勇者よ、立ち上がれ
お詫びと訂正。
黒垓君の能力の説明で「生物以外飛ばせる」とかなんとか言ってましたが、間違いです。本当は「動物以外飛ばせるです。」
誠に申し訳ありません
スッ……………
白色の刀が、空間に線を生み出す。直線や曲線、歪みや凹み。絹糸のように、優しく、湧き上がる。あまりにも細く洗礼された一糸は何ものにも染まらない。鮮やかに全てを飲み込む
ユラ……………
桜、黄金、萌葱、赤紫、黄燈、燈赤、仙斎茶。
銀色の剣は、彼女の心を映し様々な複雑な色を表す。淡い光が人を照らす。敵を照らす。
「行きましょうか………黒垓君」「うっす!行きましょうよ梅雨美!」
多色と白色の線が一斉に走り出し!
「ヴォォォオアァァァあアア!!!!」
ゴウっっ
その輝きに反応して巨大な牛のようなモンスターが口から炎を吐き出す!
「まったく…………そんなやわっちい炎でオラ達を倒せると思ってるんすか?」
白色の輝きが2本に増え、真っ赤な炎を断ち切っていく
「ブルゥァァアァァァ!!!」
獣の大きな拳が2人めがけて振り下ろされる!
「梅雨………」
「言われなくてもわかってますよ!君の刀じゃこれは防げないですもんね!」
シャシャシャシャ!!!
高速で繰り出される幾重にも重なる万色の突きが牛の獣の拳を削っていく
「ブモォォオア……………」
ドズンドズン…………
たまらず怪物は攻撃を止めて後ろに退く
「今です!イリナさん!」
「言われなくても…………」
パリっ
一筋の閃光が空を駆け抜ける。
昼だというのに、それでも眩しく感じてしまうほどの輝き。
金色の髪、碧眼、整った顔立ち、身長170㎝という高身長。そんな女性………イリナは雷との同化を解くと右手で剣を引き抜き、モンスターの右腕を切断する!
「わかってるっての!!」
ブシュゥゥうう!!
モンスターの次腕から血が吹き出る!
「いよっしゃあああ!さすがは黒垓君と染島さんとイリナだ!!かっこいい!!ふぅーーー!!ほれる!惚れちゃうよ!その調子でどんどんやっちゃってください!!」
パチパチパチ………
そして、それを岩陰で拍手をしながら見る男が1人……………
はぁ、まったく。なぜこうなってしまったのだろうか?村人Aであるこの俺が、こんなよく分からない戦闘に巻き込まれてしまうとは…………仕方ない、ここは全てに彼らに任せよう。
「いや、あんたも闘うんだからね!?なにそこで怯えてんのさミフィー君!」
戦っているイリナの怒声が飛ぶ。
まったく………分かってないなイリナ。俺だってな、本当はこんな風に過ごすのは嫌なんだ。でもな、分かってほしい。
「怖いんだから仕方ないだろうが!!!」
そんな言葉が世界にこだました
「ふぅ…………無傷で倒せてよかったね」
1分後、イリナ達がモンスターを倒した。
ラストアタックはイリナの突きだ。完璧に心臓に突き刺さっていた。
「うぇっへっへっ。さすがは旦那達でさぁ、この調子でこれからもモンスターを駆逐していってくだせぇ」
俺は岩陰からゲスな笑みを浮かべながら、手もみをしながら現れる
「なーーにが旦那達よ。本気出したらあんた、こんなのすぐに倒せるだけの強さがあるでしょうが」
ベシン
とイリナに頭を叩かれる
「まぁまぁ、イリナさん。師匠だって色々と事情があるんですからそんなに怒らなくても良いじゃないっすか」
怒るイリナを黒垓君がなだめる
「そうですよーー。今はこんなふざけた格好してますけど、心の中は焦りと不安ともどかしさで一杯ですからねーー。飯田君の気持ちも汲んであげましょうよ」
そして、染島さんもフォローしてくれる。
ああ…………良い仲間を持って幸せだよ俺は。
「…………まぁ、ミフィー君がおふざけでやってないなら良いよ。許してあげる。」
2人の説得のおかげでイリナも許してくれた。
そしてイリナは俺との会話を終えるとモンスターの方へと行き爪と牙を剥ぎ取る。ポキンとか、バキッて音が何回も聞こえてくる。…………え?まさか素手で力尽くで折ってんの?
