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Face of the Surface  作者: 悟飯 粒
勇気の章
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こいつはやべー!これからが心配だ!

「少し………手合わせお願いします」


俺は剣を引き抜く


「うふふ………私は弱いので、少々本気で行きますよ?そうじゃないと、か弱い私じゃ怪我をしてしまいますもん」


染島さんも腰の剣を引き抜き俺に切っ先を向ける。


………何を言っているんだ。俺なんかよりも十分に強いじゃないか。


俺は1段階目を解放して、体から蒸気が噴き出る!


ダダダダっっ!

俺はすぐさま走り出す!染島さんの周りを一周するように右回りで走り出す!

………が、染島さんはまるで動かない。俺が視界から離れようが関係ない。分かるのだから、目で見る必要がないのだ。


やはりテレパシーの魔力は強力だ。俺の思考と感情が読まれてしまうのだから、俺の圧倒的不利は拭えない。………それじゃあ


俺は指を染島さんの方に向ける。

水鉄砲だ。この速さなら、たとえ染島さんだろうと対処し辛いだろう。それに液体だからな、切れない。意思もない。これならなんとか隙をつくれるはずだ


パシュッ!!

俺の人差し指から放たれる弾丸!俺の中では最速に近い攻撃だ。さすがにこれは…………


「うーん………ダメですねぇ。こんな攻撃じゃ私を捉えられませんよ?」


染島さんは既に弾丸をかわしていた。俺が放つ前から、俺が放つであろう軌道から外れていたのだ。俺の思考を完璧に読みとり、俺がどこに攻撃するかを読み取り、一歩動くだけで俺の攻撃をさっさとかわしたのだ。


「私の魔力だと無条件で飯田君の思考が頭の中に入ってきます。私を倒すには………そうですね、私が対処できないほどの規模の攻撃を放つか、速い攻撃をするしかありません」


…………それはかなりきついんじゃないのかな


俺は染島さんに向かって走り出す!


一撃を軽くして連続で攻撃をする。下手な鉄砲数撃ちゃ当たる作戦だ。染島さんも俺と同じ魔族だ。身体能力でなら負けないと思いたい。………けれど、きっと無理だ。だって染島さんは


カカカカカンンン!!!!

俺の連続攻撃を染島さんは簡単に弾き落とす


「うーーん………これじゃあ思考を読む必要もないですねぇ。目で追うだけで十分です」


そう、染島さんの剣技は速すぎるのだ。そこらへんの勇者じゃまず勝てない速さだ。それに、速さだけじゃない一撃も重たい。


「くっそ………」


ブワッ!!

俺は大量の水蒸気を生み出して自分の姿を隠す!そして、その隙に染島さんの右側に移動する!

………しかし、


「それも私には無意味です。バレバレですよ」


俺の行く先に既に剣が置かれていた。染島さんが俺の思考を読んで次に行く場所に先回りしていたのだ。


ブワッ!!

すると、染島さんの背後から水が襲いかかる!


「………それも無意味です」


染島さんは左手で、腰に備え付けた剣を引き抜き水を切りつける!


パーン!

水が粉々に吹き飛ぶ!

染島さんが持っている剣は魔力を断ち切る剣だ。これによって水同士の結合を行っていた魔力が切断されて水が水蒸気へと蒸発してしまったようだ。


「…………やっぱ強いよなー染島さんって。勝てる気がしないよ」


俺はそれでも再度染島さんの元に飛び込む!

俺も、黒垓君に頼んで魔剣を引っ張り出して二刀流で剣を叩き込む!


カカカンンン!!!


だがそれを染島さんは1本の剣でさばききる!


「………仕方ないですねぇ、私が本当の二刀流と言うのをお見せしましょう」


クルッカキン!

染島さんは、俺の右手の剣をクルッと回していなし、俺の右手の剣を俺の左手の剣にぶつけてしまう!

なんだこれ!なんだこの技術!


「いきますよ飯田君。頑張って耐えてください」


キキキキキキキキキキキキキキンンンンン!!!!!

目にも留まらぬ剣戟が俺の体を削ろうと繰り出され続ける!

っっっつつ!!カッコよく一撃一撃を剣ではじき返せない!剣2本を盾みたく前に置いてガードするのがやっとだ!

てか無呼吸期間が長すぎるだろ!どんだけ連撃叩き込むんだよ!


カカーン!!

