熱き者、熱す者
何でいつもこいつらは私の邪魔をする?1年前には炎帝がカイを奪った。4日前には息吹を止める為に彼が姿を現して、例えまやかしだったとしても楽しい生活を奪った。そして今回は土石竜、お前は確かに私をめんどくさがって相手しなかったけれど、邪魔はしてないだろうけれど、今私は虫の居所が悪い。魔王ってだけで、気分を害されるんだよ!
私は、後ろを向いて月を眺めている土石竜に剣を振り抜く!
すると地面から岩が突き出し、私の剣を遮ろうとする。
やっぱりだ!やっぱりこいつは岩を使う!
サン!
私はその岩を断ち切る!
確かにそこらの岩なんかとは比べ物にならないぐらい硬いけれど、私からすればこんな物簡単に斬れる!
次々に出てくる岩を切断しながら土石竜の元へと突き進んでいく。
後少し、後少し。後少しで辿り着く。その兜の下で余裕こいている顔を拝んでやるからね、覚悟してよね!
残り5メートル、4メートル、3、2、…………
「くらえぇぇええ!!」
私は剣を土石竜の顔面付近へと振り抜く!
「…………やれやれ」
ザン!!!
私と土石竜の間に巨大な岩が出現し、私の剣が弾かれる!
なっ………さっきまで斬れていたのに!
そして、弾かれた私を追うように岩が…………いや、もう山だ。山が追うように地面から出現してゆく!
ザンザンザンザンザン!
くっ………かわすので精一杯だ!何て魔力をしているんだ、これがやはり魔王か。
「お前みたいな雑魚には興味がなかったんだがな…………そこまで攻撃されたら俺もそれ相応に対応しなきゃならねぇ」
兜のせいでくぐもった声。こんな声じゃ性別が何なのかもわからない。あいつらの鎧はボイスチェンジャーの役割でも果たしているのか?まぁ、どうせ男でしょうけどね。
土石竜がこちらに振り向き、そして立ち上がる。
「まぁ、俺も今暇していた所だ。こういう暇ってのは嫌だよな、どうしようもない体の疼きと興奮を、耐え続けなきゃならないからな」
土石竜の体が岩に覆われていき、より巨大な鎧へと生まれ変わる
「だからそうだな………俺を楽しませてくれ。5分なんてワガママは言わない。1分でもいいから、俺の遊び相手になってくれ」
バンンンン!!
樹立していた多数の山達が一斉に、内部から破裂しする。それは周辺の家屋を吹き飛ばし、轟音をあたりに響かせる。中からは巨大なゴーレムが姿を現した。高さは目視だから正確なことは言えないけれど20メートル。全体的に丸みを帯びている。
12体か……………多いな。
「そいつは、俺の使役するゴーレムの中で最も弱い代物だ。そんな奴に苦戦するようじゃ………」
ドズゥゥウゥンン!!!
12体のゴーレムが一斉に倒れる。
イリナの剣が伸び、ゴーレム達の足を切断したからだ。そしてイリナは剣をすぐに縮めて元に戻す
「こんな物を相手にするのに1秒もかからない。………あんたじゃなきゃダメなんだ。今の私はあんたを倒さないと………いや、あんたらを倒せるぐらいの力を持ってないと私は彼とは向かい合えない。」
彼が命を差し出すから殺すんじゃない。
私が、復讐のために彼を殺すのだ。そうじゃないと全てのことに意味がなくなる。彼のいままでの行動全てが無駄になる
「イラついているのもある。だけれど、それ以上に」
光剣が双剣へと形を変えていく
「私はあんたを倒さなきゃいけない理由がある!!」
電光が倒れたゴーレム達の隙間をぬって走る。
だけれどそれはイリナが走り抜けた後に生じた余韻。目に映った時にはもうイリナはそこにはいない
ササン!
いつの間にか背後に回っていたイリナの双剣が、土石竜を捉える。
しかし土石竜は既に後ろを振り向いていて腕でガードしていた。
ポロ………
腕の部分から岩の欠片が落ちる
「はっはっはっはっはっはっ!!!!何だよ、想像以上に強いじゃないかよ!いいね!いいね!!いいね!!!いいね!!!!上がるねぇ!!!!」
ゴゴゴゴゴ
イリナの足元の地面が揺れ動く
何だこの音………まるで巨大な物体が地面を歩いているかのような……………まさか!
