるなら私に聞かせろ。」


ゴニョゴニョと耳元で囁くと宏海の顔がどんどん笑顔になっていく。終いにはもはや顔が締まらなくなっており、バカみたいな顔になっていた


「よし。イリナさん、これからあなたには裸エプ…………」

その直後翔石くんとイリナの攻撃により俺の意識は喪失した。

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