表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Face of the Surface  作者: 悟飯 粒
勇気の章
PR
73/364

やっぱりこうでなくちゃ

俺とイリナと黒垓君は、ほんの少し離れたスカラさんを睨みつけていた。

3人ともが剣を握りしめ、いつでも戦える準備をしいつでも襲いかかれるように意識を集中していた。

今回の相手は出鱈目だ。回復もできて守るためのアーマーもつけていて、しかもそのアーマーも剥がれたらすぐに回復可能ときている。大規模な魔法攻撃を2種類同時に発動し、俺達の心を読んできて、身体能力も第一類勇者だから飛び抜けているわけだ。隙が全然ない。近距離も遠距離もパーフェクトにこなす万能型だ。テキトウに攻撃したところで撃退されてしまうのがオチである。


………そう、あの人を退けるためには俺たち3人の力を1つに合わせて隙を作り大規模な攻撃を叩き込むしかないのだ。


ボシュゥゥ!!!

俺の体からさらに蒸気が噴き出す!!


回復可能と言っても、かなりの威力の攻撃をくらえば回復までに時間がかかるだろう。

これしかない。これしか退ける方法がない。


だから俺は


チャキン


と、剣を鞘に収めて


クルっ


と今まで向いていた方の真逆を向いて


ダッ


と全速力で走り出した!!


「………!?ちょっ、ミフィー君!?!?」


走り出した俺の背中にイリナの驚いた声がぶつかる

そんな中でも俺はさらに加速し、山の中を走り抜ける。機関車のように俺が走った後に蒸気が雲のようにたちこめる。


「頑張って頭働かせたんだけどさ、やっぱり俺、君達の足手まといにしかならないっぽいのよ!だから邪魔にならないように全力で逃げるわ!!」


そう、俺は逃げるために力を解放したのだ。あのままじゃ完璧にスカラさんに追いつかれてしまう。でも、もう1段階加速すれば、この山だ。なんとか逃げ切れるかもしれないし、蒸気を大量に出すことで隠れることもできる。

俺の攻撃は攻めの一手じゃない。逃げの一手だ。


スカラさんの死角に入り込むように、木などの後ろに隠れつつ走り続ける。

山道のあの、デコボコしていて走り辛い斜面が俺の足首を捻らせようとしてくる。だがそんなの構うものか。とことんまで逃げ続けてやるぜ


「………逃がさないわよ」


スカラさんが空中に何か文字を書き出す。


ピュン!!


が、書いている途中でイリナの剣がスカラさんの頭を斬ろうとしたため、スカラさんは書くのを止めて剣を避けた。


「………ミフィー君の考えてることはイマイチ分からないし、正直今は彼に対してイラつきしかないけれど、死ぬほど痛めつけてやりたいけれど、あんたに彼を殺されるのは嫌なのよね。いい加減退いてくれない?」


イリナは剣をスカラに突きつける


狩虎の姿はもうスカラやイリナからは見えなくなっていた。


「………無理な話ね。彼は私達からすればただの害悪なウイルスみたいなものなのよ。勇者陣営の中に入れた途端、中から侵食されて勇者達が危険な状態にさらされるのよ。彼って賢いからね」


スカラさんの右手に光が溜まっていく


「本性もそこまで見せないし、人によって顔も使い分けているわ。徹底的に自分を隠そうとしているわ。それに自然と嘘も混ぜてくるものね。すぐにバレる嘘と絶対にバレテはいけない嘘を二段構えで用意しているもの。後者を完璧に隠すためにね………イリナちゃん、貴方もどうせ彼に言いくるめられたのでしょう?」


右手に溜めた光がドンドン大きくなっていく。


「今彼がさっさと逃げたのもいい証拠じゃない。自分は逃げて、強い私を貴方達に丸投げ。貴方達は都合よく利用されているだけなのよ。………今すぐ、貴方達の洗脳を解いてあげるわ。彼を殺すことによってね」


スカラは右手に溜めた光を、狩虎が走っていった方向にぶん投げた!


「私の攻撃はほとんど全てが追走型よ。たとえ彼がどこに逃げようが、私から逃れることはできないの」


パァン!!