イリナに巨大な影が出来る。
ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ…………マジですか?
背後に巨大な岩でできた人型が現れる。胴体が熱によって切断されたような跡があるが、綺麗さっぱり修復されている。
それが拳を振り上げて……………
「叩き潰せ!!地の衛兵 (アースゴーレム)!!」
巨大な拳が振り下ろされる!
直径10メートルの岩の球が超高速で落ちてくる!風が岩にぶつかりブオォォおお!!!という音を鳴らしている!
待て待て待て待て待て…………こんなの、避けるしかないじゃない!!!
私は武器をしまうと一目散にその場から走って逃げる!
ドォォォオオオオオンンンンンンン!!!!
爆音が世界を揺らす!巨大な砂塵は上空に巻き上げられ、まるで原爆が落ちたかのような威力だ。風が大きく吹き荒れる。放射性物質とか含まれてないから、二次被害なんてないだろうけれど…………これはあまりにも高威力だ。
「いやーーーなんだよ。お前強いじゃないかよ。最初に俺を攻撃してきた時は手加減をしてくれたのか?そのせいで実力を見誤っちまったじゃねーか。…………くっくっくっ、これなら5分は遊べるな。」
いつの間に移動したのだろうか、土石竜はあの巨人?の頭の上に座っていた
「お前の力とその剣にはまだまだ秘密があるんだろ?…………さぁ、俺を楽しませてくれよ!もっと俺を熱くしろ!」
拳がもう一度振り上げられる
くっ、またか!!
巨大な爆弾のような拳が辺りを盛大に吹き飛ばしていく。
ダメだ、こんな場所でずっと耐久してたら、いずれ地面が陥没して私の逃げ場がなくなる。
…………仕方ない、あの巨人?の腕に飛び乗って駆け上がるか。
ここに大穴を生み出した拳が再度振り下ろされる。
確かに一撃は強力だが、私からすればこんなの止まって見える。
飛び移り時にさえ失敗しなければいいんだ。大丈夫、大丈夫だ…………
ズンん!!
巨大な拳が地面を吹き飛ばす!
そして、その直後に私はそれに飛び乗り、腕を駆け上がっていく!
「ようやく飛び乗ってきたか!俺のところまで来いよ!!!!」
足元の岩から針のように先のとがった岩がいくつも生えてくる!
「第四の舞 打烙の因果」
光剣が棍へと形を変える。
ドゴン!ゴドン!!
それを振り回し、周りから生えてくる岩を粉砕していく!
「また形状が変わったな!一体それはあと何回変わるんだ!?」
ビシュビシュ!
今度は上空から小さな岩の塊が高速で飛ばされる!
見えるけれどこれは少し…………速いな!
私は棍を節目で分解し、3つに分ける。三節棍ってやつだね。
バキバキバキ!!
それを駆使して向かってくる岩を全てはたき落す!
「おお、いいねいいね。それじゃあ今度はこれだ」
ダンダン!
足元に広がる岩から私の体よりも大きいゴーレムが生えてくる。
「こいつはさっきの雑魚よりも硬いぞ!そんな棍なんかで壊せるのかなぁー?」
くっそ………めっちゃ今の腹たった!
「第五の舞 打ち出の小槌」
光剣がまた姿を変え、小ぶりな小槌へとなる。
まだだ、まだこんなんじゃあのゴーレムは倒せない。
「巨大化」
ボン!!
小槌は一瞬で私の体ぐらいあるハンマーへと姿を変えた。
私はそれを片手で持ち上げ、肩にのっける。
これは重たいから姿勢を低くしないと私は地面に落ちてしまう。一応ここは腕の上だから。
ドズンドズン!
ゴーレムが走ってくる!
「ふんん!!」
振り抜かれたハンマーはゴーレムの側面を捉え、体を粉々に吹き飛ばす!
「おお、一撃で壊せたか。かなりの威力だな。…………だが、少々扱いにくそうだ。それはお前でも結構重たいんだろう?一撃が遅い。」
ジャキン!
前方の岩から3つ、穴の開いた何かが出現する。
「だから、速い攻撃には対処できない…………違うかな?」
ひゅんひゅんヒュンヒュンヒュン!!
3つの岩でできた何かの穴の部分からとがった岩の欠片が高速で吐き出される!
