教師たるもの知に貪欲であれ
説明回ですので、つまらないです。それに分かりづらいと思います。力量不足です。なので、もし説明を聞くのがかったるかったら最後だけ見てください。短い言葉でまとめていますので。
また、後書きにもより詳しい説明を書いておきます。文章能力がちり紙みたいな作者で本当に申し訳ありません
「いいかい?亜花君。暇だからってお部屋を滅茶苦茶にしちゃいけないんだ。」
巨大な扉の眼の前で、亜花君にお説教をしている。昨日、亜花君が5階を滅茶苦茶に荒らしまわっていたことに関して怒っているのだ。
いや、正直怒ってはいないのだけれど、亜花君を預かった身としては心を鬼にして亜花君に教えなくてはいけないのだ。[やっていいこと]と[絶対にやってはいけないこと]。この2つを教えるのは幼児期においての重要教授事項だ。
…………まぁ、亜花君をほったらかしにしていた俺も十分に怒られなければいけないのだけれども、生憎俺の周りにそういう事で叱ってくれる人はいないのだ。だから、自分で自分を叱責するしか他はない。なのでただ今ミルクコーヒーを我慢中だ。
手が震えてきたぜ
「…………?」
亜花君は俺の話をよく分からなさそうに首をかかげて笑顔で聞いていた。穢れを知らない大きな目が、俺の方をずっと見ている。
あぁぁあああ!!めっちゃくちゃ可愛い!!なにこれ、子供って超可愛い!!やべーーよ、父性に目覚めてしまいそうだ!!
俺は亜花君に背を向けて深呼吸をする
いかんいかん。今俺は保護者だ。そう、教育の徒だ。たとえ相手がどんなに可愛かろうがビシッ!とお説教してモラルと言うものを身につけさせなくては!
「………本を破くとさ、もう一生元には戻らないんだ。どうしても破ったところにセロハンとかノリの跡がついちゃってね、継接ぎだらけになっちゃうんだよ。」
俺は再度振り返り亜花君へのお説教を開始する。
大丈夫だ………覚悟さえ決めれば我慢は出来る。目をしっかり見て、言葉をはっきりと言えば大丈夫だ!
「えーーーでも楽しいよ?」
亜花君の無邪気な声。………まるで5歳児みたいだ。外見もさることながら、やはり精神がまだ未熟だ。
これは、正攻法で説明しても意味がないな。…………しゃあない、話をそらすか。
「亜花君、スナイパー井上はどうだい?真ん中に当たるようになったかな?」
俺は亜花君が好きそうな話題に話を変えた。すると、亜花君のなにもしなくても輝いている目が更に輝き始めた。
「うんうん!今日なんて3回ぐらい当たったよ!」
手をバタバタと振って喜びを表現する亜花君。
…………俺も子供の時これぐらい可愛かったら良かったんだけどなぁ
「でも、すぐ壊れちゃうんだ。………それに、全然当たらないし……………」
そして、急に亜花君は落ち込み、ポケットから何かを出す。それは、粉々に砕けた木であった。多分ダーツの矢だろう。亜花君の握る力が強すぎて握りつぶしたに違いない。
「あらら、矢が壊れちゃってるな。………これで何個目だい?矢を壊したの」
俺は亜花君の手からダーツの矢の残骸を受け取ると、廊下に設置されていたゴミ箱に放り投げた。
カツーーン
木片はゴミ箱の淵に弾かれて廊下に転がった。
………上手くいかないもんだなーー
俺は水を操り木片をゴミ箱に入れた
「うーーんと………100超えてから数えてないや!」
100まで数えていた君の根性に敬服だよ!