スカラが投げた光が、真っ白な手に潰された。

大きな手が開かれると、そこにはもう光はなかった。


「なーーに師匠を知った気になってるんすかねぇ?彼は深い人っすよ?あんたが師匠の心の表面を読んだところで、師匠の深淵は見えないんすよ。そこ、ちゃんと理解してます?」


黒垓が出した巨大な両手が、スカラの元へと飛んでいき、攻撃を開始する。

手が地面や木に触れるたびに、触れた部分がこの世から消滅する。ズズズーーンと木が何本も倒れていく。


「表面でも十分なのよ。私はいままでいろんな人の心を見てきたからね。経験からなんとなくわかってしまうの」


だがスカラはその巨大な手を、黒垓と会話をしながらかわし続ける


「彼はペテン型ね。優しさも何もない、自分に利益されあれば他人をも応援する自己中心型よ。ああいうのはさっさと殺さないと面倒にな…………」


ヒュン!!

いつの間にかスカラの背後に移動していた黒垓の真っ白な刀が、スカラを肩から腰にかけてバッサリと切断する!


「師匠に優しさがなかったらこの物語は生まれなかった。優しさの塊みたいなあの人じゃなければ、オラ達はあんたに会ってないんすよ」


「………もう既に面倒くさいわね」


ドズン!

スカラの蹴りが、巨大な白い手の間を縫って黒垓の腹に炸裂する!


「私のお気にの服も台無しにして………やっぱりあの男は殺さなきゃね。私の服を傷つけた罰として」


黒垓が切った部分から服が消えていた。ピンク色の服に、細長い肌色の線が刻まれた


「黒垓君!いくよ!」


イリナの剣が鎌へと形状変化をして、スカラに襲いかかる!

スカラの首を跳ね飛ばそうと、冗談をメインに振り廻される。だが、それをスカラは先読みし、全部かわしていく


「だったら!!」


ヒュン!!

イリナの鎌が宙を斬ったとき、イリナは鎌をすぐに自分の元に戻し、鎌の切れない部分を相手に向け突きを放つ!


ガッ!!


攻撃範囲があまりにも大きかった為、スカラはかわしきれずに鎌の切れない部分にあたり、すこし態勢をぐらつかせる。

だが、致命傷にはなりえない。なぜなら、ただの打撃だからだ。イリナの力とは言え鬱血程度であるし、それぐらいならばスカラの回復魔法で一瞬で回復してしまう。


シャン!!


その隙をついて黒垓の真っ白な軌跡が、スカラの腰部分を横に切断する!

肌色の線が、横一直線に出現した。


「エッチい技ね。私を丸裸にでもしようというのかしら?」


ズダンズダンズダン!!

スカラの周りの木が急に成長し、木がまるでムチのようにしなり黒垓とイリナを襲う!


しかし木々は彼らの体にぶつかる前に、剣によって輪切りにされ、真っ白な手によって異次元へと消えていく


「ふん!おっぱい要員は胸美がいるからもう十分なのよ!あんたはさっさと私たちの前から消えなさい!!」


イリナが剣をスカラの胴体にぶつけ………

キインン!!

イリナの剣が、空中で弾かれた!盾みたいな何かが空中に沢山漂っていたのだ


「こっちに来なさい」


クン!

イリナと黒垓の体がスカラに引き寄せられる!!


「この盾ね、防御だけじゃなくて攻撃にも使えるのよ」


空中に沢山漂っていた小さな盾は互いに集合し結合し、2つの大きな盾へと変化した!


ガン!!ガン!!

2つの盾は、引っ張られていたイリナと黒垓に最高速度でぶつかり、両者を吹き飛ばす!!


「いっったいことしてくれんじゃないの!!」


空中に吹き飛ばされたイリナが顔面を抑えながら、光剣をスカラに向けて思いっきり刀身を伸ばす!!


「そんな直線的な攻撃、私がかわせないわけがないでしょう」


スカラはそれを右に避けることでスンナリとかわす。


ドスっ


だが、光剣がスカラの背中に突き刺さった


「………あら?」


光剣はスカラを突き刺したまま伸び続ける。そのため、スカラの体がイリナがいる方向へと移動していく!


