嘘と偶然と奇跡
カリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリ
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
シャーペンを動かし続けている音が聞こえる…………別の教室では教師陣が汗をかきながら熱意ある講義をしているようだ。防音対策がなされている為こっちまでその声は聞こえないが、気迫は伝わってくるきがする。
今俺は塾の自習室にいる。講義は今さっき終わったばかりだ。
……………俺にも秀でている何かがあれば勉強なんてせずにそれで勝負ができるのになー……本当に俺ってパッとしないなー。
カリコリカリコリカリコリカリコリカリコリカリコリカリコリ……………
参考書の問題を解き続けることこの動きはこれから2時間続いた。
「はぁーーーーーー……………帰るか」
俺は自習室を出て玄関へと向かった。その時だった。
「やぁ、狩虎。今から帰るのかい?」
「ん?ああ、そうだぞ委員長。」
この爽やかな物言いの男は我がクラスの委員長であり幼馴染の岩村遼鋭である。うん。爽やかだ。こいつは俺と違いイケメンである。身長も俺より高くて180cmあるらしい。…………だからなんだって話だが。そしてこいつとは同じ塾に通っているのだ。
「委員長はやめてくれよ生徒会長。気恥ずかしい。」
「何いってるんだよ。あんな熱血委員長!みたいな掛け声をしてさ。結構似合ってるぞ?松岡修造さんにしか見えない。」
そう、この爽やかなボーイは顔とは裏腹にとても熱血な性分を持っている。基本は爽やかだが時々スイッチが入ると室温が2度上がるほどに熱血になるのだ。そしてそのスイッチの一つが学校においての号令である。だから号令の時だけは室温が2度上がっている。
「あれは………僕も直そうと思ってるんだけどね………うまくいかないものだね。」
「直さなくていいんじゃないか?お前が普通の性格だったらつまらないもん。」
「つまらなくていいんだよ僕は。普通であれればそれでいいんだから。」
「…………ふーん。よくわからないけどよく分かった。普通の性格である俺からすれば普通じゃない人は羨ましいな。」
俺の周りは結構な変人だらけだと思う。宏美にイリナ、翔石君に雪さん、そして遼鋭である。なんともまぁ濃い面子だろうか……………普通の俺じゃ太刀打ち出来ない。
「ははっ。何を言ってるんだい?あんな変人の集まりみたいな所のリーダーをやっている君が普通だと思うのかい?」
「ああ、俺ほど普通なやつはいないさ。変人をまとめることが出来るのはより高度な変人じゃなくてどこにもいない普通の人なんだよ。」
「………どこにもいない普通の人は変人じゃないか?」
「いや、違うな…………普通すぎる人なんてこの世にはほとんどいないと思うんだ、そこらへんを歩いている人たちは全員なにかしら個性的なんだと思う。そして俺は少ない普通すぎる人のうちの一人なんだ。言うなれば選ばれし普通の人だ俺は。」
「へ、へーー……………つまり個性がないと言いたいのかい?」
「そういうこったな。俺ほどなにもない人はいないさ。」
「………………………」
考え込む遼鋭。なにに対して悩んでいるのだろうか…………選ばれし普通の人なんてこの世にいるのか?ってところか?まぁいきなりそんなこと言われてもピンとはこないよな。
そういえばよくあるよな。幼馴染同士で個性やら性格やらが全く違って、しかも片方は最強で片方は最弱みたいな作品。あれ?兄妹でもあったな。名前は出さないが、やはり圧倒的力の差をどうにか努力して埋めていって最後は越えるような作品てのはよく愛される。今度の俺の小説はノンフィクションでいくつもりだったけどある程度設定を書き直すか…………………くっくっくっ。
「うん。よくわからないけど分かったよ。それより人の邪魔になってるからそろそろ外に出ようか。」
俺が1人であくどい笑みを浮かべていると遼鋭からそんなことを言われる。え?邪魔になっている?後ろを見ると靴を持ったまま俺たちを睨んでいる生徒たちが数人いた。