「しかし驚きですよねーー。飯田君が自分の力を封じてしまうなんて。」
染島さんはさすがに素手ではやっていなく、剣を駆使して左手の爪を剥ぎ取る。
「そうっすよねーー。オラはてっきり正体がバレて、今のような状態になったら炎をバリバリ使うと思ってましたよ。」
黒垓君は白色の刀で両足の爪を肉ごと切断していく。
「本当ね、私的には力使ってくれた方が敵と戦うのが楽になるから使ってほしいんだけどなぁ」
爪を回収し終えたのか、こちらへと来るイリナ。
そう、俺は自分の炎を封じた。この………見えるかな?いや、小説だから見えないか…………とにかく、このシャツの下の心臓部分にある機械が取り付けられている。こいつはどうやらくっつけた人間の魔力を封じ込めれるらしい。しかも3段階まで調節可能だ。
と言ってもこの機械でも封じれる魔力は1種類だけのようだ。水の魔力は発動できるからな
「…………なんつーのかな。この俺の炎の魔力ってさ、反則すぎるんだよな。正当な力じゃないような気がするんだよ。」
魔剣も黒垓君に預けて、今は染島さんとお揃いの物を身につけている。
「俺が強いんじゃなくて装飾物が強いっていうのかな……………このままこの力で勝ち続けても多分俺は何も成長しないと思うんだ」
染島さんと黒垓君も戻ってきた
「だから俺は、未熟な勇者の力で生きていきたい。何かを変えれる力が欲しいんだ」
これで俺の守れるものの範囲は狭まったが………てか自分の安全も保証出来なくなったわけだが。まぁ、その分はイリナ達が守ってくれるだろう。
「………そっかぁ……………。まっ、良いんじゃない?そういうちゃんとした意志があるのなら私は応援するよ。それに、君には私と同じ力が潜んでいるはずだから、いずれ強くなるだろうしさ。」
……………カイの力か。一体なぜこんな力が俺に宿ったんだ?奇跡?…………きなくさいな。
「師匠が勇者として一歩踏み出すってわけですもんね…………おや?それじゃあオラは師匠のせんぱいになるわけっすか?………師匠、オラを[先輩]と呼ぶことを許可しますがどうしますか?」
「許可しますがどうしますか?ってなんだよ。見上げてるのか見下してるのかわからないな……………」
まぁ、先輩なんて呼ぶつもりはないけどな
「あらあら、それじゃあ私だけ魔族ですか?仲間はずれなんて拗ねちゃいますねーー」
「はっはっはっ、何を言ってるんですか染島さん。………いや、マイエンジェル。貴方は魔族なんかじゃなくて俺にとっての天使ですよ。」
俺は片膝をつき、染島さんの右手をそっと握る。
「あらぁ、嬉しいですねぇ。」
そして染島さんもニッコリと笑ってくれる。
美しい!ああ…………もう俺死んでも良い
「いままでこんな大胆なことしてこなかったのに、何してんの君?まさか許されたとか思って性格がオープンワイドになってんじゃないの?」
ミシミシミシと頭を握られる。
「いたたたたたた!!!割れる!はち切れる!バーストする!なんでお前はいつも俺が染島さんと絡んだ時はこう、頭を吹き飛ばそうとするんだ!!」
……………うーーむ、日常といった感じだ。色々とあったせいかこんな些細なことでも嬉しく思えてしまう。
「それじゃあそろそろ城に行きましょう!目的も達成できたことっすからね!」
黒垓君が白色の扉を作り出す。
………….これもまた、日常の光景といったところか…………噛み締めないとなぁ。
てなわけでゆっくりと扉をくぐっていたら、後ろのイリナに蹴られた。やはり理不尽極まりないぜ
「確かにブルアックスの爪16本と牙6本を頂きました。なので私、王様の使い人慶次が貴方達の本戦出場を認めましょう」
慶次さんが座っている机の上にさっき手に入れた素材が置かれている。
てかなんの本戦かって?そんなの決まってるじゃないか……………カースクルセイド掃討戦の隊長を決めるための戦いさ!