「………いいかい?スナイパー井上って言うのはただ的に当てればいいってわけじゃないんだ。井上はこう言っていた。[壊すことしか出来ない人間に、矢を持つ資格はない]ってね。スナイパー井上を極めるためにはまず矢を壊さないことから始めなくちゃいけないんだ。そうじゃないと、何回も真ん中に当てられるようにはならないんだよ」
俺の頭の中で、すかしタバコをしているサングラスでハゲ頭の人間が思い浮かんだ。きっと、井上さんはこんな人間に違いない。
「矢を壊さない………?」
亜花君が難しそうな顔をする
「ああ、そうだ。矢を壊したらまた一からその矢を作らなければいけないだろ?それはかなり時間をくうことだ。そして、その時間分スナイパー井上の練習時間が減っちゃうわけだ。そりゃ上手になれないよな」
それに、亜花君のことだ。矢を作るのにも俺以上の時間をかけているに違いない。力がありすぎるってのも考えようだな。………まぁ、ないよりはマシなのだが。
「いいかい、亜花君。上手くなるためには[壊さない]ことが最低条件なんだ。だからこれから亜花君は壊さないことを頑張ればいいんだよ。そうすれば必ずスナイパー井上が上手くなるよ!」
「壊さない…………うん!僕頑張ってみるよ!」
笑顔で答える亜花君。
「よーーし!その意気だ!ちなみに矢だけじゃないぞ!周りのものをなるべく壊さないようにするんだ!それが何よりも近道だぞ!!」
「うん!わかったよお兄さん!」
よーーし!!これでなるべく物を壊さなくなったに違いない!
「それじゃあ亜花君、一緒についてくるんだ!これから少しお勉強があってね、亜花君にも受けてもらおうと思うんだよ」
俺は亜花君の手を引いて、扉が触れる所まで歩いていく
「えーー?お勉強?………つまらないなぁ」
亜花君の表情がかげる。
「いや、亜花君は受けなくてもいいんだよ?でもね、俺達4人は受けることになっちゃってるからさ、亜花君1人がここでお留守番してなくちゃならないんだ。ここではスナイパー井上も鬼ごっこも禁止だからね?」
「うーーん…………じゃあついてく!お兄さん達といた方が面白いもん!」
ああ、笑顔が可愛い。
………俺も、父親になったら子供がこれほど愛おしく思えるのかな…………やばいな、早く父親になりたいぜ。
てなわけで俺達2人はスカラさんの部屋に入って行った。
中には既にイリナと黒垓君と染島さんが待っていた。俺は亜花君を児童会館から引き取りに行ってたのだ。俺たちは昼間はこの世界にいないからな。どうしても亜花君をどこかに預かって貰わなくてはいけないのだ。
「遅いよミフィー君。亜花ちゃんを連れてくるのに時間をかけすぎだよ。」
俺がイリナの隣についたら、イリナが愚痴っぽく呟く。
「しゃあないだろ。児童会館の管理者に声をかけるのが辛かったんだよ。俺のシャイ加減を舐めるんじゃねぇ」
俺は亜花君に席を座らせる。
少し亜花君には大きすぎる机と椅子だ。座ると足が地面につかないでブラーンってなっている。
「現実と違ってこの世界ではシャイって感じはしないんだけどねぇ………何で私が見てない時にはシャイなのよ」
半ば呆れながら隣に座っているイリナが聞いてくる。
………お前も、学校の時と違って堂々と席に座ってるよな。すっげーーダラケきってるぞ。机に身を任せすぎだ。
「イリナには見栄を張る必要があるからな。その時ばかりはシャイじゃなくなってんのよ」
俺も席につく。
うむ、フカフカな椅子だ。いつも座っている学校のやっすくてかったい椅子なんかとは比べられそうにもないほど上質なものだ。きっと、現実ならフランスの高級家具店とかで売ってるようなレベルじゃないのか?
「へぇ………あれで見栄を張ってるつもりだったんだ。何もないところでよく転んでたような気がしたけど気のせいかな?」
……………それは、気のせいだな!