目の前全てが岩の破片だ!確かにこんな速さのものをこんな重たいハンマーじゃ凌げない!
「第六の舞 翁の芝刈り」
光剣が鎌の形へとなる
それを私は回転させ、飛んでくる全てを切り刻んだ。
よしっ、行くか!
私は再度加速し腕を駆け上がっていく!
邪魔邪魔邪魔!雑魚に私は興味がないんだ!私の前に立ちはだかるっていうのなら、首を刈り取りまでだよ!
スパパパーーン!!
上空にゴーレム達の首が飛ぶ!
出現する岩を全て叩き潰した。切り刻んだ。そしてやはり、全ての攻撃をかわすことができなかったから顔と太ももを少し切っちゃった。赤い血が流れる。
でもまぁいい、ようやく肩の部分にまで来れた。もうあいつは目と鼻の先だ。
あいつは今一体どんな顔をしているのかな?私がここまで来てしまった事に焦っていたりとか?………まぁいい。それを確認するためにはあいつの兜を脱がさなきゃならない。
私は土石竜を倒し、そして彼を殺す!それが今の私のやらなきゃいけないことさ
「あと1分経ったら5分だよ。さっきは5分は遊べるな。とかなんか言ってたけど、確かにその通りのようだね。だってあと1分で私に命を取られるんだからさ。どうだった?たった5分間だったけど楽しんでもらえたかな?土石竜、あんたの最後の5分間を。」
「…………くくっ、最後の5分間ねぇ。面白いことを言うじゃないか。そういう言葉が俺をさらに熱くする。でも、少し忘れていないか?俺の鎧はそこらのゴーレムとは違って硬いんだぜ?お前のそのやわな攻撃じゃあ、俺の体に傷をつけることはできない」
座っていた土石竜は立ち上がる
「いいや忘れちゃいないさ。確かにあんたの鎧は私の剣を弾いた。でも、そんなのもう私には関係ない。どんなに硬い物質であろうとも、私の前では等しく砕かれるって決まっているのさ」
「いいねいいね。その自信。全てを砕けるというその絶対的自信!その確信が、脅威となって俺にぶつかってくる!それが俺の心を震わせる!それが俺の心を熱くする!やはり人間、一番大切なのは危機感だな!それが人間の本能を刺激し、全ての楽しみを生み出す!」
巨人?の顔から無数の手が出現する。
うわ、キモイ………
「さぁ来いよ!その[絶対]を俺にぶつけてこい!それを俺が上からねじ伏せてやるからさ!!」
…………いいよ、全力で叩き込んであげるから!
ダンダン!
私は巨人?の肩甲骨辺りを思いっきり踏みしめ、力を蓄える。
一瞬だ、一瞬で辿り着く。本当は雷と一体化して行きたいんだけれどあそこまで無数に手が生えてちゃ、手に雷と一体化した私が万が一にもぶつかったら、岩に電気が遮られて私の体が切られてしまう。
グッググググッッッ
巨人?の肩甲骨辺りにヒビが入る。
………行くよ!!
ダンンン!!!
私は土石竜めがけて超高速でジャンプした!途中で私を遮ろうと腕が伸びてくるが、甘い甘い!こんな柔な岩、私の敵じゃないね!!
ザクザク!
岩で出来た腕が切られて地上へと落ちていく
よし!腕の部分を通過したぞ!あとは…………
あと1秒もしないうちに土石竜を私の射程距離に捉えられるだろう。
さーーていくよ。私の最終兵器。
「死舞 羽衣 百鬼掃討の調べ」
剣が古びた木刀へと姿を変える。確かに見た目は古いが、しかし、どことなく神聖な雰囲気を醸し出している。
私の一撃は光の一撃!全てを焼き焦がし、全てを粉々に吹き飛ばし、全ての命を粉砕する。かつて塞ぎ込み、全ての者達に光を与えなかった神のように、この一撃は相手を光から遠ざける!
さっきの言葉、そっくりそのままお返しするよ!
「吹きとびな!!」
イリナの右手に握られた木刀は、誰の目に止まることもなく振り抜かれる。
…………見えな………
土石竜が思ったその瞬間、巨大な破裂音と衝撃が辺りを全て吹き飛ばす!