「あ、ああ!すいませんでした!」
俺は駆け足で塾を出た。対照的に遼鋭は笑いながら塾を出る。
「…………すごいな、あんな空気の中笑いながら歩いてこれるなんて……………さすがはイケメンだ。俺とは格が違う。」
「ははっそんなこと言ったら狩虎だって知らない人に対しては本当に消極的だよね!乙女にしか見えなかったよ。」
「うるさーい!俺は人見知りが激しいんだよ!それと俺は乙女じゃない!それなら宏美にいってやれ、喜ぶぞ。ずっと男だと思われてたんだからな。」
「うん?なにを言ってるんだい?宏美はずっと乙女じゃないか。」
「え?お前、小中学生の時にあいつが女性だって気づいてたの?」
「気づいてたも何も周知の事実って奴だよ。僕はてっきり君が宏美のことを女だと理解しているものとばかり思っていたんだけどね…………僕からしたら高校生になって最も驚いたことは君が宏美のことを男だと思っていたことだよ。」
は、初耳だ!俺以外全員知っていたなんて!…………あっ、そうか………俺ぐらいだもんなクラスが同じにならなかったのは。なった奴らは当然知るもんな…………それは仕方ない。俺が知らなかったのは仕方ない。俺が鈍感だというわけではなくてこういう理由があって俺が知らなかっただけなのだから。
「なるほどな…………てか最近どうよ?クラスの方はさ。」
基本俺はクラスのことに関しては情報を得ることが出来ない。なんかクラスメイトに避けられてるからな。
「そうだなーーやっぱり、イリナさんが来たことが1番の出来事だったんじゃないかな?もう毎朝毎朝彼女の机に人が集まってさ、注意したら殺気のある目線を送られるもんね…………彼らは本当に僕が知ってる奴らなのかな………」
「ああ、俺もそう思う。もっとおとなしい奴らだったはずなんだけどな……………」
「そうだよな………あと変わったと言ったら狩虎、君のこともじゃないか?イリナさんが来るまでは結構落ち込んでたからさ。」
「………そう………だな……………」
「ああ、ごめんよ。辛いことを思い出させてさ。」
「いいんだ。あれは全部俺が悪いんだ。そして俺はあのことを忘れたこともないし忘れるつもりもない。」
全ては俺が悪いのだ。言い訳するつもりもないし余地もない。ましてや言い訳出来る身分でもない。
「でもやっぱり…………狩虎は真面目だよ。改めてそう思うな。」
「そうか?普通だよ普通。これぐらいは普通だよ。俺から言わせればみんな普通じゃない。こんなやつが真面目なわけないさ。俺から見れば遼鋭の方が真面目だよ」
「ははっ…………僕は真面目じゃないよ。………やめようか、この話しは。きっとこのままじゃ埒が明かない。」
「多分な。自分のことなんてよくわからないからな…………わからないのに人から言われることは信じない……………本当、よくわからんな。」
「だね………………」
俺と遼鋭は無言で歩き続けた
俺は歩きながら今日の晩御飯はきっと焼き鮭なんだろうなぁ…………どうにかアレンジして美味しく食べれるようにしなくちゃと思い続けていた。
……………あのことを忘れるな。忘れてもいいけど忘れるな。忘れたら自分をきっと見失うだろう。自分を何処かに忘れてしまうだろう………………それでもいいなら忘れてしまえ。
何故かはわからないけどずっとこの言葉が頭を流れていた……………声は………カイなのだろうか、俺なのだろうか?……………………わからない……………まずこの言葉は喋られていたのかもわからない…………………
「お兄ちゃん!おにいーちゃん!」
起きる様子のないお兄ちゃん。
「ったくもー!こればっかりは仕方ないよね!起きないのが悪いんだし。」
自室へと行きグローブをはめてくる。さすがに素手で顔面を殴ったらお兄ちゃんの頬骨が折れちゃうからね…………
スパーン!
目にも留まらぬ速さの花華のパンチが狩虎の顔面に炸裂した!
「うおおおお!?なんだなんだなんだ!?今俺の右頬でビックバンでも起きたのか!?」
ジンジンする右頬をさする。…………あれ?俺の家だ……………俺の家?俺の家で、しかも俺の右側でビックバンでも起こったのか?