「さて、亜花ちゃんが来るのは予想外だったけど、授業を受ける予定の人間は全員揃ったわけね。それじゃあ、始めましょうか?授業を」
俺とイリナの会話を遮って、スカラさんが話し始める。
魔法のことをやっと詳しく知ることができるのか………何とかして1週間後までに間に合って欲しいのだが…………いや、その前に確認しなくちゃいけないことがある。
「あの、号令とかしましょうか?やっぱりメリハリとかって大切じゃないですか」
別になくてもいいのだけれど、いきなり[授業始めんぞー]みたいにヌルっと授業を開始されると拍子抜けというか緊張感がないというか、所詮その程度感が酷いのだ。
「号令?………そんなものは必要ないんじゃないかしら?授業を受ける気がある人間なら、そんなものでメリハリをつける必要がないもの。できる人間は、いつでも集中状態に自分でもっていけるものよ」
…………そっすね。完璧に正論っすね。
「さて、まぁ、いきなり実戦に入ってもいいのだけれど、やはり予備知識がないと具体的なイメージがわかないわよね。貴方達、魔法っていったいどういうものだと思う?」
俺達の前ですらっと立って授業を開始するスカラさん。
やはり、本職が教師っていうのは伊達ではないようだ。授業を始めた途端の雰囲気が違う。金の亡者から授業上手の出来る教師に早変わりだ。
「…………それじゃあ狩虎ちゃん。魔法っていったいなんだと思う?」
俺がむむっと考えていると、スカラさんに指名される。
ええ!?まさか発表しなきゃいけないの!?てか狩虎ちゃんってなんだよ!!初めて言われたよ!!
「魔法ですか………うーーんと、[魔力の劣化版]?」
「あら、それは[初級炎の魔道書]の1ページ目に書かれている魔法の定義じゃないの。貴方まさか予習してきたのね?偉いわねーー」
この人俺が読んだ本のページとか記憶してんの!?どんな知識と記憶力だよ!!
「そうね、あの本には確かに魔法についてはそう書かれているわね。端的で非常に的を得ているわ。あの本の内容は殆どがゴミに近しいけれど、その文句だけは素晴らしいと褒めざるをえないのよね。」
内容がゴミって………じゃあなんで学校に置いてるんだよ
「ダメな本と良い本を見分ける目を養うためよ。良いものを常に与え続けるような教育はダメね。それじゃあ学力は上がっても人間性は磨かれないからね」
そしてスカラさんも当然のように俺の心を読んできた。
あのねぇ、確かに顔に出やすいとは言われるけれど、そこまで簡単に読まれるのは心外よ?俺にも一応プライバシーの権利ってものがあるわけよ。
「………まぁ、狩虎ちゃんが言ったように、魔法は言ってしまえば魔力の劣化形ね。それもそのはず、魔力は人間が生まれた時に生成されるのに対して魔法は自分で生み出すものだからね」
うん、それも確かに本に載ってたな。
ポポポン!
スカラさんの前に大きなでこぼこした球体と、よく分からない小さな物体が出現して浮遊し始めた
「今違いを説明したけれど、多分、予習してない子には分からないと思うのよ。だからね、これから魔力について詳しく説明して、その後に魔法と魔力の違いを説明するわね」
スカラさんは空中を漂っている大きなでこぼこした球を引き寄せる
「これを魔力だと思って頂戴。…………さて、魔力って一体どのように働いているか知ってる?…………染島ちゃん、どう働いているか分かるかしら?」
じーーっと集中して聞いていた染島さんに話を振る。
「そうですねぇ………本に書いていた通りだと[力の源を流す]とかなんとか、かんとか…………」
「力の源ねぇ………まぁいいわ。妥協点と言ったところかしら。」
本の言葉をそのまま言って妥協点かよ………
「世間一般で魔力と言われているのは器のことを指すわね。受容器………って所かしら。でも受容器だけじゃ何も効果は発揮しないわよね?何かがくっついてあげないと意味がないものね。………そして、この受容器にくっつくのが」
あたりを漂っていた小さな物体が急に動き始め、大きなでこぼこの物体に飛んでいく!