バチバチバチバチバチバチ!!!


イリナの右手に雷が溜め込まれ、辺りを眩しく照らす。

バチバチバチっ!と拳から放電し、周りの葉っぱや木にあたり火を発生させる!


「乙女の一撃………ファースト!!」


メシッッッ!!!

イリナの拳が、顔を守ったスカラの両腕に食い込む!!

そして、溜め込まれた雷がまるでレーザーみたいに直線上を燃やし尽くす!!


スカラはイリナの一撃で吹き飛び、地面に叩きつけられる!腹に突き刺さっていた剣は引き抜かれていた


「黒垓君の技ってエッチいだけじゃなくて応用力が半端じゃないんだよ。そこんところを見誤ったからこんなに酷いダメージを受けてんだよあんたは」


黒垓君の能力を使って、イリナの剣の出る先をスカラに向けたのだ。


「あーー痛いわね。こんなにはっきりとした痛みを覚えたのは3年ぶりよ………」


グチュグチュ!とスカラさんの空いたお腹に肉が出現し速攻で傷口を塞いでいく。真っ赤なような茶色のような、そんな筋肉と内臓組織が秒単位で製造され損傷を受けた部分にくっつきダメージを回復していく。

骨が折れて皮膚を突き出していた両腕も、突き出ていた骨が消え、新たな骨が体の中で生み出され、折れた部分を補っていく。損害を受けた筋繊維にも、新たな筋繊維が生み出され結びつき、癒着、結合をして元に戻っていた。

そして、体は完璧に元の状態へと戻っていた。傷が何1つとしてない、出会った時のような姿だ


そして、スカラさんはゆっくりと立ち上がった。


「貴方達相手だと私も1人じゃ辛いわねぇ………仕方ない」


そう言うと、スカラさんはブツブツと何かを唱え始めた。


「そう簡単に、呪文を唱えさせるわけにはいかないね!!」


イリナはまるでロケットみたいに飛び出し、スカラさんに向けて思いっきり剣をふるう!


ザシュ!!

イリナの剣が、スカラさんの右腕を捉えた。………ただし、


「そんなに焦っちゃダメよイリナちゃん。あなたの身体は1つなのだもの。もっと大事にしないと」


スカラさんの何1つとして傷のない右腕から巨大な竜巻が発生し、イリナを巻き込み吹き飛ばす!


メシメシメシ…………

スカラさんの体が3つに分裂していく。イリナの剣によって傷つけられた、右肩から生えている別の右腕がワサワサと蠢き、次に顔が出現した。そして、その顔は自分の傷ついた右腕で本体の体を支えとして、力一杯自分の体を本体から引き離そうとする。

ギチッギチっと右肩から出てきた顔が本体から離れていく。首、胴体、腰、脚と次々とスカラさんの体の中から外の世界へと出て行く。

ドサドサ…………


スカラさんから別の2人のスカラさんが引き剥がされ、地面に落下する。

そして、その別の2人のスカラさんはゆっくりと立ち上がった。


「ふぅ…………これで3対2ね。それじゃあまた始めましょうか?」


1人のスカラさんが何もないところから槍を出現させる。そして、もう1人のスカラさんもまた槍を出現させる。

長さが2メートルちょいぐらいの平凡な槍だ。

それを2人のスカラさんはブンブンと振り廻し、肩を温め始めた。………そして、


ダン!!

2人はまるで機械のように、2人一緒に、同時に、寸分の狂いもなく同じに黒垓君とイリナに襲いかかる!!


キィィイインン!!!

金属同士がぶつかり合う甲高い音が山中に響きわたる!

キンキンキン!!

剣と槍が高速でぶつかり合い黄色い火花を生み出し続ける!


黄色とピンク色の髪の毛が、空中に飛び散る。

心を読まれているからとはいえ、イリナとほとんど互角の闘いだ。

また、黒垓君の方は槍を剣で切ることが出来るとは言え心が読まれているので互角であった。


ボッボボボボ!

片方のスカラさんの槍の先端に炎が灯る

シュゴォオオ!