「超新星爆発は起きてないよお兄ちゃん。マッハパンチが炸裂してお兄ちゃんが起きることはあったけど。」
殴られた方向を見ると花華がいる。グローブを装備してだ。確実に攻撃力が2ぐらい上がっていることだろう。
「……………それはあれか?あの………なんて言うんだっけか、熱い鍋を持つ時に手にはめる…………ほら………………あの……えーっと………………」
グローブだとはわかるのだが一応ボケてみる。花華が一体どんなツッコミをいれてくるのか見たいのだ。
「厚手手袋?」
「そう!それだよ!」
「……お兄ちゃん。知ったかは良くないよ…………」
妹から哀れみの視線……………痛すぎて声もでない。
「……………すんませんでした。」
嵌められた……………恥ずかしい………
どうやら相手のツッコミを見て評価をするよりもまずは自分を磨かなければいけないらしい……………
「まぁ、私も覚えてないんだけどね!そんなことよりいつの間に帰って来てたのさ!帰って来た時にはただいま!って言わないと行儀悪いよ。」
そこなんだよ。俺もそこが疑問だ…………遼鋭と一緒に塾から帰ってたはずなんだけどな……………鮭のことを考えすぎて無意識で家に帰って来てたのかもしれない………はぁ?あんな俺の宿敵みたいなやつを俺がずっと考えてたっていうのか?それは却下だ。………………まぁ、いつの間にか家に帰って来てたことなんて俺には良くあるからな!その都度何故かを考えるけど何も出てこないわけだし………そういう体質だと割り切ろう。
「わからん。いつものことだろ。」
「いつものことねー…………本当、お兄ちゃんって変人だよね。」
そんなセリフを残してキッチンへと向かう花華。
俺は普通だ!無意識のまま家に帰ることがあるってだけでそれ以外は全部普通だ。
うーん時間がわからないな…………時計を見ると10時45分だ。光輝は確実に寝てるな。あいつは10時半までに確実に寝ている。練習が厳しいらしいから。そして花華の寝る時間はランダムだ。俺と同じようにランダムだ。早い時もあれば遅い時もある。まぁ、遅く寝る時は次の日が休日の時だけだから寝る時間事態に大差はない。逆に遅く寝た時の方が睡眠時間は長いのだけど。
「はいよ。ご飯だぞよ!」
花華が机にご飯を置く。ぞよとはなんだぞよとは。
白米、味噌汁(大根と揚げ)、ほうれん草をごま油で炒めたやつ、鳥肉を焼いたやつ、そして毎度おなじみ焼き鮭…………本当お前って食卓によく出てくるな………………毎日見てるせいか愛着が湧いてきた。やっぱ今の発言なし。1秒見たら憎しみが湧いた。
「………いただきます。あ、そうそう熱いお茶を出してくれ、お茶漬けにして食べるから。」
帰り道鮭を美味しく食べる為の方法を考えて行き着いた先がこのお茶漬けだ。さっと食べれるしお茶漬けなら鮭のあのしょっぱさが合うからな。そして今日はほうれん草をごま油で炒めたのがあるからお茶漬けに入れて香りをよりよくすることも出来るって寸法さ…………我ながらいいアイディアだ。
「あ、お茶漬けにするんだね。でも時間がかかるからさ、ちょっと待ってて。」
「あ、今ないの?それなら自分で作るよ。それぐらいのことは自分でしないとな……人に頼ってばっかじゃダメだ。」
「いいよいいよ私がやるよ。」と、「いいから!俺がやるから!」の二言しかでてこない争いは3分間続き結局俺がお茶を淹れることになった。
「しっかし電子レンジってすごいよな!科学の結晶とはまさにこれのことを言うんだろうな!」
ポットにお湯を入れている時にふと電子レンジに目がいった為そんなことを言った。
「そうだねー。赤外線で温めるって言うけどまず赤外線を出す仕組みってのがすごいよね。どうやって出してるんだろ………………」
「どうやってだろうな……………まぁ、後で調べておくとしてだ。水が沸くまで暇だなー…………どうしようかな。」
「うーんっとさ、さっきは言わなかったんだけど。お味噌汁をご飯にかけるってのはどう?」
「猫まんまって言うんだけか?よく覚えてないけど。猫まんまは俺嫌いなんだよなー………なんか汚くて。」
お味噌汁をご飯にぶっかけて食べるのはなんか嫌だ。お茶漬けはいいんだけど猫まんまはちょっと………………
「えー………お茶漬けとそう変わりないと思うけどね…………ま、それならシャワーでも浴びてきたら?」
「お!いいね!シャワーを浴びてこようかな!お水が沸騰したら保温状態にしといてねー。」
へーいと言う花華の返事を聞いた後、俺は脱衣所に行き服を脱ぎ設定温度を確かめ、バスタオルがあるかどうか確認してから(服を脱ぐ前に確認し忘れた)15分ほどシャワーをあびた。
「ふいー…………ただいまー。」
「おかえりー。なんでシャワーを浴びた後にただいまーって言うの?」
「そういう気分なんだ。」
「あっそ。」
あっそ。ですか………俺の気分なんてどうでもいいよな。
「あ、お水が沸いてたから保温状態にしといたよ。」
「おお、ありがとう!それじゃあ食べるとしますか!」
いただきます!を言い俺はまず鮭をほぐした。小さすぎず大きすぎない。ちょうどいい大きさになるようにほぐしていく。そしてそれを花華が電子レンジでチンしてホカホカにしてくれたご飯の上に乗せる!そしてさらに!ごま油のかぐわしい香りを放つほうれん草をあたりに散りばめる!そして!そしてそしてそして!今夜の主役!緑茶がその中へと飛び込む!緑と赤と白の共演………………素晴らしいハーモニーだ…………この出会いに名前をつけるとしたら[赤く燃え上がる新緑の大地!」と言ったところか…………先日やってしまったことを思い出してしまった………………
「なんでお茶漬けひとつを作るだけでそんな感想をいだけるの?」
妹からの呆れたような質問。ふっ、これだから…………なんだろう。なんて言おう…………あ、これだから非常識人は!