そして、シュルンっと、よく目を凝らさないと見えないような穴に入っていった。
「反応物質よ。この小さな物質が力を持っているんじゃないわ。これが魔力にくっつく事で、魔力が本来の力を発揮するのよ」
ボウッッ
大きなボコボコした球が急に炎を吹き出し始めた。
なるほど、ホルモン的な考えね。
「階級が高ければ高いほど魔力は大きくて、反応物質の量は多いわ。………魔力って言うのは器と反応物質をまとめたものを指すのよ。…………あら、狩虎ちゃん。貴方の周りにはあり得ないほどの反応物質が漂っているわね。体に収まりきれてないのかしら?」
………長い事この分野に携わっているからなのか、スカラさんは俺の周りに漂っている反応物質とやらを凝視しているようだ。俺の周りをじーっと見つめている。
まじかよ、俺全然見えないんだけど…………
「あら、でも私のとは形が違うわね………ふふふ、久しぶりに見たけれど、これって魔族の反応物質の形じゃない。」
………どうやら勇者と魔族の反応物質には形の違いがあるようだ。全くわからんが。てか見えないのだが
「グレンちゃんから鎧を貰ったってことは人柄は良いんだろうけれど…………魔族を認めるねぇ。あのグレンちゃんがねぇ。人ってやっぱり変わっていくものなのね」
「…………あの、その、話を聞いていると、まるでグレンさんが魔族を嫌っているような口ぶりですね。僕にはそれがいまいち想像出来ないというか…………結構すんなり鎧を渡してくれたんですよ」
鎧をくれる時、グレンは笑っていた。そりゃあまぁ、亜花君を引き取れと半ば脅迫じみたものを受けはしたけれど、俺を憎んでいるって感じではなかった。
だから俺はてっきり、勇者の方々は魔族に対してそこまで憎悪を抱いてないのかな。とか思っていたわけだが
「魔族を嫌っていない勇者なんて全然いないわよ。何かしらの恨みを抱いているからね。………グレンちゃんの場合は両親を殺されたって所かしらね。まぁ、この世界の農民の生活にはよくあることよ。」
…………そんなのが、よくあってたまるかよ
「誰かかしら魔族に何かを奪われてるのよ。私だって財布をギラれた事あるからね」
「それだけっすか…………」
「それだけとは何よ。お金は私にとって心臓みたいなものよ。今を生きる力を与えてくれるのよ。まるで血液を送り出すかのように。財布をギラれるということは心臓を盗まれているようなものだわ。あの魔族………次会ったら金塊にして闇市に売りさばいてやるわ」
スカラさん。貴方の心臓は一体何億個あるのですか?ていうか貴方の生きる活力の量が半端じゃないな!多分その1億分の1だけで十分人間が生きてられるぐらいの量だぞ!
「まぁいいわ。話が逸れちゃったわね。今日中にやりたい授業がたくさんあるのよ。これから授業テンポを速めていくわよ」
そう言うと、今度は空中を気ままに飛んでいた小さな球体を引き寄せて握るスカラさん。
そして、スパーーン!と真ん中から切断した!
「さっき、魔力は器と反応物質を合わせたものの呼称と言ったわね?それじゃあ今度はこの小さな球体の中を見て頂戴。………そうね、仮にこの球体を魔法だと名付けようかしら。この魔法の中身はいったいどうなっているかしら?………はい!イリナちゃん!どうなってるかしら?」
大きな欠伸をしていたイリナを名指しするスカラさん。
「……………丸いね」
そ、それだけ!?
「そうね、丸いわね。完璧なる球形だわ。」
そう言いながらスカラさんは真っ二つになった模型を机の上に置いた。
確かに、切断面から完璧なる円状の空洞が見える。
「それじゃあさっきの図形をちゃんと覚えておいてね。次は大きめの方の図形を切ったら一体どんな切断面になるかを当ててほしいわね」
そう言うとスカラさんは空中を漂っていた大きめの球を引き寄せて握った。
魔力の模型図だ。デコボコしていて球体とは言いたくないような球形だ。
「それじゃあ………どんな形になると思う?………染島……と思ったけれど貴方心がなんとなくわかるんだもんね。貴方に当ててもつまらないわね。………それじゃあ亜花ちゃん。一体どんな形だと思う?」
真面目に聞いていた亜花君を指名するスカラさん。
………真面目に聞いていたのかな?遠いところを見ているような目になっているような気もするが………まぁ、気がするだけだろう。
「んーーっと、丸?」
丸?いやいや、丸なわけないでしょ。これは今魔法と魔力の違いを説明してるんだぜ?中身が同じだったら、それは違いの説明にならないよ。
「おお!亜花ちゃんお見事!大正解!実はこれ、中身が同じ球形なのよ」
そう言うとスカラさんは大きめの球体をスパーーン!と切って断面をこちらに見せてきた。
…………た、確かに球形だ。なんだよ、なんで同じなんだよ!