そして、もう片方のスカラさんの槍の先に風が渦巻き対流する


ボコ!ボコ!ボコボコ!ズァァァァアア!!!

そして、本体であろうスカラさんが地面から巨大な木々を生み出し、地面を裂きながらイリナ達を襲う!!

ガシガシ!!

そして、木々達はイリナと黒垓君を捉え、ギチギチギチっと思いっきり縛り付け、更にツタの根を生み出し体が見えなくなるぐらい2人を拘束した。

さらに、それでもまだ足りないのか。木々がまだ地面から出現し、イリナ達が拘束されている木々に覆いかぶさりドーム状に堆積していく。


ピッピッピッ

本体のスカラさんが、空中に文字を書き始める


「世間に名が通っているだけあるわ、やはり貴方達は強い。………でもね、それでも私には勝てないのよ。知識量と経験量が圧倒的に違うからね。………まぁ、ここでノンビリしていたら、いつ拘束が解かれるか分からないからさっさと火達磨にしてあげるわ」


ピッ!

スカラさんが空中に字を書ききると、スカラさんの上空に巨大な竜巻と炎の塊が出現する。


「私の分身の風と炎と、私の巨大な風と炎の塊で、一瞬で燃やしてあげるわ。」


………返事がない。それは仕方ないわよね。木でがんじがらめにされているんだもの。肺を圧迫させられ、口も木で封じられている。よほどの人間じゃないと口は開けないわ


「………やっぱり、あの男は自分が全てなのよ。自分が逃げられれば貴方達の事なんてどうでもいい。今だってほら、貴方達が燃やされそうだというのに助けになんて来てないじゃない。今頃、彼は遠くの方にまで逃げているのよ。だから助けに来ない………あんな男、死んで当然よ」


炎の塊と風が合わさり、熱風を孕んだ巨大な火焔風へと姿を変えた。触れてもいないのに、近くの木々が燃えていく。


「貴方達の思いを踏みにじった彼を、貴方達の骸の上に花束として置いてあげるわ。それが私からのせめてもの温情よ」


ドサドサっ


スカラさんが炎を生み出し続ける竜巻を、木のドームに放とうとした時、木のドーム付近にいたスカラさんの分身2体が倒れた。

胴体から真っ二つに斬られ、周辺を赤く彩っていた。

カランカラン……と、2つの槍が地面に転がり、木のドームに触れ、炎をつけるとシュワシュワっと細かな粒子となり槍は消えて無くなった。


ザシュ!!

次に、竜巻の姿が消えた。竜巻はまるでこの世からはじかれたみたいに、一瞬のうちに姿を消していたのだ。


「その通りだ。俺は死んで当然の男だよ!」


ブン!!

俺はスカラさんめがけて思いっきり剣を振ったのだが、空振りに終わる。簡単にスカラさんにかわされてしまったのだ。


「逃げてなかったなんてね………しかし、なんで」


「[心を読めなかったのか?]だろ?そんなの簡単だ。今の一連の動きを頭の中で何十回もやって体に染み込ませたからだ。[考える前に体が勝手に動いちゃう]状態を作っておいたんだよ」


俺は剣を振りながら、スカラさんの問いに答える


「あら、そんな簡単なこと………案外攻略方法なんて簡単なものなのね」


そして、スカラさんも俺の攻撃をかわしながら会話を始めた


「まっ、攻撃を止めてくれて私としては感謝しかないわ。私も同類を手にかけるのは忍びなかったのよ。………それに、貴方が私の目の前に自分から来てくれたことが私には堪らなく嬉しいのよ。さっさと殺してあげる」


ゴゴゴゴ!!!

地面から岩でできた腕が出現し、俺を叩き潰そうとする!!


ピュンピュン!!

だが、俺は斬撃を飛ばしてその腕を切断すると、スカラさんに突撃する!!


次に、スカラさんの前に鉄の塊が生み出される。

正方形で、角の部分が突き刺さりそうなほど鋭利だ。ここに足の小指とかぶつけたら骨折は免れないだろう


「この世で最も硬い物質よ!貴方にきれるかしら!?」


スカラさんは鉄の塊を放つ!!


最も硬い?………ふっ、まったく、そんなもの、俺からすればただの豆腐だぜ


キン!