いやーー彼ら今結構調子に乗ってるからね、ここいらで勇者の全勢力を使ってぶっ潰そうって魂胆さ。
俺達がいない1週間の間で結構勢力を伸ばしたらしいからね。こりゃもうそろやらなきゃいけないだろっていう王様の判断だろう。
実際俺もそう思う。これ以上増やされたら彼らを消すチャンスがなくなってしまう
「いやーー凄いですねぇ、1着ですよ皆さん。これは今回の掃討戦の隊長は貴方達になってしまうんじゃないですかね?」
おお、俺ら1着か。流石は彼らだ、俺が足を引っ張っても1着だとは
「ふっふっふっ、でしょーー。このイリナが1着を逃すなんてことはありえないからね」
ああ、はいはい。自己中がなんか言ってんな
「しかしまぁ、私が1番驚いているのはそんな事じゃなくて、染島さんと飯田君。貴方達2人の事ですよ」
慶次さんは素材をアイテムを使ってどこかに飛ばすと、両肘を机につける
「染島さんと飯田さん、貴方達は魔族ですね?それにしかもとびきり上級の方々だ。」
…………うへぇーー。やっぱりそうなるか
「まぁ、飯田さんは力を封じているようですから特に危険はないのですが……………染島さん。貴方の力は危険だ。」
…………え?俺ってそこまで危険視されてない?
「通例であれば私はさっさと貴方を殺さなきゃなりません。私達の敵なわけですから」
ねぇ、俺は?なんで俺そんなどうでも良いような存在になってるの?
「まぁまぁ、慶次くん。そんな怖い顔しなくて良いじゃない。勇者の中でも最も魔族退治とかに貢献した私が安全だって認めてるんだよ?大丈夫だって」
すかさずイリナがフォロー!
その隙あらば自分の功績を会話にねじ込んでいくスタイル嫌いじゃないよ?
「…………まっ、そういう事にしましょう。飯田さんとイリナさんと黒垓さんの記憶を読んでみたら、結構彼女に助けられているらしいですからね。魔族にしては珍しいですが、貴方は優しい方のようだ。」
慶次さんの顔が柔らかくなる。
慶次さんの魔力は全てを見通す目を持つ事。彼の目からすればなんでも見える。透明な人間も見えるし透視も出来る。心を見る事もできるし、すげー頑張れば未来を見る事もできるらしい。
「あ、あの慶次さん………」
染島さんと慶次さんのやり取りが終わったのを見定め、俺は質問する
「はい?なんでしょうか」
「その………あの……………俺の力ってどんなもんなんですか?」
危険視されないって事は俺って弱いわけだろ?………いや、弱いのは知ってるんだ。だけれど、もしかしたらその俺が予想した弱いってのよりも明らかに下の弱いってなっちゃったらさすがに…………
「…………聞きたいんですか?」
あっるぅぇ?なんで問い直したのかな?なんで問い直したんですか慶次さん?
「いや、あのその…………今後に関わるというか自分の命に関わるというか……………」
知りたくはないが知っとかないと今後の戦いに影響が出る。てか実力見定めるのをミスって死ぬ可能性が大きく生まれてしまう
「わかりました。確かに貴方の魔族としての力は一流です。多分私じゃ敵わないでしょう。ですが、貴方の勇者の力となると…………いや、やっぱりどストレートに言いましょう。」
……………どんとこいや!!
「貴方の力は騎士程度です」
……………騎士?えっとその、騎士?あれおかしいなぁ、その階級が下から何番目なのか指を使って数えたら1本で足りたんだけど。
「……………あれ?聞き間違いたかな?なんかその、騎士とかなんか変な言葉が聞こえたのですが」
「騎士です。騎士です。騎士です。騎士です。騎士です。騎士です。騎士です。騎士です。」
…………………もうやだこんな世界。
慶次さんの言葉で魂が砕けたのを感じた
なんと言うんですかね…………毎日8時間ぐらい勉強しても時間が余ってしまい小説を書いてしまいます。もしかしたらこのまま小説を定期的に出せるかもしれません
重要関連作品
カイが死んだあの事件とそれ以降をイリナの視点で追っていた作品。全4話約94000文字→https://ncode.syosetu.com/n6173dd/
カイが死んだあの事件とそれ以降を狩虎視点で追っていった作品。全15話約60000文字→https://ncode.syosetu.com/n1982dm/