俺の2つの剣は同時に弾き飛ばされて俺は丸腰になった。


「………負けですね飯田君」


染島さんは俺に剣をつき向けながら、微笑んだ


「…………やっぱり強すぎるんですよ染島さんって。力の差がありすぎて、実戦形式の訓練じゃ意味がない。」


俺は吹き飛ばされを剣を取りに、飛ばされた方向に歩いていく


「………それもそうですね。今のあなたじゃ大規模攻撃も出来ないですし、最速攻撃も出来ない。これじゃあ切り札も何もないありきたりな人間になってしまいます」


…………やっぱりかーー。俺が最も危惧していた状態だ。


「私のような剣技は練習というかお稽古を積めば出来るようになります。でも、飯田君に今最も必要なのは…………」


「………必殺技ですか」


「そうです。必殺技です。今稽古をつけてわかりました。今のあなたは自分の技術を磨く前に、もっとやらなきゃいけないことがあるようですね。自分の力を知ることが、まだ少し欠けているようです」


…………はぁ、なんてこったい。もう夜中だというのに、まだ俺にはやらなきゃいけないことがあるってのかよ。

今は試験が終わって俺を大会に登録して、そのまま勇者領外で特訓中である。俺だけ弱いからな………なんとかして差を埋めないと。


「だいたい、ミフィー君の体にはまだ分かってない部分が多すぎるんだよ。勇者と魔族の力、それとカイの記憶。慶次さんに聞いてもよく分からないの一点張りだしさ………なんとかして君のことを調べなきゃいけないんだよ」


離れたところから観戦していた黒垓君とイリナが近づいてくる。


「なるほどな………力をつける前にまずは自分探し。か………あ、そう言えば………」


俺は試験中のことを思い出し、染島さんに聞いてみた。


「俺のことではないんですけど、試験官のことについて少し聞きたいことがあるんです」


「なんでしょうか」


「試験官の魔力はきっと、鎧を作り出すものだと思うんです。自分で鎧師だなんて言って鎧を従えてたわけですから当たり前だとは思うんですが………その人間が物質を自由自在に出し入れしてたんです。武器とか紙とか………それって明らかに魔力の能力範囲外ですよね?一体どうやってやってたんですかね?知ってます?」


魔力は1人1個まで。それは俺に対しては例外ではあるが、一般的に見ればそれが普通だ。それだってのにグレンは空間上での物質転移をやっていた。これはいったいどういうことだ


「………多分それは、魔法ですね」


「…………魔法ですか?」


「ええ、魔法です。魔力とは別物の魔法です。」


魔法………魔力とは違うだって?なんか、少し、混乱してきた


「その、魔法ってやつを俺はいままで聞いてこなかったんですけど。………もしかして、そこまで有用じゃないんですか?」


無意味なものは使われない。そして、いままで俺はそれを戦闘に使っているやつを見たことがない。つまり、魔法ってのは使えないんじゃないのか?


「いいえ?魔法は便利ですよ。扱いが難しいだけで、素晴らしい効果も発揮します。………ほら、勇者領のベッドとかも実は魔法で生み出されているんですよ。」


へぇ!!魔法なんてのは結構便利なんだな!扱いが難しいってのが気になるが………


「………その、やり方とかってわかりますか?ちょっと習得してみたいのですが」


「うーーん………私もなんだかんだ言って使い方は知らないんです。ただ、魔力の源を利用する。と言うことだけは知っているのですが…………」


魔力の源を使う…………これは、少し、今後のヒントになるな。


「イリナと黒垓君はその、魔法っての知ってるのかい?知ってるっていうなら教えて欲しいんだけど」


「…………知らないっすねぇ」「んーー興味なし!」


………だよなぁ、そんなんだと思ってたよ。


「………染島さん。その、魔法ってのを少し習ってみたいんです。確かに自分を理解するってのも大切ですが、魔法を勉強することで少し、それの手助けになると思うんです。」


魔力の源を利用するということは、魔力の本質を知ることに直結するはずだ。それならば、俺の水の魔力と炎の魔力を知ることにつながる。それならば、自分を知るということにつながるはずだ。


「………んーーやっぱり、飯田君は意志が強いタイプの人ですねぇ。やると決めたら一直線って感じの人です。目を見ればわかります。…………ふふ、いいですよ。それじゃあこの世界で1番の魔術師に会いに行きましょう。」


「この世界で1番の魔術師………そんな人間に簡単に会えるんですか?しかもこんな時間に」


「会えますよ。あの人の取り柄は自由奔放なところですからね。あと変人なところですかね。」


………やっぱりさぁ、この世界の強い人間って変人ばかりだよなぁ。イリナとかイリナとか…………もうね、変人はやっぱり強いね。


「黒垓君、エスタンシア魔法学園の位置は把握済みですか?」


「んー…………あっ、オッケーですね。5日前に偶然そこに行ってたっす」


「学園ですか?それこそ、こんな時間に行くなんて非常識にもほどが…………」


「いいんですよ。あそこの校風もまた、自由奔放と変人集団が売りですから」


うわーー行きたくねぇ。


「それじゃあ行くとしましょう、エスタンシア魔法学園に」




黒垓君のワープで移動した先には、巨大なお城みたいなものがあった。真っピンクのお城である。お城とか言いたくないけれど、外見上お城である。全然威厳もクソもないけれど、一応お城の形をしている。

高さは50〜70メートルで、横が1キロメートル…………いや、それ以上あるな。離れすぎていて見えないだけだ。奥行きは…………もうわからん。ありえないほど大きいということしかわからない。

すごいお城だ。ピンクであることが惜しまれるほど壮大な学校だ。威厳はないけれどな!