魔剣の一太刀で、鉄の塊は真っ二つに斬られた。だが、こんなんじゃまだ終わらない。


キンキンキン!!

さらに俺は鉄を切り刻み細切れにしていく!

まだだ!まだ終わらないぞ!!


キキキキキキキンンン!!

俺は空中を舞う無数の鉄の塊を更に切り尽くしていく。一体全体こいつに何の恨みがあるんだって自分でも聞きたくなるぐらい切り続ける。そして


俺の元まで飛んできたそいつを、俺は、思いっきり右足を振り抜いて、スカラさんに向けて蹴り飛ばす!!


ザクザクザク!!

スカラさんのアーマーを貫き、細かな破片がスカラさんに突き刺さり血が流れる


………やはりだ!勇者があんな大規模な魔法攻撃をポンポン出せるわけがないんだ!魔力を使い果たして、スカラさんのアーマーの回復が遅い!!


俺はひるんだスカラさんめがけてジャンプし、右手を引き絞り思いっきり拳を振るう!!


「あんたなんかの力じゃ、私は倒せないわよ!!」


メシッッッ!!!


スカラさんの右拳が俺の拳に当たると、俺の拳が当たったところから砕け、メシッ、バキッ、グシャァッ!!とグチャグチャになる!!


知ってるよんなことぐらい!!俺は弱い!!こんなレベルの人間達と闘うなんて頭おかしいんじゃないの?って言われるぐらい弱い!!

でもな、そんな俺にだってできることぐらいはあるんだよ!!


俺は左手に握りしめていた剣を離した。

ヒュルリヒュルリと落下していく魔剣。そして、俺も殴られた衝撃で後ろへと吹き飛ばされそうになっていた。

腕は完璧に吹き飛ばされていて、スカラさんにはもう届かない。てか右手がグチャグチャだから届いたとしても全然使い物にならないのだけれど!


剣は落下し続け、吹き飛ばされている俺の足元に辛うじてやってきた。

だが、腕が使えないだけだ。俺にはまだ脚がある!


衝撃で仰け反った上半身を俺は更に仰け反らせた。そうすると下半身が上へと持ち上がる!

俺の右足のインフロントに剣の柄が触れる。

さぁ、蹴り飛ばすぜ!


俺は剣をそのまま蹴り飛ばし、スカラさんの鳩尾付近に突き刺す!


「ヴッ………」


スカラさんの口から血が吹き出る


だがまだだ!まだこのままじゃ終われない!!

俺は更に腰から剣を引き抜く。それは俺の魔力に反応して刀身が青く光り出す!


スカラさんが突き刺さっている剣の柄を握ろうとしていた。


ザク!!

俺はそのスカラさんの右腕に斬りかかる!!

この人の回復能力は異常だ!鳩尾に突き刺したとはいえすぐに回復してくるはずだ!だから、ずっと攻撃し続けて隙を生み出さなくては!!


ザシュザシュザシュザシュ!!!

俺は何度も何度もスカラさんに斬りかかる。

俺を蹴ろうとしてきた脚を斬りつけ、殴ろうとしてきた腕を斬りつけ、呪文を詠唱しようとしても斬りつけた。

やはりダメージを回復するのにそれ相応の魔力量が要求されるようだ。今の俺でもなんとかこの状態を維持することができている。

だが、それと同じぐらいのスピードでスカラさんの傷が回復していく。

やはり、俺の力じゃ足止め程度が関の山か……………


「イリナぁぁぁあああ!!!!俺ごとで構わない!!1発デカイのぶっ放してくれ!!」


ズガァァアンンン!!!

炎でほとんどすべて燃やし尽くされた木のドームから巨大な5匹の龍が現れる!!


「グォォオオオオオオァアアァァアアア!!!」


5匹の龍は空と大地を揺らすほどの雄叫びをあげ、周りすべてを威圧する!!


そう、俺が出来ることなんて囮か命を張った足止め程度だ。……だが、一体それの何がいけないというんだ?力がないのならないなりの行動をすればいいんだ。んで、それが今回はただの自己犠牲だったってだけだからな。


「くっ………!!」


それを見たスカラさんも、さすがに危機を感じたのか俺に対する攻撃が激化する!!