「魔法と魔力の中身は実は同じなのよ。何も、変わりはしないわ。魔法も魔力と同じで器とそれにくっつく反応物質にはよって効果が発揮されるのよ。…………それじゃあ違いは何かしらね?分かった子はいるかしら?」
構造、仕組みは同じ。けれど、魔力と魔法は現に大別されている。つまり、どこかしらに違いがあるわけだ。………………まさか、こんな簡単な事なのか?
「…………大きさが違う?」
「ほとんど正解よ狩虎ちゃん。魔力と魔法に違いがあるとしたら[大きさ]と、もう1つは出てこなかったけれど、[カタチ]なのよ」
ポン!
真っ二つにされた2つの球体が煙と共に姿を消した。
「これでようやく最初の話を説明できるわね。魔力は生まれてくると同時に生み出され、魔法は自分が生み出す。これをようやく説明できるわ」
30分ほどがすでに経過していた。
ひゃーーー時間の経過が早い事早い事。教え上手な人の授業はあっという間だなー!!
「でも正直繋がっているとは俺は思えないんですけど。大きさカタチが違うからって、そこにどうやって関係してくるんですか?」
ぶっちゃけ、未だつながりが分からない。俺にはさっぱり関係が見えてこないのだ。一体ここからどう説明するというのだろうか
「それを今から説明するのよ。退屈でしょうけど、少しの間口を閉じておいてね。話終わったら幾らでも質問していいから」
あはーーー怒られちった。
スカラさんの眼光が怖いこと怖いこと。[黙ってないと口が開かなくなるよ]って目が怒ってるのよ。
「魔力の器は生まれた時に生成されるの。言っちゃえば人間の臓器と同じね。この世に1つしかない、自分だけの物なのよ。」
なるほどね。まぁ、ここで[移植できるだろう]みたいな野暮なことは言わないのが吉だろう。そう言う雰囲気じゃないもんな。
「そして魔法。これは私達が自ら器を作り出すことを言うのよ。魔力と違って器を人工で生み出すの。」
「ええええ!?自分で生み出すんですか!?俺が読んだ本には[魔力を拠り所にする]って書いてたんですけど!?!?」
「さっきの魔道書ね…………だから言ったでしょ?あれは内容がゴミだってね。それはほとんど間違いよ」
ま、マジかよ…………[教科書を疑って読め。]って、自分で知識を調べることを促すための言葉だと思っていたけれど、まさか言葉通りの意味があったなんて…………勉強になりました。
「さて、話を戻すと、魔法は自分で作るって言ったわね?だからどうしても魔力よりも小さくなってしまうのよ。」
ふーーん………なるほどねぇ
「………ねぇ、ミフィー君。いままで話を理解できてたんだけどさ、どうしても今の言葉が腑に落ちないんだよね。[自分で作るとどうしても小さくなってしまう]って言うのが………私なら絶対魔力よりも優れた器を作れるもん」
おうおう、久しぶりに出やがったな鼻高イリナ。
「………あれだ、人工関節とか義眼とか思い出してくれたら分かりやすいと思うんだ。それらってさ、本物の関節とか眼球みたいに完璧な性能があるってわけではないだろ?必ず本物に劣化してるんだ。」
確かに、高い技術力とお金を使えばある程度までは本物に近づく。現に中小企業などで極めて本物に近い滑らかな関節の動きを再現している所とかがあるぐらいだからな。
………けれど、やはり本物が1番すごいんだよ。作ったものよりも授けられたものの方が性能は高い。
まぁ、けれどもし俺が腕をなくして生まれたのであれば義手や、その関節を一体どれだけ重宝するのかを考えるのは野暮だろう。
性能じゃない。あることが素晴らしいのだ。
「そう、劣化よ。どうしても魔法は魔力に劣化してしまう。………それはどうしても欠点なの。けれどね、自分で器を作り出せると言うのは素晴らしいことじゃない?言ってしまえば無数の魔力を自分1人で操れるのだから」