「…………染島さん、俺もうこの学校に入りたくないんですけど」


「奇遇だねミフィー君。私もこの学校に入ったら酷い目に合うような気がしてならないよ」


「…………変人ですから」


変人だからって、ここまで滅茶苦茶なことはしないだろ!だってほら、イリナだってひどいて、いったぁ!叩くんじゃねぇイリナ!俺の思考を読んで叩くんじゃねえ!


「あははははは!!面白そう!!!!」


イリナに叩かれたはずみで、亜花君を握っていた手が緩んでしまい、亜花君が走り出してしまった!


「ちょっと待って亜花君!俺こんなところ入りたくないんだよ!お願い止まって!お願いだからぁぁぁ!!」


うがぁぁああ!!亜花君まじで足はぇぇぇええ!!今の俺じゃ追いつけない!どうするどうする!?


バターン!!

亜花君は勢いよく学校の扉を開き………開きってかぶん殴り?吹き飛ばし?まぁいいや、とにかく扉を開けて中に入っていく


ああ、亜花君!まだ間に合う!さっさと引き返してこっちに戻ってくるんだ!俺は入りたくないんだよこんなケバケバしい学校に!

が、それでも俺は保護者だ。こんな目に悪い学校に子供を1人置いておくなんてそんな無責任なことが出来るわけがない。


がぁぁあ!!入ればいいんだろ入ればぁぁあ!!


俺は走ったまま学校の中に飛び込む!


「…………外見もこうだったら入りやすいんだけどなぁ」


学校に入ると広々とした空間が広がっていた。黒を基調にした色合い。歴代の校長たちなのか?よく分からないが銅像たちが沢山横に置かれている。玄関だというのにありえない広さだ。俺の家4つ分ぐらいある。

目の前には巨大な階段。アンティークものなのか、煌びやかとはいかないが、妙なツヤがある。気品のある感じ、高貴な感じ、尊大な感じだ。まぁ、今の俺が言葉を並べたところで伝わるなんて思わない。こんな馬鹿でかくて、こんなカッコいい空間を今まで俺は見たことがないからな。例えようがないのだ。


それに、夜だというのに結構な人数が出歩いている。夜の学校っていうのは怖いイメージがあるのだが………この世界では違うのか?


「この学校の生徒はこの学校で寝泊まりしてるんですよ。だからこの学校って凄まじく大きいんです。それに、夜に出歩くのも自由なんです。自由がこの学校の校風ですからね」


俺の思考を読んで答えてくれる染島さん。

………なるほど、寮兼備ってことか。こいつはすごいな。現実では絶対に不可能なことだなそんなこと。

それに、やはりその校風も現実では不可能だ。親からどんだけクレームが来るかわかったもんじゃない。やれモラルがなんだとか………知らねーよそんなもの。


「…………あ、亜花君がいない」


いつの間にか亜花君が消えていた。きっと、面白いものを求めてどっかに走って行ったのだろう。


「………染島さんと黒垓君、亜花君の位置わかりますか?」


「わかりますが………うふふ、それじゃあつまらないですよ。簡単に場所を教えてしまったら、興醒めですよね?飯田君」


「いや………保護者としてはさっさと身元を保護したいんですけど」


「大丈夫ですよ。ここは学校です。変なことは起こりません。…………そうですねぇ、亜花ちゃんを探すついでに、この学校を探索するというのはどうですか?この学校、一般人に自由解放しているので色んなものが見放題なんですよ」


「え?いや、それは確かに面白そうですけど」


それよりも先に亜花君を見つけ出さないと!彼何しでかすかわからないからな………人を殺してなければいいんだが


「いいんです。今は探索をしましょう。ほら、あそこの部屋とかとても楽しそうでしょ?」


そう言うと染島さんは俺の手を引っ張り、部屋へと進んでいく。

手…………柔らかいな。亜花君よりも、柔らかいかも………


ほんの少しだけ、染島さんの行動にドキッとしてしまった

重要関連作品

カイが死んだあの事件とそれ以降をイリナの視点で追っていた作品。全4話約94000文字→https://ncode.syosetu.com/n6173dd/

カイが死んだあの事件とそれ以降を狩虎視点で追っていった作品。全15話約60000文字→https://ncode.syosetu.com/n1982dm/

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