「ふふっこんなの人間なら普通に思ってしまう感想だよ。」
「そうかなぁ、当然のように言われてもイマイチ納得しかねるよ……………」
納得してないような顔の花華。まぁ、俺から言わせればこんなことは普通なのさ、お前が普通じゃないだけだ。
「ま、とにかく食べさせていただくよ。」
俺はお茶漬けをさっと食べ皮がパリパリの鳥肉をさっと食べ。お味噌汁をごくっと飲んだ。
うん…………美味いな。お茶漬けも鳥肉も。…………本当、花華は料理が上手いし美味いな。これならいいお嫁さんになれるな。
「ごちそうさまでした!美味しかったよ花華!」
「当然でしょ?一体誰だと思ってるのさ。」
花華にお礼を言って食器を流しに置く。
「んーー?…………スプリットガール?」
「そんなあだ名ないわ!なんで私が相手を裂かなくちゃいけないのさ!」
「え?ほら、よく休憩中に[ほらほらー。このままじゃ裂けちゃうよー?]って言ってるじゃん。」
「それはさけるチーズを食べてる時ね。」
人を裂いていないのは嬉しいけどさけるチーズに語りかけながら食べてるのはちょっとアウトだろ。
「ま、スプリットガール。おやすみー。」
「だからー………ったく、おやすみ!」
プリプリしながら自室へと行く花華。まぁ、俺たちのご飯を作ってくれるいい妹だって言ってやりたいが生憎そんな恥ずかしいことを言えるほど俺の精神は強くない。妹だろうとなんだろうとやはり女性を相手にするのは苦手なのだ。
俺も居間の電気を消して自室へと戻り布団へと入る。
今日のお茶漬けは美味かったな………。まさか鮭があれほどまで化けるとは思ってもみなかった。しかし偶然にも名付けたものが先日の森全焼事件と被るとは…………偶然ってあるもんなんだなー……………………。忘れるな、か…………………忘れたことなんてねーよ。そういえば奇遇と偶然って何が違うんだ?ほとんど同じような気がするな…………明日翔石君に聞いてみるか…………
困った時は寝るのが一番!俺はそのまま寝ることにした
Face of the Surfaceのとある1節
偶然とはあるのだろうか?奇跡はあると思う。ただ偶然は自分で何かを作り出した時にしか起こり得ないものであるように考えてならない。事実と反する何かをした時にしか生まれない矛盾。本当は起こるはずだった出来事をなかったことにした時に生まれる相違点。ミステリーなどでよくあるように。人間はこれ程までに賢いのになぜ殺人を起こすのだろうか?という疑問。そう、殺人などは普通起こり得ない事実に反する出来事。だがその事実に反することが起こってしまうが為に偶然は出来て相違と矛盾は生まれるのではないだろうか?…………まぁ、たかが高校生の戯言に過ぎないのだけれども……………ふふっこの文自体にも矛盾があるな………………上の記述通りだとこれは本当は存在してはいけなくなってしまう。いや、やはり存在すること自体おかしいのかもしれない……………本当に偶然はありえるのだろうかありえないのだろうか?答えはきっと見つからないだろう…………証明出来る人なんて偶然思い付いた人ぐらいだろう。それこそ奇跡的に。
偶然とはあるのでしょうか?そこらへんを歩いていると友達と会う時があります。その時
「お、偶然だね!」
っと言い合うのですが僕個人としては
「おっ、奇遇だね!」と言いたいのです
めずらしくも遇っているのですから。
それと、「その出来事が偶然にも起きた」とも言いますが、これをやってこれをしてこうすればこうなるのだという法則はあり。それが何かの手違いで起こってしまうのはそれは必然であり、そして起こる確率が低いのであれば奇跡なのではないでしょうか?
「その出来事が何かの手違いで起きた」の方が自分的にはしっくりきます
それを総称しているのが偶然だと言われたらどうしようもないですけど
……………まぁ、小説の通りこんなのは高校生が適当に言ってるどうでもいい事なのでさらっと受け流してください。本当にどうでもいいことなので
つまり何を言いたいかと言うと自分が書いている部分は自分なりの考えと解釈を混ぜている為全くもって信じないでください。合っているかもわからないですし信憑性もありません。出来るのならば参考に、あくまで「こういうことを考える変なやつもいるんだなー」ぐらいのこととして頭の片隅にとどめていただければ幸いです。
お硬くなってしまいましたね。知識がありそうに見せるのは嫌いなのですが知識がありそうな感じで書いてしまいました。
こうは(硬派)なる予定はなかったのですが…………つまらないですね
ダジャレはほどほどに、基本後書きは書きませんがそれではさようなら。ありがとう。また会いましょう