俺はその攻撃に応えるために、スカラさんの胸に突き刺していた魔剣の柄をグチャグチャの右手でなんとか形だけでも握り、氷でくっつけて引き抜いた!


プシュブシュブシュ!!

スカラさんは蹴りとパンチを絶え間なく繰り出す!!

そして俺はそれを2本の剣で応戦する!!

血が大量に吹き出て、辺りに真っ赤なアーチを生み出し続ける。

スカラさんは俺に体を斬られてもお構いなしで攻撃し続ける!斬られた拳で俺を殴ってくるのだ。まるで痛覚がないかのようだ。


ギロッ


5匹の龍が、俺たちを視認したようだ。俺達に鋭い視線を向け、1つ大きな雄叫びをあげるとこっちに突っ込んできた!!!


「あれはさすがに………邪魔よあんた!!」


グチッッ!!

スカラさんのパンチが俺の右上腕二頭筋に当たる!!

筋肉が凹み千切れる感覚がする!!

いってぇぇえええ!!!なんて痛みだよこの攻撃!!見た目が地味なくせにスッゲェ痛い!!!


カラン

俺は右手に力が入らなくなり、ダランとしているとスカラさんの攻撃によって右手の氷が砕かれ魔剣を落下させる。


スカラさんが空中に何か文字を書き出すと、スカラさんの周りに光が出現する


「闇は光に包まれて死になさい」


ズズズズズ………

光が膨張し、周りを飲み込んでいく!!そして、その膨張し続ける光に触れた途端、皮膚が粉みたいに散っていく!


カッ!!!!

そして、光が爆発し、俺を吹き飛ばす!!


「魔族にしか効かない光の攻撃よ。でも大丈夫、死なないように加減しておいたから。あなたは仲間の攻撃で死になさい。………あの子達を騙していた罰よ」


騙していたか………まぁ、確かにその通りだ。イリナを騙したのは確かだ。自分の都合のためにイリナを欺き続け、裏切り、殺されようとした。

許されたなんて今でも俺は思っていない。そんなことを俺ごときが思えるわけがない。イリナに最低な3週間を送って、裏切られる経験までさせたのだから。


だけどな、イリナが今回カースクルセイドをボコボコにしたいって言ったんだ。俺の力なんて必要ないかもしれない。俺みたいな雑魚の力じゃ、役に立たないかもしれない。それでもイリナが望んでいるというのなら俺は全力でそれに応えなきゃいけない。ボコボコにしたい?いいぜ、そのためなら俺は幾らでも力をつけてやるよ。そしてその為にはスカラさん。貴方の力が必要なんだよ!!


シュン!!

俺は魔剣の能力を使い、魔剣が落ちていた地面へと瞬間移動する!!


ドスっっ!!

そして、俺はもう1つの剣でスカラさんを突き刺す!!!


「ガハッ………!!あんた、まだ立ち上がれるの!?」


「今貴方に逃げられたらこっちは困るんだよ。………俺と一緒に吹き飛ばされようぜ」


俺はスカラさんを刺した剣を持ったまま思いっきりジャンプして、上空へと向かう。

木なんて一切なく、全方向からなんの邪魔もなく攻撃できるような場所だ。龍の格好の的だな、俺達。


「グォォオオァァアアアア!!!」


5匹の龍がぶつかり合いながらこっちへとせまってくる!!

なんて迫力だ。ここにこのままいたら5匹に噛みちぎられ雷で焦がされ跡形もなく炭化されてしまうだろう。


「くそッ!!!!」


キュイイイン

スカラさんの手のひらに光が溜まる


「もう遅い」


バチチチチチ!!!!!

巨大な龍が俺達を襲い、ここ周辺を眩しく明るく照らし出した

重要関連作品

カイが死んだあの事件とそれ以降をイリナの視点で追っていた作品。全4話約94000文字→https://ncode.syosetu.com/n6173dd/

カイが死んだあの事件とそれ以降を狩虎視点で追っていった作品。全15話約60000文字→https://ncode.syosetu.com/n1982dm/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