巨人?の頭は衝撃波だけで粉々に吹き飛び、首から下部分には沢山の亀裂が刻まれた。
上空で起こった衝撃だというのに、地上の木々が吹き飛びなぎ倒される!
木刀が岩を捉えただけだと言ってしまえばそれで終わりだが、これほどまでの破壊力を生み出したこの現象をたったそれだけの言葉で表現してしまってもいいのだろうか?
爆弾という言葉ではあまりにもちんけで。だがしかし、ビックバンという言葉ではあまりにも壮大すぎる。
ドズン!!
土石竜が吹き飛び、地上の地面にめり込む!
イリナはそれを確認すると地面に降りた
「私のこの光剣は光速………とまではいかないけれど10分の1ぐらいの速度で物体を殴ることができるんだよね。」
この速度の前ではどんな生物も無力だ。これを食らって死なないなんて事があったら、そいつはきっと化け物だ。いや、もう、化け物とか以前に生物としてどうよって話さ。
…………しかし勝てた。私1人の力で魔王の1人を倒せた。これなら私はちゃん彼に向き合える。
私は、当初決めていた目的地へと歩いて行こうとした瞬間………
バンバンバン!
私の周りの地面から無数の岩が出現し、私の手足を飲み込み拘束した!
んなっ………!!!!なんで!?あいつは死んだはず!!!…………まさか!!!
「いやーーーいい攻撃だった。判断を間違えたら死ぬとこだった。」
声のする方向を向くと、地面にめり込んでいた土石竜が起き上がっていた。
鎧はもうボロボロ。ほとんど全て壊れていると言ってもいい。兜も右下の部分が壊れて頬と口先が見えている。
…………あれ?どこかで見た事があるような…………
「久しぶりに楽しませてもらった。まさかあんな攻撃があるなんてな、目で追えなかったわ!はっっはっはっ!!」
鎧の破裂した部分は瞬く間に補強されて、新品同様に生まれ変わった。
くそっ………なんで生きてるんだよ!あの攻撃食らって死なないなんて反則じゃないか!!
「いやーー本当にいい時間だった。…………あと8秒で5分だ。短い時間だったけれど、俺を最高に楽しませてくれたお礼だ。5分ちょうどに殺してやるよ。」
顔がなくなった巨人?が腕を振り上げる
くそっ………まさかこんな所で死んでしまうなんて。彼を殺せずに、彼の仲間に暇つぶしとして殺されるなんて…………ああ、ダメだ。なんで私の人生ってこんなに報われないんだろう。私が思い描いていた通りに事が運ばない。彼が自らの人生を使って作り上げたこんな、簡単な事ですら成し遂げられないなんて。
なんで私はこんなに………………
「さて、今ここでお前を殺せばクラスメイトも押し黙るんじゃないかな?死んじゃった者はどうしようもないもんな」
なんかあいつが喋っているけれど、正直もうどうでもいい。
…………ああ、でも、そうだな。せめて殺されるんなら彼の手で殺された方がまだ楽だったかもしれない…………なんてね。
「それじゃあなイリナ、時間だ」
巨人の拳が振り下ろされる!
その巨人の拳は風をまといながら、さながら隕石のように夜空を切り裂く。
ちょっと間近すぎる気もするが、あれだな、流れ星みたいだ。なんか願い事すれば叶うかなーー。
うーーん、そうだな。
イリナがちゃんと俺を殺せますように
そう願うと俺は、イリナの上を飛び越える。
あーーそういえば返した魔剣あるじゃん?やっぱり、
「少しの間借りるぞイリナ」
「…………え?」
俺は飛び越える時に、イリナの背中に収められている魔剣をひきぬく。
そして、今まさにぶつかりそうになっている拳とイリナの間に滑り込む。
魔剣から闇が溢れ、魔剣の周りを包み込んでいく。そして、魔剣は形を変え、柄の部分に巨大な目が生まれた。それは辺りを見渡した後、巨人の方をぎょろりと睨みつけた。
「…………デリート」
俺が剣を振り、巨人の拳を斬りつける。するとその部分から巨人の体がチリとなり、上空に舞って消えていった。
「ようイリナ久しぶり。………そして、」
俺はそれを肩に乗せて、イリナの方を向く。
「助けに来たぜ」
2日連続で出してしまった!?……………やばい、勉強しなくちゃ……………
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