「………確かに、凄いですね。1人の人間が火や水や土や風や金とかを操れたら、はたから見れば化け物ですからね。………でも、素晴らしいものっていうのは大抵…………」
「そう、習得が難しいのよ。私は魔力が魔力だったからね、簡単に習得できたのだけれど、普通の人はそうはいかないわ。最低10年、基礎魔法を全て覚えきるのにかかると言われているの」
10年…………いや、まぁ、妥当な数字だな。それだけの価値が魔法にはある。
「でも安心して頂戴。この世界で頂点に君臨するこの最強の教師、スカラ・クルッシェルの手にかかれば1年で全てを叩き込んであげるわ。………ふふ、どう?安い買い物だと思わない?」
「………5億を安い買い物って言っていいのかは分かりませんが、スカラさんが凄い人間だということは改めて分かりました。」
10年のものをその10分の1でやってしまうってのは凄いことだ。並の人間………いや、並の天才でも難しいことだ。天才の天才レベルにならないと確実になすことのできない所業だ。
やはり四賢者、金のことに目が行きがちだが、そう言われるだけの高い技術と知恵があるってことだな
「あら、私を褒めてくれるの?それはありがたいわね。この歳とこの地位に来ちゃうと心にもないお世辞を言う人間ばかりで困っているのよ。無理矢理お酒を飲ませた時ぐらいにしか言ってくれないよ。本当、つまらないのよねぇ」
なるほど、出世するのも考えものだな。
「それじゃあ一旦休憩するわよ。10分ほど時間をあげるから各々好きに休んでね」
そう言うとスカラさんは奥の部屋へと消えていった。
「…………ねぇ、ミフィー君。今回の話は少し長かったからさ、簡潔にまとめてくれない?」
天井を眺めて今の復習を頭の中でしていると、隣のイリナから頼まれる。
………まぁ、少し長かったもんな説明。これが説明下手な先生ならまず間違いなく俺は寝てるレベルだからな。
仕方ない、簡潔に説明するか。
「魔力は才能で、魔法は努力の結晶だ」
「なるほど、わかりやすいね。」
「だろ?でも本当はもう少しわかりやすいのあるんだ。」
「へぇ。これ以上にわかりやすいのなんてあるんだ。」
「ああ、○○○○○よりも○…………」
パーン!!!
喋っている途中に思いっきり頭をはたれた
バキバキバキメキィッ!!
そして、その衝撃で俺は机を貫きルビーでできた床に顔面からぶつかる!!
ぐぁぁぁああ!!!いってぇぇええ!!めっちゃくちゃ固いんだけどルビー!!鼻血が止まらないんだけど!!
「さいてーー!!何でいきなりそんなことを女性の前で言うのかな!?本当、もう、大っ嫌いだよミフィー君なんて!!!」
そう言うとイリナはプリプリと怒りながら部屋から出て行った。
「イリナさーーん。8分後には戻ってきてくださいねーー」
その後ろ姿に染島さんが声をかける。
黒垓君と亜花君がグッスリと眠っている中、俺は激痛の中真っ赤な床に倒れ込み、まるで一本釣りされたマグロみたいにビチビチと跳ね回ってもがき苦しんでいた。
魔力………潜在的に生み出されている器に反応物質を入れることによって発動する能力。器が大きい。
魔法………器を自分で生み出し、そこに反応物質を入れることによって能力を発動する。魔力よりも器が小さい。
器………ここに反応物質が入ることによって器からエネルギーが生み出される。
反応物質………器に入ることによって器の力を引き出すもの。本作では反応物質なんて呼んでいるが、正式名称はある。というか器にも正式名称はある。だがそれはのちのち出てくるのでここでは言及しない
重要関連作品
カイが死んだあの事件とそれ以降をイリナの視点で追っていた作品。全4話約94000文字→https://ncode.syosetu.com/n6173dd/
カイが死んだあの事件とそれ以降を狩虎視点で追っていった作品。全15話約60000文字→https://ncode.syosetu.com/n1982dm/




